第110話 機動戦士Zガンダム その21 ホットスクランブル編

 さて、Zガンダム語りも今回で何と21回目。最後に玩具やプラモについてまとめて終わりにしましょう。サブタイトルは、放送終了後に作られたファミコンゲームからいただきました。


 まずは、そのファミコンゲーム『ホットスクランブル』から語りましょう。リアルタイムで遊んでた印象があったんですが、今回ググってみたら実際の発売は放送終了後、ZZが放送している時期でした。それでも、準リアルタイムと言っていいでしょう。この前にファミコンソフトになっていたマクロスの場合は、劇場版準拠でした。TVでやっていた巨大ロボがファミコンゲームとしてリアルタイムに近い頃に遊べたのは、これが初めてだったという印象です。いや、オーガスのゲームもあったみたいなんですが、発売がセガだから身の回りでハード持ってた友達なんてひとりも居ませんでした(笑)。


 今でこそ元祖キャラクソゲーとか評価されてますが、当時としてはそんなに悪いできだとは思ってませんでした。いや、難しかったことは難しかったんですが、私はゲームがド下手だったんで、どんなゲームでも大抵難しかったんですよ(爆)。


 前半は3Dシューティングゲームで、SFSに乗ったハイザックとかが飛んでくるのを打ち落とすゲームです。これが難しかった。こっちの攻撃が全然当たらないという。


 それで、しばらく時間が経過するか、ボス敵を打ち落とすと要塞に突入して、横スクロール型の2Dシューティングゲームに切り替わります。迷路みたいな所を通りながら、要塞のコアを探し、そのコア部分を破壊すれば面クリアというのが基本的な流れです。


 ぶっちゃけ後半は、当時ファミコンでも出ていた変形巨大ロボゲー『テグザー』そっくりでした(笑)。自機をZガンダムに、敵機をMSに置き換えただけという印象でしたね。


 前半は結構カッコ良かったんですけど、とにかく難しかった。本作を作ったゲームデザイナーの遠藤雅伸本人は前半部の3Dシューティングとして本作を作り上げたかったそうなのですが、テスト時にあまりに難しすぎて不評だったので、簡単にした上で後半の2Dシューティング面が追加されたのだとか。調整前のゲームもプレゼントとして限定配布され『ファイナルバージョン』と呼ばれていました。これは欲しかったおぼえがあるのですが、いかんせん簡易バージョンでも難しかったので、遊べたとしても楽しめなかっただろうなとは思います(笑)。


 逆に後半部は「取って付けた」ような感じがして、正直「要らんなあ」と思ってました。リアルタイム当時から『ファイナルバージョン』の存在が公表されてたんで、実際に「取って付けた」んだなとわかってましたし(笑)。


 これは買ったのではなく、近所のオモチャ屋でレンタルしてたのを借りて遊んだおぼえがあります。難しかったんで、期限まで借りて遊んだものの、それで返しちゃって終わりでした。まだゲームのレンタルとかに規制がかかっていなくて、街のオモチャ屋が勝手にそういうサービスをしてた時代だったんですよね。


 それ以外の玩具としては、Zガンダムとマーク2の超合金が出ていた記憶があります。ただ、これは持ってませんでしたし、持っている友人も知らなかったので、CMや店頭でパッケージを見ただけです。結構大きいサイズで、プロポーションも悪くはなさそうでした。Zガンダムの方は完全変形してた記憶があります。もちろんシールドとかは取って付ける必要がありますが。


 むしろ「ハイコンプリートモデル」の方が記憶に残っています。これはエルガイムの頃から売られていたもので、プラモを彩色して完成させたバージョンで売ってるというコンセプトの玩具でしたね。ただ、玩具としての耐久度はそれなりにあり、ネジなども使われていました。


 ハイザックとかリック・ディアスも出ていた記憶があるのですが買ったおぼえがありません。マーク2とZガンダムを弟が買って持っていました。特にZガンダムのできが非常によかったのはおぼえています。シールドを取って付けする必要はあるものの、一応ウェイブライダーに完全変形しましたし。


 ただ、MS形態のプロポーションは良かったのですが、ウェイブライダー形態のプロポーションはお世辞にもカッコ良いとは言えませんでしたね。これは当時の技術では両立させるのは難しかったのではないかと思います。


 プラモについては、結構買ったおぼえがあります。主に1/144スケールの小さいのがメインでしたが。マーク2、Zガンダム(非変形)、百式、リック・ディアス、ネモ、アッシマー(非変形)、メッサーラ、ギャプラン、そしてハンブラビ(笑)とパラス・アテネあたりは持っていた記憶があります。ガンダムの頃はザクスキーだったのに、不思議とハイザックとマラサイは持っていなかったんですよね。


 この頃から、たしか関節部がポリキャップになったんですよ。可動性とプレイアビリティーを両立させる工夫でしたが、初期は凹部のポリキャップがヘタれるのと、凸部がプラスティックだったので折れるという弱点があって、そんなにプレイアビリティーが向上した感じはありませんでしたね。ただ、数年で凸部もポリ部品に変わるとプレイアビリティーはだいぶ向上したという記憶があります。


 また、この頃はまだ組み立てに接着剤は必要でしたし、成型色もほぼ一色、多くてもせいぜい二色か三色で、カッコ良く仕上げたい場合は塗装が必須でした。


 ただ、MSVを経たバンダイの技術力はかなり上がっており、プロポーションは良好なものが多くなっていましたね。それにメッサーラやギャプラン、ハンブラビなど変形機構が簡単なものは完全変形していました。


 不思議と、後半系のMSにリアルタイム当時はキット化されていないものが多いという。バーザムやボリノーク・サマーンはともかく、ラスボスのジ・Oがキット化されていないというのは不思議でしょうがありませんでした。後年になって販売されましたけど。


 何で不思議かって、プラモ自体は売れてたんですよ。そうでなきゃ「続編を作る」って話になりません。だから、後半系MSのキット化が少ない理由が今ひとつわからないという。いや、ジ・Oはデザイン発注が急だったのでプラモ化を考えないでデザインされたということですが、隠し腕のギミックをオミットすれば、そんなに難しいとも思えないんですけどねえ。


 とにかく「プラモは売れた」という時点で、、「番組としては」なんですよ、Zガンダムという作品は。


 そして、このZガンダムが「」した結果として、これ以降ガンダムシリーズは作られ続け、今日もなお続いているわけです。


 そういう意味では、Zガンダムはまさに偉大な作品であり、「」と言えるでしょう……。ここ、重要なところなので二度繰り返しました(笑)。


 あ、最後に主題歌について少し語りましょう。当時、アニメ誌で「主題歌の作曲はニール・セダカ」というのを読んで「おお、何かスゲー!」と思いました……実のところ「で、ニール・セダカって誰?」状態ではあったんですが(笑)。


 ただ、そういうハッタリズムは大事だなあとは、今にして考えるとよくわかります。特にガンダムのような大成功作の続編を作る場合には。


 ところが、今回Zガンダムのことを書こうと思ってWikiを調べたら前期オープニングの「Z・刻をこえて」もエンディングの「星空のBelieve」も、既存曲に日本語の歌詞付けただけのカバーでしかなかったという(笑)。当時アニメ誌で「作曲はニール・セダカに頼んだ」って富野監督が言ってたインタビューにずっと騙されてたよ、畜生(笑)。


 ……と思ってたら後期オープニングの「水の星へ愛をこめて」は本当にニール・セダカに作ってもらっていたという。これ、後年バラドルとして名を馳せる森口博子のデビューシングルなんですよね。森口博子は『F91』でも主題歌歌ってて、何気に『サムライトルーパー』の後期オープニングみたいなアニソンも歌ってるという。


 この「水の星へ愛をこめて」は、サンライズ系土曜十七時半の巨大ロボシリーズのオープニングテーマソングとして、ひとつの大きなターニングポイントでした。エルガイムや、前半オープニングの「Z・刻をこえて」では一応ワンフレーズは入っていた作品タイトルが、とうとう入らなくなったんです。


 マーチャンダイジングの結果として、番組名を主題歌を入れる必要が無くなった……いや、むしろ邪魔になった、そういう時代が来たのだなあと、今にしてしみじみと思うのですよ。


 そして、それは既に巨大ロボットアニメというものが、時代から少しずつズレてきていたことの象徴だったのかもしれません。


 ……そういえば、最後に不思議に思ってたことをひとつ。エンディングではファ・ユイリィが跳ねるハロと一緒に走ってるんですが、後期になって服の色が変わってるんですよね。前期は、黄色と赤という作中序盤の私服なのに、後期はピンクと薄い空色という。そんな色の服は着てなかったのに、何で後期だけと思ってググってみたら、背景の宇宙とかも鮮やかになったり、途中のカットインの表情も変わったりしてるみたいですね。地味なバージョンアップだなあ(笑)。


 これにてZガンダム語りは終了。次回からは通常モードに戻りますが、いきなり新機軸、初のOVA作品『メガゾーン23』について語りたいなあと思っております。

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