第119話 戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー その5 コンドル、帰ッテキタ編

 「さて、今回のトランスフォーマーは……」で始まるナレーションが政宗一成だというのは初回のネタでしたが、当時のアニメらしく、トランスフォーマーは脇役は声優が役柄を結構兼任しているのです……って、今Wikiで調べたら、結構入れ替わりもあるのね(笑)。コンボイの玄田哲章やメガトロンの加藤精三も別役当ててることがありますし。というわけで、政宗一成はナレーションも担当していましたが、役柄としてのメインは今回語りたいサウンドウェーブだったりします。なので、サブタイトルはサウンドウェーブの定番セリフからいただきました。


 この人、トランスフォーマーの中でも一番大好きなキャラなんですよ。デストロンの情報参謀として、一番頭が良いように描写されています。常に冷静沈着で、初期はコンピューターのような感情の無い話し方をしていました。そのため、メガトロン様にも敬語を使っておらず、サブタイトルにしたセリフも「メガトロン、コンドル、帰ッテキタ」みたいにメガトロン様を呼び捨てにしています。ただ、スタースクリームすら許すメガトロン様は、そんな細かいことは気にせずサウンドウェーブを重用していました。


 もっとも、登場期間がトランスフォーマーの中でも特に長く、この第一作から、日本制作になった第三作『ザ・ヘッドマスターズ』まで皆勤だったりするので、話し方や性格などは後半のシリーズだとかなり変わっています。結構流暢りゅうちょうにしゃべるようになっていたり、敬語使ったりとか。


 情報参謀として、サイバトロンの様子を探るスパイ活動が仕事のメインになります。カセットデッキに変形するのですが、胸の中にカセットテープから変形する小型ロボを複数体収納しています。その小型ロボたちをつかってスパイ活動を行うわけです。


 小型ロボは第一作だと五体いました。サブタイにも出てきて、よく使われるのがコンドルという文字通りハゲタカ型に変形するロボで、このため第一作だと鳴き声のみでセリフがありません。ただ、サウンドウェーブとの意思の疎通はできていました。サイバトロンの様子をビデオ撮影して再生するようなこともやっていて、スパイ活動には不自由がなかったようです。赤と黒が基本カラーですが、この赤がオレンジ気味の黄色になった色違いの同型ロボとしてバズソーがいます。


 ほかに、人型に変形するのがフレンジーとランブルという同型の兄弟ロボがいます。青と紫がフレンジーで、赤と黒がランブルです。これ、玩具だとランブルの方がサウンドウェーブの玩具に同梱されていて、単体では非売品でした。腕をハンマー状に変形させて地面を叩いて地震を起こす「ハンマーアーム」が得意技で、小型の割には力持ちです。


 また、黒豹に変形するジャガーというのもいました。こいつのみ兄弟がいなかったのですが、後年になって白色の同型ロボが出たというのをWikiで見ました。


 後年の続編だと、さらにラットバットとか蝙蝠に変形するヤツも出てきたりするのですが、第一作ではこの五体がサウンドウェーブの部下として、小柄な体を生かしてスパイ活動を行っていました。こいつらを胸の中から出撃させるときの定番セリフが「イージェーク」です。Wikiだと「イジェクト」って書いてましたけど、実際の発音はこんな感じで、イントネーションも平坦でしたね。これがヘッドマスターズの頃だと「イジェェェーク!」みたいに気合いの入ったイントネーションに変わっています。


 さて、この人と部下のカセットたちですが、一見すると普通のラジカセやカセットテープを玩具として縮小したように思えるかもしれません。しかし、ミクロマンのカセットマンとして販売されていた頃に既に気付いていたのですが、実は「マイクロカセット」の1/1スケール(原寸)サイズなんですよ。


 当時は、音楽用の普通のサイズのカセットテープ以外に、今日のICボイスメモ的な会議や取材の録音用として一回り小さい小型のカセットテープ「マイクロカセット」があったんです。留守番電話の録音用としては、90年代前半まで使われていたような記憶があります。


 コンドルとかの変形後のカセット形態を見ると、穴の位置やサイズからして、普通のカセットとはバランスが違うんですね。明らかにマイクロカセットの原寸っぽいという。このあたりは、リアルタイムで見てないと気付かないネタなんじゃないかと思います。


 ともあれ、カセットデッキとテープという組み合わせのため、部下たちとの相性は抜群で、システム的に部隊を運営しているところからも、頭の良いキャラという雰囲気がありました。


 作中では中盤から、同じくラジカセから変形するブロードキャストというライバルがサイバトロンに登場するのですが、これもミクロマン系のラジカセロボの流用です。ラジカセロボでは実用機能としてラジオが聞ける機能がついていたのですが、トランスフォーマーではオミットされてしまったようです。ブロードキャストも胸にカセットボットという部下を入れることができるのですが、カセットボットの登場は続編『2010』以降でした。


 このサウンドウェーブと部下たちは、私以外にも好きな人が多かったようで、デストロンの最初期メンバーがあらかた『ザ・ムービー』で戦死するか、『2010』以降はフェードアウトしてしまう(カメラロボのリフレクター三人衆なんか第一作から影が薄い)のに対して、『2010』以降も結構存在感を持って登場し続けました。


 ただ、ヘッドマスターズでは最初期の第2話でいきなりライバルのブロードキャストと相打ちになって戦死してしまいます。ただ、すぐに第4話で強化再生され、それ以降はサウンドブラスターと名乗って活躍し、ヘッドマスターズでも最後までレギュラーでした。


 サウンドブラスターに強化されたと言っても、実の所成型色が紺色から黒に変わったのと、胸のカセット収納部の蓋がふくらんでカセットロンを二体収容できるようになったことしか玩具の変更点はありませんでした。ええ、両方とも弟が買って家にあったんで知っています(爆)。


 なお、「サウンドブラスター」というと、Windowsパソコン初期の定番サウンドボードの商品名でもありました。当時のパソコンゲームでは「BGMを聞くためにはサウンドブラスター互換音源が必要」みたいにパッケージに書かれていたものです。閑話休題。


 このサウンドウェーブについては、ヘッドマスターズどころか第五作『ビクトリー』が終了したあとに、本物のカセットテープ(マイクロカセットではない)を再生できる機能がついた玩具(カセットのサイズが違うので完全な新規造形)が発売されたような気がするのですが、いくらググっても出てこないんですね。Wikiにも書いていませんし、映像も出てこないという。知ってる人いらっしゃいますでしょうか?


 ということで、非常に人気のあるキャラだったのですが、ハリウッド映画版だと既にカセットテープ自体が時代の彼方に消え去ったあとだったので、イマイチなキャラになってしまっていたのが残念なところです。


 さて、ほかにも語りたい人は大勢いるので、まだまだトランスフォーマー語りは続きますよ。


 「さあ、戦いだ!」

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