第115話 戦え!超ロボット生命体 トランスフォーマー(1985-86年)

※前話の内容を2018年5月15日6時半頃に変更いたしました。休止の告知から番外編の『ダイアクロン』語りになっております。


 さて、今回の『燃えよ、ロボ魂!!』は……とスタートするというネタが何人にわかってもらえるか心配な『トランスフォーマー』語りです(笑)。これ、本作ナレーター政宗一成の番組開始時の定番ナレーション「さて、今回のトランスフォーマーは……」が元ネタなんですね(爆)。


 本作については、リアルタイム当時に全話とはいきませんが大半を見ています。また、後年DVD-BOXを購入して全話見直しました。


 本作はアメリカ製の巨大ロボットアニメとして知られています。原作はアメリカのハスブロ社です。ただ、ロボ自体は日本のタカラ(現タカラトミー)が作っていた『ミクロマン』と『ダイアクロン』という、TVアニメなどの企画が無かった玩具シリーズに出てくるロボを再利用しています。当然ながら玩具もタカラ製がメインです。


 ……が、ハスブロが他メーカーの玩具も買ってラインナップに加えていたので、タカラ製でないロボも居るという。そのうちの一体であるオメガスプリームについては、トミー製だったので後年タカラとトミーが合併したあとになって、金型も残っていたのでトランスフォーマーの一体として再販されるという何とも奇跡的な出来事が起こっています。


 また、もう一体であるスカイファイヤーについては、リアルタイム放送当時から「どっかで見たことがあるデザインだなあ」と思っていたのですが、後年になって実は玩具が「スーパーバルキリー」だったということを知って「ああ、なるほど」と思ったものです(笑)。


 なお、アメリカ製とは言いますが、実のところ作画には東映動画が関わっている回も多くあります。ただ、日本が出てくる「パニック・ザ・クレムジーク!」の回などは完全にアメリカ製なので、日本の描写がものすごく変だったりもします(笑)。何で日本登場の回を日本に任せないんだというのが一番のツッコみどころだったり(笑)。


 さて、本作の最大の特徴は、何といってもロボが「生命体」であるということでしょう。人型のロボ形態から、自動車や飛行機などの乗り物、あるいは銃や携帯カセットプレイヤーなどの道具、または恐竜や昆虫などに変形できる「ロボット生命体」なんですよ。だから、それぞれが自分の意志を持っており、パイロットなどは居ません。


 ガンダム以降、巨大ロボが「なんで人型であるのか」という理由付けはいろいろとされてきたのですが、トランスフォーマーでは単純かつ豪快に「元来そういう生命体だから」でカタを付けているという(笑)。


 これ、前にも書きましたが、先行例としてゴールドライタンが居るんですよね。ただ、ゴールドライタンがそれ単独で終わってしまったのに対して、トランスフォーマーは大ヒットしてシリーズ化すると同時に、ライバルのバンダイの『マシンロボ』に影響を与えたり、同じタカラの後継作『勇者シリーズ』にも多大な影響を与えているという。


 なお、元が『ミクロマン』と『ダイアクロン』という二つのシリーズのロボだったためか、変形モチーフは乗り物系と身の回りガジェット系に大きく分かれます。ミクロマンの方のロボットが携帯カセットプレイヤーやカセットテープ、拳銃、カメラ、顕微鏡などから変形するのに対して、乗り物系は自動車がメインで、ほかに戦闘機とか戦車から変形するものも居ます。


 ただ、どちらもロボ形態では巨大ロボです。そのせいか、ガジェット変形系の場合、かなり豪快にサイズが変わる者が居ます。代表例は、悪側軍団デストロンの総帥メガトロン様で、ロボ形態のときは同じくらいの背の高さだった他のロボの手にすっぽり収まるくらいのサイズの拳銃に変形するんですね(笑)。


 このあたりのいい加減さは、アメリカ製のゆるいシナリオと相まって、トランスフォーマーの独特の雰囲気を作っています。ツッコみどころ満載なんですが、本作でそこツッコんでもしょうがないだろうという雰囲気なんですね(笑)。むしろそこが味になっているという。


 なお、アメリカでTV放送するための放送コードにひっかからないようにするために、本作では一切死人が出ません。ロボだって死にません。いや、死んだような描写はたまにあるんですが、すぐ復活します(笑)。


 ちなみに、トランスフォーマーの「バンクに頼らない高速変形」が日本の巨大ロボットアニメに影響を与えたという評をときどき見かけますが、それはむしろマクロスが最初にやってリアルロボットでは普通に行われてたことなので、トランスフォーマーの影響だというのは過大評価じゃないかなと思います。富野監督はZガンダムの高速変形はトランスフォーマーの影響だってインタビューで答えてたの読んだおぼえがありますが、あれはマクロスの影響って言うのが悔しかったからじゃないかな(笑)。


 トランスフォーマーの変形は、むしろゲッターロボも真っ青なクニャクニャ変形描写が数多く見られます(笑)。このあたりは作画担当によって相当に違っていて、玩具の変形を結構忠実にトレースしている場合もあれば、グニャグニャと真四角になってから、またグニャグニャとロボやメカに変形するというパターンもあります。このあたり、作画はかなりいい加減です(笑)。また、作画ミスも多発しており、同じキャラが二人いたり、色指定が間違ってることなんてザラです(笑)。


 そういったユルさも含めて、作品全般に流れるアメリカンテイストが本作の味であり特徴だったりするんですね。


 これは、完全にリアルタイム当時流行していたリアルロボットアニメの作風とは一線を画します。また、伝統的スーパーロボとも違います。トランスフォーマー独自の雰囲気と言っていいでしょう。


 そして、これが玩具も含めて大ヒットしたんですね。玩具自体は、もともとダイアクロンやミクロマンとして、それなりに息の長いシリーズだったものですが、本作放送当時は既に販売開始から数年を経て賞味期限を過ぎた玩具ばかりでした。


 それが、TVアニメの放送で息を吹き返したわけですよ。玩具的には成型色を変えたりといった工夫が必要だったものもありますが、初期メンバーは色とかも原型から大して変わっていないものが大半でした。パッケージの作り替えと、エンブレムシールの貼り付けくらいで、元の玩具の生産ラインを流用できたんです。それが大ヒットになったんだから、タカラとしては笑いが止まらなかったことでしょう。


 それが、作品後半になると『トランスフォーマー』として作られたオリジナル玩具も増えてきます。この当たりのデザインの変遷については、かなり興味深いものがあるのですが、そろそろ時間がきてしまったので、本日はここまで。


 うーん、本作についても何だか長くなりそうな雰囲気が漂ってきました。なので、最後はこれも政宗一成の定番名ナレーションで締めましょう。


「さあ、戦いだ!」

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