第129話 忍者戦士飛影(1985-86年)

 さて、今回はレイズナーより3日遅れて始まった『忍者戦士飛影とびかげ』行ってみましょう。読み方は「ひえい」じゃありませんよ。本作については、リアルタイムで最初の方だけ見ていました。スパロボにも出てるみたいですが、出てるスパロボは遊んでいません。再放送なども見ていないので、純粋にリアルタイムで視聴した印象だけです。


 これ、別につまらない作品じゃなかったんですよ。でも、凄く面白いというわけでもなかった。だから、途中で何となく見なくなったんだと思います。


 今にして思い返すと、ロボについて不満があったんですね。スーパー系であることについては、この頃は既にリアル系幻想はさめていたので、特に問題ではありませんでした。


 ただ、この作品のロボって、人型ロボ二体が合体することで、野獣や幻獣を模した形態の強力なロボになるというところが売りだったんですよ。これが合わなかった。


 タイトル主役ロボの飛影は無人で自分の意志を持っているように思えるロボでしたが、私が見ていたときは会話はしていません。ほかに、黒獅子くろじしという名の黄色いロボ――一応黒い部分もありますが、なぜ黄色いのに黒獅子なのか?(笑)――に主人公ジョウが、鳳雷鷹ほうらいおうという赤いロボにヒロインのレニーが、爆竜ばくりゅうという青いロボにジョウの弟分のマイクが乗って戦います。この黒獅子、鳳雷鷹、爆竜は全部人型ロボです。


 この人が搭乗する各ロボがピンチになると、どこからともなく飛影があらわれ、各ロボそれぞれと合体します。すると黒獅子は文字通りライオン型、鳳雷鷹はフェニックス型、爆竜はドラゴン型のロボになってパワーアップするのです。


 これねえ、逆だったら良かったんですよ。ライオン型の黒獅子がピンチになったら飛影が現れて、それと合体すると強力な人型ロボになる、って形だったら、私は気に入っていたかもしれません。


 要するに、強い方の形態が野獣や幻獣の形というのは、どうにも違和感があったんです。ダンクーガも似たような感じで戦車が野獣形態になっていましたが(戦闘機はオーラに包まれるのみ)、ダンクーガの場合は野獣形態から更に人型になるんですよ。最終合体形態のダンクーガも人型でしたし。


 そこがどうにも合わなかったので、途中で見るのをやめたんじゃないかなと、今にして思い当たったりするわけなのですよ。


 ストーリー面でいうと、「ニンジャ」が重要なキーワードだったりします。宇宙の彼方から伝説のニンジャに救いを求めてやってきたお姫様たちを守って侵略者と戦うという、ある意味王道で、ある意味非常にネタ的なストーリーは、既にトランスフォーマーでアメリカンセンスを経験していた私にとっては、決して不快ではありませんでした。むしろ好きな方だと言っていいでしょう。放送開始前にアニメ誌であらすじ読んだときには「これアメリカに売る気マンマンだろ」って大笑いしてましたから。


 お姫様のロミナ姫も、戦うヒロインのレニーもキャラデザ的にも性格的にも好みのタイプでしたし。


 ただ、それでも、やっぱり、ロボが合わなかったんですよねえ。特に主人公ジョウが乗る黒獅子が、あまりカッコ良くなかった。むしろレニーの乗る鳳雷鷹の方がカッコ良かったり。


 これ、Wikiで読んだところによると、後半はジョウが飛影に乗るようになって、黒獅子は別のキャラが乗るようになるそうです。しかも、後半で合体するときは、ほぼ鳳雷鷹と合体していたようで。やっぱり鳳雷鷹がカッコ良いと思われていたんじゃないかと。ヒロイン機でもありますし。


 それから、主題歌「LOVEサバイバー」は、番組名やロボ名こそ入っていないものの、なかなかノリが良く、カラオケで歌っても燃える名曲です。ただ、TVオンエアバージョンがレコードと編曲が違うんですよね。ダンクーガの「愛よファラウェイ」もそうだったんですが、TVだと一番と二番をまぜこぜにして使ってるという。この頃のアニメには、結構よくあるパターンですが、TVで歌をおぼえた場合はカラオケで歌いにくいという弊害がありました。


 比較的序盤で見るのをやめてしまったので、そのあとのことは知らなかったのですが、Wikiによると本作も打ち切りの憂き目にあっているようです。実質四十一話+総集編二話の全四十三話。奇しくもガンダムと同じ話数ですね。


 ダンクーガ、レイズナー、飛影と、この1985年に作られた巨大ロボットTVアニメのうち三作が打ち切りの憂き目にあっているという事実自体が、既に巨大ロボットアニメの時代がTVでは終わりつつあったということを示しているのかもしれません。そんな中で生き残ったのが「ガンダム」と「トランスフォーマー」という今日まで生き残っている二大ブランドの作品だったというのは、今日の視点で見てみると実に意味深です。


 その一方で、この1985年というのはOVAにおいてメガゾーン23や幻夢戦記レダのほか、『戦え!イクサー1』も作られており、そうしたよりマニアックなメディアにおいては巨大ロボというのは「売れる」要素のひとつだったということも言えるかと思います。


 そう、この頃の子供が普通に楽しむ玩具は、既に巨大ロボの玩具からファミコンに移り、巨大ロボは子供が楽しむものからマニアのものになりつつあったのではないかと思えるのです……いやまあ、今でも戦隊の巨大ロボ玩具は子供たちのマストアイテムではありますけど。それでも、あの巨大ロボこそが子供の玩具の王様だった時代を知っている身としては、このあたりが時代の転換点だった気がしてならないのですよ。


 さて、これで1985年は終わり、次回からは1986年の巨大ロボットアニメに入ろうかと思います。

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