第116話 戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー その2 私にいい考えがある編

 さて、続いてしまいましたトランスフォーマー語りなのですが、こいつについてはロボ語りがそのままキャラ語りになるという特徴があります(笑)。ということで今回は正義の軍団サイバトロンのキャラを語っていこうかと思います。なので、サブタイトルはサイバトロンのリーダー「コンボイ司令官」の口癖からいただきました。


 「正義の軍団」と書きましたが、トランスフォーマーは「サイバトロン」と「デストロン」という二大軍団の抗争がメインストーリーとなっています。そしてサイバトロンが正義(善)で、デストロンが悪という非常にわかりやすい対立図式になっています。このあたり、アメリカの子供向け番組ということで、リアルロボ路線で複雑化した日本のロボットアニメとは一線を画すわかりやすさです。


 それぞれの軍団には、軍団を象徴するエンブレムが設定されており、所属ロボは全員がそれを身につけています。サイバトロンは赤系のエンブレムで、デストロンは紫系のエンブレムであり、一目で所属がわかります。また、アニメ本編の場面転換時にもエンブレムが登場し、それがひっくり返ることで次のシーンはどちらの陣営の話になるのかを示すという、非常にわかりやすい演出がされています。


 この単純明快なわかりやすさが、複雑怪奇なリアルロボに食傷気味だったリアルタイム当時には非常に魅力的に思えたんですね。よく考えてみたら、そのときに見てたリアルロボって、特に難解なZガンダムだったという(笑)。


 なお、軍団名はアメリカ版と異なっています。アメリカ版では正義側が「オートボット」、悪側が「ディセプティコン」と呼ばれています。ちなみに、アメリカ版でもサイバトロンという名称は出てくるのですが、これが日本版では「セイバートロン星」と呼ばれるトランスフォーマーの母星の名前のことなので、少し混乱します。なお、作品タイトル自体も『トランスフォーマー』と複数形なんですね。中国人の我が女房は英語風の発音で「Transformers」と呼んでおります。中国でも放送してたんで、巨大ロボというとトランスフォーマーが代表みたいな感じだそうで。


 それでは、各キャラについて語る前に、まず、なぜトランスフォーマーたちが地球で戦っているのかについて説明しましょう。


 トランスフォーマーたちは、サイバトロンもデストロンも宇宙の彼方にあるセイバートロン星の出身で、その星で長年にわたって戦争を続けていました。しかし、長引く戦争の影響で星のエネルギーが枯渇してしまったので、サイバトロン軍団は新たなエネルギーを求めて宇宙船に乗って他の星へ旅立つことにしたのです。


 しかし、それを察知したデストロン軍団が宇宙船で追ってきます。デストロンは接舷戦闘をしかけてサイバトロンの宇宙船に乗り込み、船内での戦闘になります。その戦いの混乱の中で宇宙船はコントロールを失い、四百万年前の地球に墜落します。その衝撃で宇宙船は機能を停止し、トランスフォーマーたちは全員仮死状態になってしまいます。


 それが、四百万年後、1980年代になったときに火山の噴火のショックで宇宙船の機能が一部復活して、自動修復装置がはたらき、トランスフォーマーたちを復活させようとします。その方法が、地球の乗り物や機械を取り込んで、トランスフォーマーたちに融合させるというものでした。このため、トランスフォーマーたちは地球の乗り物や機械に変形するようになったのです。


 なお、この再生のときに最初に復活したのはデストロン軍団の一員でした。このためサイバトロンのメンバーは再生の対象にされずに放置されるところだったのですが、デストロンのサブリーダーであるスタースクリームが最後に戯れに放ったビームの一撃が、偶然にも再生装置を再起動してしまい、サイバトロン軍団も再生されることになったのです。


 かくして、1980年代の地球において、サイバトロン軍団とデストロン軍団の抗争は再開されることになりました。ただ、当初の目的がエネルギーだったので、デストロン軍団の作戦目的は大抵は「地球のエネルギーを奪う」ということになっており、サイバトロン軍団がどうやってそれを阻止するのか、というのがストーリーの大筋になっています。


 さて、サイバトロン軍団のリーダーであるコンボイ司令官ですが、アメリカ版と名前が違うというのはリアルタイム当時から二次資料に書かれていて知っていました。ほかのメンバーは、ほぼアメリカ版準拠なのに、何でこいつだけダイアクロンの「カーロボット」シリーズだったときと同じ名前なんだろうと不思議に思ったものです。


 アメリカ版の名前については、のちにハリウッド映画版が作られたときには、そちらの名前が使われたので今日では有名になっていますが、「オプティマス・プライム」といいます。私の記憶だと当時の二次資料では「プライムス」って書いてあったんですけど、正しくは単数形のプライムのようです。のちの後継司令官ロディマスコンボイが「ロディマス・プライム」なんで、プライム(「最重要」、「第一」の意味)は最高司令官の意味で使われているんでしょう。


 そして、こいつの日本名については、以前に「なろう」の活動報告でも書いたのですが、完全に誤解が元になっています。「トレーラートラック」に変形するから「コンボイ」司令官。なるほど、ある意味、非常にストレートでわかりやすいネーミングです。しかしながら、グレンダイザーのところでも書いたように「UFO」は「空飛ぶ円盤」とイコールではないのです。同様に「コンボイ」というのは「トレーラートラック」のことではありません。本来の意味は「船団」です。


 1978年公開の映画『コンボイ』ではトレーラートラックの集団が爆走する様子を船団に例えるためにこのタイトルになったという話です。ところが、日本ではこの映画が大ヒットしたせいで、「コンボイ」とは「トレーラートラック」のことだと誤解されてしまったんですね。


 同じような例に映画『ジョーズ』があります。このタイトルは「ジョー」の複数形という中学生レベルの英単語なんですが、人食い鮫に人が襲われるという映画内容から「ジョーズ」=「人食い鮫」になってしまったという(笑)。なお、この映画のメインテーマ曲は恐怖感をあおる名曲だったりするので、TVのバラエティ番組などで多用されていました。閑話休題。


 さて、そのコンボイ司令官ですが、『月刊OUT』の巨大ロボ特集企画の際に「最も頼りになるロボット」に選ばれたことがあります。ただし、その理由は「声優が玄田哲章だから」というものでした(笑)。実際、コンボイ司令官の声というと、この人以外には考えられないくらいに、しっくり合っている配役であり、また玄田哲章ご本人も大切な役だと考えられているようです。


 しかしながら、それを除外して、純粋に作中の言動だけで見てみると、意外にもこの人(←人じゃありませんが、人格ありのロボについては「人」と表現します)、結構いい加減だったり、その場の思いつきで行動したりしてピンチを招いたりしてるんですね。後年戦死したことで「名司令官」と讃えられているんですが、実は作中の言動見てると、あまりそれっぽくないという(笑)。


 カリスマ性はあり、仲間からの信頼は厚い……ということになってますが、ダイノボットやエアーボットの初登場のときには、いきなり全然命令聞いてもらえなかったり、信頼されてなかったりするような描写もありました。


 コンボイの死が描かれるのはアニメでの劇場版『トランスフォーマー・ザ・ムービー』ですし、その再生が描かれるのは続編『トランスフォーマー2010』になりますので、そこで改めて語ることにしましょう。トランスフォーマー語りは、まだまだ続きますよ。


「さあ、戦いだ!」

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