第109話 機動戦士Zガンダム その20 お前ら何がしたいんだ?編

 とうとう過去最長20回目に突入ですよ。何でこんなに語ることがあるんだZガンダム!?(笑) 今回は悪役ズ語りなのですが、何というか印象に残るセリフとか無いので、サブタイトルは私の心の声です(笑)。


 Zガンダムってストーリーがわかりにくいんですが、その根幹にあるのがコレじゃないかなと思ったり。悪役が何したいのかサッパリわからんのです。


 いや、むしろティターンズ幹部のバスク・オムやジャマイカン・ダニンガンはわかりやすいんですよ。スペースノイドの弾圧。地球人の既得権を守る。前作ガンダムで言われてた「ジャブローのモグラ」の既得権益を守るための実行部隊ですね。それで、人質だ毒ガスだコロニー落としだと非道な作戦を厭わないという。


 ところが、大ボスのはずのジャミトフ・ハイマンがこれに同調していないという。もっとも、作中ではあまり語られてないんですけど、裏設定とかだと、むしろジャブローのモグラを叩きつぶそうという意図があるという。ギレンにシンパシーを感じていて、手法は『逆シャア』時代のシャアに近い。


 でも本編中ではそんな思想は、ちょろりとしか語られてません。ゲーム『ギレンの野望 ジオンの系譜』シリーズのジャミトフを主人公にしたシナリオのエンディングとかでは語られてるんで、それを遊んだときに「そうだったんだ!?」と驚愕したという(笑)。


 こういうわかりにくさがリアルタイムの頃の「つまんない」という評価につながってるんじゃないかと思います。


 ガンダムの魅力は確かに奥の深さにあったんですよ。表面では語られない設定の重厚さがあり、そこに想像力を働かせる余地があって、二次創作的な部分での補完がいろいろとできるという。


 また、複雑でもありました。未就学児には理解できないという。だから、小学校低学年になって理解できるようになるとガンダムは面白かった。


 ところが、Zガンダムの場合は、それよりさらに深くて複雑なんですよ。設定にせよ、人間関係にせよ。小学校高学年や中学生でも理解できなかった。難しすぎたんです。


 要するに、続編として進化させようとしたのはいいんですが、やり過ぎた。そこが富野監督が当時Zガンダムを称して「失敗作だ」と言った理由のひとつかなとも思ったり。


 いやまあ、先にも書いたとおり、バスク・オムとか、とってもわかりやすい悪役だったりはするんですが。『ザンボット3』のキラー・ザ・ブッチャーをリアルロボで80年代版にするとこうなるのかなという(笑)。


 ジャマイカンの小者っぷりも素晴らしいんですよね。小悪党ここに極まるといった感じで。まあ、それでも『ボトムズ』のカン・ユー大尉には負けますけど(笑)。


 さて、最後に「悪役」に入れていいのかは微妙なのですが、Zガンダム世界を、というかガンダムよりあとの宇宙世紀世界の紛争の影には必ず居たであろう存在がおります。


 メラニー・ヒュー・カーバイン。軍産複合体企業アナハイム・エレクトロニクスの代表です。ただ、のちの『ガンダムUC』では、彼の影にさらにビスト家なんて黒幕が存在したりしてるなんて設定が後付されていますが。


 こいつが、というよりは「アナハイム・エレクトロニクス」という軍産複合体企業が、敵味方どちらにもMSを売りまくって紛争を煽ってるんですね。マラサイが元はエウーゴ用だったのをティターンズに売られることになったなんて設定は、リアルタイム当時から二次資料で書かれていました。


 エウーゴのスポンサーなんで、形式上は味方なんですけど、紛争を煽ってるという意味では、こいつらこそ真の「役」ではないかと思ったり。


 Zガンダムの紛争って、そもそも連邦軍内の内紛みたいなものなので、エマやレコアが簡単に陣営を入れ替えたりしているんですよね。また、カミーユとジェリドが第1話から面識があって、戦闘中に罵り合ったりするという。


 ガンダムじゃあ、敵との戦闘中の会話って、中盤まではランバ・ラルとアムロがちょっとだけやっただけで、あとは最終盤にシャアやララアとやってるだけなんですよ。それがZガンダムだと頻発してるという。敵味方の接触が多すぎるんです。このあたりが、違和感につながってるんじゃないかなあと思ったり。


 そして、そういう「敵味方が結構交流してしまう」ことを象徴するのが、敵にも味方にも重要な存在で、どっちにもMSだの兵器だのを売りまくるアナハイム・エレクトロニクスなのかなあとか思ったりするのですよ。


 さて、そのアナハイム・エレクトロニクスですが、スポンサーであるバンダイの象徴じゃないか、なんてうがった見方もありますが、それ以上に「名前」が意味深なんですよね。ところが、私が見た限りでは、そのことに言及してる二次資料があまりないという。いや、私が見てないだけかもしれませんが。


 アナハイム・エレクトロニクスというからには、本拠地は現在のアメリカのカリフォルニア州アナハイムにあるんでしょう。少なくとも創業はそこだろうと。


 では、そのカリフォルニア州アナハイムには、我々の現実世界において何があるのか?


 こいつを抜きにしてアニメ業界は語れないという世界最大最強企業の最重要拠点が存在するんですよ。


 それは元祖「ディズニーランド」!


 そう、アナハイムとはウォルト・ディズニー社を象徴する地名だったりするんですよね。本社自体はバーバング市ですけど、ディズニーといえばここでしょう。


 絶対に、富野監督はそれを意識してネーミングしたと私は確信しています。何の根拠もありませんけど(笑)。


 さて、これでキャラについてはあらかた語りましたし、ストーリー面もロボ編とキャラ編であらかた語ってしまったので、次回は最後にプラモと玩具について語ってZガンダム語りは締めるといたしましょう。


 君は、33年の涙を見る。

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