第141話 機甲戦記ドラグナー(1987-88年)

 87年最初の作品は『機甲戦記ドラグナー』です。本作については、リアルタイムで最初の数話を見て切ってしまいましたので、それだけしか語れないんですね。私が遊んでいた頃のスパロボにも出てませんし、再放送も見ていません。


 本作については、リアルタイム当時から「ガンダムの焼き直し」という印象が強くありました。設定的に見ても、「コロニー国家の地球への独立戦争」→「月面国家の地球への独立戦争」、「コロニー落とし」→「マスドライバーによる地球攻撃」、「偶然最新兵器に乗り込んだ民間人が徴用されて戦争に参加する」、「敵軍エースパイロットの妹がヒロイン」など、露骨にガンダムっぽい要素が入っていたんですよ。それで「まあ、見なくてもいいか」と思ってしまったんですね。


 ただ、序盤で切った理由は、それだけではなかったんですね。主役ロボであるドラグナーのデザインの問題がありました。いや、ドラグナーの名称をもつロボは三機あったんですが、それら自体のデザインは決して悪いとは思わなかったのですよ。


 じゃあ、何が悪かったかというと「キャバリアー」です。ドラグナー三機のうち、主人公ケーン・ワカバの乗るD-1の追加装備なんですが、何というか丸頭で非常にダサいという。


 これ、リアルタイム当時のスタッフが当時のアニメ誌で語っていたところによると、時代劇の股旅物っぽく、菅笠すげがさをパッと投げ捨てる印象で装備を外すって演出をしたかったみたいなんですよ。


 それで、菅笠みたいな丸頭になってるという。


 ところが、追加装備だから、これ付けてる方が強いはずなんですよ。遠距離砲撃用装備とか、電子装備とかが追加されてるから。ただ、ゴテゴテしてて重くなるので、白兵戦はできないと。


 それで、最初に遠距離砲撃戦をやるときはキャバリアーを装備していて、敵が近接してきたらキャバリアーを外して近接格闘戦に持ち込むと、そういう意図だったみたいなんですね。


 そう説明されると意図はわかるのですが、ただ、いかんせん時代に合ってなかったというか。


 時代劇でも『水戸黄門』や『遠山の金さん』、『暴れん坊将軍』、『桃太郎侍』あたりはまだやっていたのですが、既に「股旅物で菅笠をパッと投げ捨て……」なんて時代劇は無くなっており、私だって見たことなかったですから。


 実際、不評だったらしくて、このキャバリアーって比較的序盤(Wikiによると第10話)であっさり爆弾代わりに使われて大破し、無くなってしまいます。その頃は既に切ってたんですが、その展開をアニメ誌で読んで知ったときは「ああ、やっぱり」と思ったものです(笑)。


 主人公ケーンたちは、ドラグナーに乗り込んだ際に生体認証登録されてしまって、それを解除するために地球の連合軍本部を目指すというストーリーでした。何で正規の軍人がいるのに民間人だったケーンたちがドラグナーに乗っているのかという理由付けには一応なっていますね。


 また、本作ではガンダムシリーズ一番の理不尽である「量産型より試作機の方が強い」について設定上の修正を行っております。量産機である「ドラグーン」は初期型ドラグナー三機の良いとこ取りをした機体で、初期型ドラグナー三機より強いんです。


 ただ、ドラグナー三機はそれぞれパワーアップしており、D-1とD-2はカスタム機に改造されてドラグーンより強くなっています。また、偵察・電子戦機のD-3はソフトウェアや電子機器のアップデートによって強化されたという設定のようです。


 このあたりは、アニメ誌で設定を読んで「おお、このあたりはきちんと設定的に改善したんだな」と感心しました。ただ、作中では結構弱かったという感想も『月刊OUT』あたりでは読んでいましたが(笑)。


 そういうわけで、アニメ誌での情報収集がメインで見てなかったドラグナーなんですが、弟も見ていなかったのに、なぜかプラモだけは買っていました。改造後のD-1カスタムですね。大気圏内飛行用に翼がついている機体で、できは結構良かったという記憶があります。


 さて、このドラグナーは特に打ち切りになったりはせず、四クール全四十八話で終了しました。


 しかし、本作をもって1979年のガンダム以来続いていた、サンライズ制作の土曜十七時半テレビ朝日系列の巨大ロボットアニメは終了となります。後番組は、日仏共同制作の宇宙冒険SFアニメ『ユリシーズ31』(あの長浜監督の遺作)でした。こちらは全然見ていません。さらに、そのあと『鎧伝サムライトルーパー』『獣神ライガー』とサンライズ制作ながらタカラがスポンサーの非巨大ロボットアニメ(ライガーは微妙ですが)が続いて、再び巨大ロボットアニメの『勇者シリーズ』につながっていきます。


 この『勇者シリーズ』については、かなり明確に『トランスフォーマー』シリーズの後継シリーズという要素が強いので、このドラグナーまでの巨大ロボットとは別枠で考えるべきでしょう。


 このドラグナーの終わりが、ひとつの時代の終わりだったと、そう私には思えるのです。

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