第156話 トップをねらえ(1988年)

 この88年のOVAで後世のアニメに多大な影響を与えた作品のもうひとつ『トップをねらえ』です……が、こいつについては「見た」記憶はあるものの、どこで、どういう風に見たのかが定かではないという。


 リアルタイムの頃ではないですが、十年後とかでもないです。大学時代のサークルの合宿とかで先輩が持ってきたビデオを見せてもらったんじゃないかなと思います。『ジャイアントロボ』のOVA版もそのルートで見ましたし。


 そのため、一回の視聴で、しかも最終回まで見たおぼえがないという。ただ、ネタにされることが多いので、概要は知っています。あと、私が最後に遊んだスパロボである『F完結編』にも出てましたし。むしろ、スパロボでの印象が強い気がします。あと、大学時代に『電脳学園Ⅲ』はやっちまったよ、畜生!(爆) 意味がわからない人はググってみてください(笑)。


 本作は昔のアニメのパロネタ満載でして、そのあたりは一見すると私の好みと非常に合いそうに思えるのですが、微妙なラインでズレがあったりするんですね。「狙いすぎ」だろう、みたいな。好きだからこそ、微妙に合わないというところがあったり。だから、全部見てないんじゃないかなと思います。


 主人公タカヤノリコの初期搭乗機の名称がRX-7であるのは、ガンダムの形式番号RX-78が大河原邦男の愛車RX-7から取ったことへの先祖返りだろうとか思ったり。だから、こういうパロネタの元ネタとか、つい考えちゃうんで逆に話の方を素直に楽しめないという部分はあるんですよねえ。


 主役ロボであるガンバスターについては、デカい、強いがスパロボでも再現されてました。設定だけしかなかったバスターホームランとかも再現されていたという(笑)。


 ただ、このガンバスターの外見って、私的には微妙なんですよね。特にカラーリングと目がモノアイであるということ。


 黒というよりはダークグレーで、黄色のアクセントって、スーパーロボとしては地味なんですよ。デザイン自体はカッコ良いんですけど。


 終盤はかなりリアル志向になるので、そっちに合わせてるのかなとは思うのですが、やっぱりスーパーロボらしいケレン味のあるロボなんで、カラーリングとかもスーパー寄りにして欲しかったなあと思います。


 あと、こいつはモノアイとマスクじゃなくて、二つ目があって鼻と唇があるデザインじゃないといかんだろうと。もっとも、主人公が女の子なんで、顔付きにすると女性顔にしないと違和感があるから、こういうデザインになったのかもしれませんが。


 ……などと重箱の隅をつつくレベルで難癖つけてますが、やっぱり映像で見るとカッコ良いんですよねえ、ガンバスター!(爆)


 やっぱり、あの出撃シーンの腕組みしてせり上がってくるところからしてムチャクチャカッコ良くて、さすがに庵野監督はわかってるなあとか思ってしまったり。ええ、自作でもパクりましたよ(笑)。


 以前に『サザンクロス』のところで「巨大ロボもので女性主人公は早すぎた」と書いたのですが、本作では女性主人公で大ヒットしています。もっとも、「巨大ロボもので女性主人公」はOVAだと既に85年の『イクサー1』という前例もあるので、ニッチジャンルであるOVAでは問題なかったということでしょう。


 この『トップをねらえ』は、ガイナックス制作のアニメの第二作にあたります。Wikiによると、もともとは第一作である『オネアミスの翼』だけで解散するはずだった、いわば今日の「制作委員会」的存在だったガイナックスが継続してアニメ制作会社になったのは、『オネアミス』がヒットしなくて赤字で、その穴埋めに作った本作がヒットしながらも、また赤字だったからだという(笑)。ただ、それが結果として『新世紀エヴァンゲリオン』や『天元突破グレンラガン』などの名作巨大ロボットアニメにつながったのですから、本作がアニメ史において果たした役割は決して小さなものではないと思います。


 マーケティング的には「受け線狙い」だなとはリアルタイム当時から思っていました。ただ、それを単なる「受け線狙い」で終わらせるのではなく、名作の域まで昇華させているところは、さすがだと思います。


 Web小説でも、いわゆる「テンプレ」という「受け線狙い」だけでは結局のところ最終的にヒットまでは結びつかないんですよね。受け線狙いをやった上で、さらに作品として面白いものに昇華していかないといけない。そのあたりは、まさに本作は非常によいお手本になるのではないかなとか思ったりします。


 ただ、本作のパロネタ全開というのは、明らかに制作時期が80年代末という時代背景もあるのかなとは思います。80年代中盤のアニメ黄金時代に今日のオタク文化の基礎ができあがり、それに付随する形で同人誌市場やアニパロ文化が花開いたというのが、大きな影響を与えている気がします。


 私も、その直撃世代なモンだから、ついパロネタ入れちゃうんですよねえ(爆)。Web作家様でパロネタ好きな方々の作品読んでみると、だいたい「この時代」にリアルタイムで楽しんでたネタが入っててニヤリとするという(笑)。


 このあたりは不治の病なんで、どうにもなりませんなあ。


 さて、これで88年は終わりです。実はこの88年には『魔神英雄伝ワタル』、89年には『魔道王グランゾート』という名作があったりするのですが、残念ながらどちらも未見なんですよ。これはもう『ワタル』のロボやキャラがSD体型であることが性に合わなかったからとしか言いようがありません。『グランゾート』はSD体型じゃなくなったんですけど、結局『ワタル』の後番組だったので見なかったという。


 次は89年に入ります。トランスフォーマー初期五作の最後の作品『トランスフォーマービクトリー』に行ってみましょう!

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