第165話 機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY その2 ガンダム強奪編

 0083語りも2回目、いよいよ主役機とライバル機である本作のガンダムについて語りたいと思います。なのでサブタイトルは第1話サブタイからいただきました。


 本作の前半主役機で一号ロボにあたるのが文字通りガンダム一号機「GP-01ゼフィランサス」です。こいつ、コアブロックシステムを積んでいたりします。また、デザインも90年代的な意匠にはなっているものの、全体としては初代ガンダムに似せています。あと、ビームライフルの照準器が何気に初代ガンダム風の丸形照準器だったりするような、細かい部分で初代ガンダムっぽさを出しているという(笑)。このため、射撃時の「ガンダム撃ち」が一層映えてるんですね。


 また、こいつ重装甲なんですね。第5話で、陸上戦装備のまま宇宙に出撃してしまい、シーマ・ガラハウ中佐率いるゲルググマリーネ部隊に一方的にボコられるんですが、撃たれまくってボロボロになりながらも、結局破壊はされなかったという。その際にシーマ様(こう呼びたくなる人なんですよ)が「何て頑丈さだい!?」とあきれかえったという。このあたり、確かにガンダムの伝統を引き継いでいます。


 初代ガンダムほどの汎用性はなく、地上戦装備だと宇宙では機動性ががた落ちします。ただ、その装備変更はコアファイターを入れ替えて設定を微調整するだけで済むという設定でしたが、作中ではそれを待ちきれずに主人公コウが地上戦装備で出撃してしまうという。


 そのために一方的にボコられて中破状態になってしまいますが、それを修理する際に完全に宇宙戦用に改修され、バーニアなどが増強されて「GP-01フルバーニアン」として再生されます。これで外見の印象もだいぶ変わります。また、機動性が非常に向上しており、シーマ様の部隊と再戦したときは今度は「バッタかい!?」と驚かれています……スペースノイドのシーマ様がバッタを知ってたというのが意外だったり(笑)。


 パイロットの能力差で、地上で最初に戦ったときはガンダム二号機「GP-02サイサリス」を逃がしてしまうのですが、宇宙で再戦したときはフルバーニアンで相打ちに持ち込めました。このあたり、性能も向上したのでしょうが、パイロットの能力が急激に上がったということもあるのかなと思える演出でした。これについてはキャラ編で語りたいと思います。


 そのGP-02ですが、これはライバル機になります。ガンダムが「敵」として出てくることは今までもサイコガンダムのような例がありましたが、ライバルの搭乗機となったのは、これが初です。


 第1話でいきなりライバルのガトー少佐に強奪され、それを追うためにGP-01に無断で乗り込んだコウと交戦するのですが、この時点ではコウの能力はガトーに「君はまだ……未熟!」と名ゼリフで切って捨てられるほど差がありました。それでもコウが一矢報いて、GP-02の大型シールドの廃熱機構を破壊し、ガトーは「ぬかったっ!」と叫んで撤退します。


 それ以降もガトーが乗り続け、最終的には「星の屑作戦」で重要な役割を果たします。


 というのも、こいつ「核兵器を搭載したガンダム」です。「最強の戦略兵器を最強の機動兵器に搭載する」というコンセプトなんですね。そして、ミノフスキー粒子のためにミサイルの遠距離誘導ができないため、ターゲット近くまで接近して核弾頭を発射するというコンセプトで作られたので、高機動と重装甲を両立させているという。


 そのため、ガンダムとしては太目のシルエットです。また、顔についてはサイコガンダムMk-Ⅱ系統の細目で凶悪そうな面構えになっています。ただ、色は白が少しベージュがかって青も濃くなっていますが、基本的にはガンダムトリコロールです。


 それから、要するに核兵器キャリアとしての運用のためか、作中では射撃武器が核バズーカ以外は頭部のバルカン砲しか無いんですね。このため、GP-01との戦闘はビームサーベルで行っています。のちのゲームでは核バズーカをオミットしてビームバズーカやビームライフル、ミサイルポッドなどを積んでいる機体もあります。また、スパロボでは核弾頭が超強力かつ超広範囲のマップ兵器になっていました。


 星の屑作戦では、連邦軍の観艦式に単機突入して核弾頭を発射し、連邦軍艦隊の旗艦バーミンガムを撃沈したのをはじめ、その三分の二を行動不能に至らしめるという大戦果をあげています。その発射の際にガトーが叫んだ「ソロモンよ、私は帰ってきた!」は、あちらこちらでオマージュされている超名ゼリフです。Web小説でも多々見かけました(笑)。もちろん私もパロっています。それも核弾頭発射シーンで(爆)。


 ただ、このとき核攻撃の爆心地近くまで接近するので、自分が発射した核弾頭の攻撃範囲内に入っているという。その輻射熱などは大型シールドで理論上防御できるはずだったのが、実際には影響を受けて片腕が動かなくなっていました。


 その状態で万全のGP-01フルバーニアンと戦うことになり、しかもコウのパイロットとしての腕が向上していたので、最終的には相打ちになり、コウとガトーは脱出したものの、機体は二機からまった状態で爆散し、両方とも失われました。


 このGP-02は、乗っているガトーが信念あるライバルだったということもあり、とにかくカッコ良い機体だったのですよ。デザインやコンセプトは凶悪なのに、クールな悪の魅力を感じさせる機体でした。シルエットで目だけギンと光らせる演出は、のちのガンダムシリーズにおいて、敵系ガンダムのみならず、味方ガンダムの強さを悪魔的に演出する場合の技法としても使用されています。


 さて、前半の主役機とライバル機について語ったので、次回は後半の主役機とライバル機について語りたいと思います。

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