第61話 超時空要塞マクロス その3 拾ったものを使うからです編

 さて、マクロス語りも第3回です。今回のサブタイは本作ヒロイン早瀬はやせ未沙みさの第2話のセリフから。マクロスという艦を一番象徴する言葉かと思いまして(笑)。


 ということで、本作のタイトルロボたるマクロスです。全長千二百メートルの宇宙戦艦が変形して、身長千二百メートルのロボになります。もっとも、半分から三分の一くらいは主砲の砲身が肩から上に伸びてるだけなので、頭頂高は六百~八百メートルくらいでしょうか。それでも、リアルタイム放送当時は史上最大のロボでした。


 こいつは、確かに「主人公が操縦するロボ」ではありません。しかし「ストーリーの中核に位置するロボ」ではあります。そういう意味で「主人公ロボ」と言っても間違いではないかと思います。番組タイトルにもなっていますし。それに、一応「主人公が乗る」ロボでもあります……その中で生活してるって意味ですが(笑)。まあ、それ言っちゃうとアイアンギアーもそうなんですけどね。


 デザイン的には、正直言ってそんなにカッコ良いわけではないです。前述のように、肩から上に主砲の砲身が二本ニョッキリと伸びていて、プロポーションのバランスは悪いです。それ取っ払って考えると、今度は胴体に比べて手足が太すぎるし、腕は長くて足が短すぎます。


 最初に戦艦形態のデザインを見たときに、いかにもロボに変形しそうだなあとは思ってたんですよ。ただ、その時点ではむしろ艦首方向が二つに割れて足になるかなと予想してたんですが、普通に推進エンジン部が足になりました。


 あと、腕に当たる部分は後付で右腕に強襲揚陸艦「ダイダロス」、左腕に空母「プロメテウス」が接続されます。この右手のダイダロスは強襲揚陸艦ということで、艦内に「デストロイド」と呼ばれる陸戦用ロボを各種搭載しており、艦首のハッチを開いてそこからタラップ(というかスロープ)を下ろしてデストロイドを揚陸させることができます。


 このダイダロスを艦首から敵艦に突き込んで、ダイダロス艦首のハッチを開き、内部のデストロイド部隊の一斉射撃で内部から敵艦を破壊する攻撃が「ダイダロスアタック」で、マクロスの必殺攻撃のひとつです。千二百メートルの超巨大ロボのくせに近接格闘攻撃があるという(笑)。


 ちなみに、ダイダロスを敵艦にぶち込む際には、ダイダロス艦首に「ピンポイントバリア」という部分的にエネルギーバリアを発生させる装備でダイダロスを保護しています。激突する部分は保護されてるとは言っても、衝突の衝撃とかで艦体が歪んだり破損したりしないのかとか考えてはいけません(笑)。一応、直接陸に乗り上げる形での運用が前提の強襲揚陸艦なんで艦体構造も頑丈なんでしょう。


 ちなみに、劇場版だと「アームド1」と「アームド2」ってTV版だとあっさり撃沈される宇宙空母が接続されてます。なのに、劇場版のノベライズで「ダイダロスアタック」って名前使ってたんですよね。当時から「変だなあ」と思ってたんですが、Wiki読んだら劇場版作中ではダイダロスアタック使ってないのね。ノベライズ化の際の齟齬そごだったのか。


 ほかのマクロスの武器というと、必殺兵器が主砲の「バスターキャノン」です。戦艦形態のときは、艦首が二つに割れて、その間にエネルギーを発生させて放出する強力なビーム砲で、地上から宇宙にいる敵の二千メートル級宇宙戦艦を一撃必殺で破壊する威力があります。


 ところが、序盤の初フォールド(いわゆるワープ)の際にフォールド機関が亜空間に消滅してしまい、バスターキャノンと主動力炉をつなぐエネルギーラインが切れてしまいました。このため、バスターキャノンが撃てなくなり、これを解消する方法として考えられたのがロボット形態への変形なのです。


 マクロスの艦体がブロック構造であることを利用して、艦体の一部を無理矢理移動させ、主動力炉とバスターキャノンを物理的に近づけることでエネルギーラインを接続するという、かなり無理矢理かつ無茶な方法です(笑)。その結果、偶然人型に近い形態になってしまったわけで、最初から意図してロボット形態にしようとしたわけではないという設定です。


 この変形を「トランスフォーメーション」と呼びます。ちなみに、この名称は『トランスフォーマー』よりかなり先行しています(笑)。また、変形前の宇宙戦艦形態を「要塞艦」、変形後のロボット形態を「強攻型」と呼びます。


 なお、このマクロスというのは地球に墜落してきた宇宙人の戦艦を修復したものなのですが、そのせいか進宙式で敵に襲われて緊急発進しようとしたときには重力制御装置だけが甲板を突き破って空に飛んでいってしまったり(サブタイにいただいた美沙のセリフはその時のもの)、月の裏側にフォールドしようとしたのに冥王星付近にフォールドしてしまい、その際にフォールド機関が消滅するなど、かなりのポンコツぶりを発揮してたりします(笑)。


 そもそもが、進宙式の真っ最中に、地球付近に偶然接近してきた敵艦隊に向けて勝手にバスターキャノンを発射してしまったりするのですが、これ実はマクロス自体が元々からその敵艦隊に敵対していた宇宙人が地球に残していったブービートラップだったというオチ。そのせいで、なし崩し的に敵艦隊との戦争状態に突入してしまうことになるという。


 しかも、バスターキャノン以外の武装は進宙式後に衛星軌道上で装備する予定だった(これについては現実の軍艦でも進水式後に艤装ぎそうを行って武器を搭載するのが普通)ので、本体の戦闘能力は初期状態だと皆無という状況です。砲身の長い立派な副砲レールキャノンが艦体側面(ロボ形態では肩にあたる)に付いていたり、艦体表面にも複数のビーム発射機が見えるんですが、これが形だけで内部に発射機構が装備されていないので使えないという(笑)。


 そのため、最初期はデストロイドが艦体表面で対空防御を行っています。もっとも、マクロスは艦内に工場があるので、そこで武装の設備を製造して装備を行っていたらしく、敵艦隊との最終決戦時には艦体の武装も使用しています。


 なお、前述したピンポイントバリアはフォールド機関消滅後に出現した謎のエネルギーをコントロールできるようにして防御バリアとして使っているという、かなり泥縄的な防御装備です(笑)。


 しかも、これを全方位に使用して艦体全周を守れるようにした「全方位バリア」というのも中盤で作ってみたものの、これが地上での初使用時にまたしても暴走。大爆発を起こして近くの町を巻き込んで壊滅させてしまいます。この爆発に主人公の初の部下のひとりである柿崎かきざきが巻き込まれて戦死しています。


 このように、いろいろと泥縄的な装備が多くてポンコツっぷりを発揮するのが特徴なのですが、こいつの一番の特徴は、何と言っても艦内に町があることでしょう。


 最初のフォールドの際に、地上でフォールドを行ったために町ごと冥王星軌道付近まで転移してしまったのですが、そこでシェルターに避難していて無事だった住民を艦内の空きスペースに避難させました。その際、生活の場所とするために、転移した市街地の一部も艦内に取り込んだりして町を作ったのです。


 これも泥縄的に作った町ですから、先のトランスフォーメーションを最初に行った際には甚大な被害が出てしまったりしています。ただ、あとの方になると変形を前提にした町に改修されていき、変形警報が出ると住民が一斉に避難をするようになります。


 とまあ、いろいろと強烈な特徴があったりするのですが、冷静に考えるとツッコみどころ満載なのに、リアルタイム当時はこういう泥縄的な部分にリアリティを感じてたりしてたんですね(笑)。


 ……なんて書いてたら、肝心の玩具について書く時間が無くなっちゃったよ! えー、次回に続きます。マクロスまでロボ話だけで一回に収まり切らないのか……(笑)。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る