第97話 機動戦士Zガンダム その8 敵量産機編

 さて、味方MSを総ざらえしてしまったので、残るは必然的に敵MSになります。量産型から行ってみましょう。とは言っても、実はZガンダムの敵量産型MSは意外にメインストリーム機は少ないんです。ハイザックの後継機マラサイと、終盤の主力機バーザムしかない。あとはカスタム機とか、少数生産の可変MAなんですよ。まあ、可変MAの中にもアッシマーみたいに量産されてるのもありますが。


 マラサイは、なかなか良いデザインのMSです。ハイザックが正当に進化した感じですね。ザク系の特徴である動力パイプは残しているほか、右肩のシールド、左肩のスパイク、全体的なフォームなどザクっぽい記号を残しながら、しっかりZガンダム時代のMSとして違和感のないデザインに仕上がっています。


 色は朱色系の赤で、シャア専用のピンク系赤とは少し違います。それでも量産型にしては派手な色使いだったりはしますね。


 もっとも、この頃にリック・ディアスも赤に塗り変わったので、敵味方とも赤系の量産型になったという。


 ……敵味方識別の関係からすると、良くないんじゃないかという気もします。デザインラインでは配慮があるのに、カラーリングの方では意外に配慮が無いというか。


 後年どこかの雑誌で『UC』のアニメ版の絵を見たときに、緑のザク色に塗られているマラサイを見かけたのですが、非常に違和感の無いカラーリングでした。最初からその色にしといた方が良かったんじゃないかとか思ったり(笑)。


 なお、モノアイが青系の色をしています。普通は赤色の機体でもピンクのモノアイなので非常に珍しい例です。


 作中ではジェリドが乗っていて、結構善戦していました。あと、カクリコン・カクーラーも乗っていて、大気圏突入時に落下速度を緩和するバリュートシステムが破壊されたことで、マラサイごと燃え尽きています。


 設定上はかなり高性能機扱いですし、ジェリドの善戦ぶりから言っても、決して悪い機体ではないです。デザインの良さも相まって、好きな機体ですね。ガンダリウム合金製ですし。武器はハイザックのビームライフルとビームサーベルを流用していますが、さすがにハイザックと違って、こいつは両方を同時に使用可能です。


 『ギレンの野望 ジオンの系譜』ではザク系の最強量産型でした。


 リアルタイムの頃の二次資料に既に「本当はエウーゴ用に開発されたが、開発元のアナハイム・エレクトロニクスがティターンズと裏取引をしてティターンズ用になった」ということが書いてありました。このあたりの複雑さがZガンダムをわかりにくくしてるのかなとは思ったりはします。ただ、リアルタイム当時はこういう設定にしびれたんですねえ。


 ところが、今回の内容を書くのにあたってWikiを見てみたところ、これ実際に制作側に起こったことを裏設定にしたと書いてあったので驚きました。


 本当に、マラサイってエウーゴ用MSという設定でデザインされたんだという。ところが、敵はモノアイ、味方はゴーグル系カメラアイで統一しないと混乱の元になるという理由で敵MSにされてしまったのだとか。


 だったら、最初から「味方はモノアイ、敵はゴーグル系」で統一した方が良かったんじゃないか、というのは先にも書いたとおりです。


 ただ、まあ、まだ前作ガンダムのイメージ、特にMSVのイメージが強く残っていたので、「敵はモノアイ」で統一する方がわかりやすいというのはあったのかもしれません。


 それから、ネーミングは「ドミンゴ」を予定していたのに、実在する車があったのでマラサイに変更されたということも、リアルタイムの頃の二次資料に載っていました。


 何かと、リアルタイム当時から裏設定の多い機体でしたね(笑)。


 裏設定といえば、後半のティターンズ主力量産機バーザムも負けていません。これもリアルタイムの頃から二次資料に散見されているのですが、こいつ何とマーク2の量産型だという。


 どこがじゃい!? とツッコみたくなるくらい、マーク2とは似ていません(笑)。


 しかも装甲材質はガンダリウム合金。マーク2より性能が向上しています。もっとも量産型というのは、本来はそういうものであるべきで、ガンダムからスペックダウンしているジムの方がおかしいんですが(笑)。


 ただ、デザインは非常にカッコ悪いです(笑)。顔ではモノアイ部分が妙にデカいのと、体は手足が異様に長くて、どちらもバランスが悪いという。


 何だか、デザインライン的に非常に浮いているんですよ。そのためか、Zガンダムの後期以外はほとんど他作品に出てこないという。


 マラサイなんかは、ティターンズ機のくせにデザイン上は非常にジオン系と相性が良いせいか、ZZでもUCでもネオジオンに接収されて出てくるというのに。


 作中でも、マラサイみたいにジェリドが乗って活躍、みたいなシーンが無いため、ただの敵雑魚MSでしかなく、特に印象に残っていないという。だから、設定画でのデザインのバランスの悪さばかりが記憶に残っているんですよね。


 何だか、いろいろな意味で可哀想な機体なのでした。


 さて、そろそろ時間が来ました。次回はティターンズのカスタム系MS・MAに行っちゃいましょう。


 君は、33年の涙を見る。

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