第58話 銀河烈風バクシンガー(1982-83年)

 さて、銀河●風シリーズ第二作バクシンガーの登場です……が! 実は私、本作は第1話から数話しか見ていません。切ってしまったんですね。そして、それを約十年後の大学生時代に大いに後悔するハメになります。スパロボにも出ていますが、本作が登場したのはゲームキューブ専用のGCなので遊んでいません。移植されたXOもX-BOX360専用ですし。なので、本作の印象はリアルタイム時に見た数話だけと、二次資料によるものです。


 なんで本作を切ったのか。ロボが原因かなと思います。実のところ、スーパーロボットとして見るなら、デザイン的には前作のブライガーより数段カッコ良くなっています。スーパー系ロボのデザインとしては破綻していません。バイクが五機合体するシンクロン合体もブライガーの変形に比べるとカッコ良かったし。まあ、タイヤは余りますけど(笑)。少なくとも、制作会社が同じなのに、スーパー系としても残念なデザインのアクロバンチに比べれば、はるかにマシでした。なお、前回アクロバンチについて書く際にWikiで調べたところ、アクロバンチはもともとバクシンガーとしてデザインされてた没案を元にしたとのこと(笑)。


 特にバクシンガーが画期的だったのはバイクが合体するロボだということです。人が乗るバイクを元にしたロボには、バイクのサイズだと、どうしてもロボが小さくなるという宿命的な弱点があります。モスピーダも『メガゾーン23ツースリー』のガーランドも、サイズ面でかなり小型のロボになっていました。というか、モスピーダはパワードスーツですし。その点、バクシンガーはシリーズ通して使われるシンクロン原理によって巨大化できるので、人が乗ってるバイクでありながら巨大ロボとして問題ないサイズになれたのです。前述のようにバイクモチーフのロボはいくつかありますが、バクシンガーほど「巨大ロボ」感があるものは思いつきません。


 しかし、しかしながら! 当時の私はガンダムにどっぷりハマっていたのです。劇場版第三作『めぐりあい宇宙』が公開されたのが本年三月。同時期に放送されていたのがダグラムとザブングル。そして、放送開始数か月後には、『マクロス』が放送開始。


 そう、時代はリアルロボットアニメだったのです。いやまあ前年から続いてたゴッドマーズは見てましたし、その流れでアクロバンチはちょろ見しましたけど。あとイッパツマンはタイムボカンシリーズなので、また別枠(笑)。


 その流れの中で、このバクシンガーは「古かった」んです。前作ブライガーのようにダサくはなかった。ただ、1982年=昭和57年という時代からすると、微妙に「古かった」。


 それゆえに、前作ブライガーを、ちょろちょろながらも見ていたのに、本作は最初の数話でバッサリ切ってしまいました。そう、本作の前口上の「後ろからバッサリだ」のように(笑)。


 なので、ブライガーの前口上は完全に暗記してるのに、本作の前口上は最初の「J9って知ってるかい?」と「後ろからバッサリだ」と最後の「どっちもどっちも! どっちもどっちも!!」しかおぼえていません(笑)。


 当然主題歌もうろおぼえなんですが……ところどころ歌詞が欠落してるものの、歌い出しからサビの部分まで結構思い出せたり。幼少期の記憶力凄え!(笑) そういえば、こいつも歌詞に「バクシンガー」って名前は出てきませんね。もっとも「銀河烈風」は何度か出てくるんですが。


 そして、本作を切るという早計をしてしまったことの背景には、当時の私が新撰組を知らなかったということもあります。


 何かの拍子にバクシンガーのあらすじを母親に話したところ、呆れたように「新撰組じゃない」と言っていたことが記憶にあります。そう、本作のモデルは「新撰組」なのです。前にも書きましたが、第一作ブライガーが「仕事人」で、本作が「新撰組」、第三作サスライガーが「八十日間世界一周」という組み合わせなのです。いや、本作までなら「時代劇つながり」でいいんですけど、何で三作目だけ「八十日間世界一周」なのかとリアルタイム当時からツッコんでいました(笑)。


 だから、もし本作を見たのが、三年後に司馬遼太郎の『燃えよ剣』を読んだあとだったら、本作は切っていなかったでしょう。しかし、82年の私は85年の私ではなかったのです。戦国物は既に手を出していたんですけどねえ……っていうか未就学児への寝る前の読み聞かせに吉川英治『新書太閤記』を選ぶウチの母親や、小一に山岡荘八『徳川家康』(最初の方だけですが)を買い与えるウチの父親って一体……(笑)。閑話休題。


 だからこそ、約十年後の大学時代に「バクシンガーは凄い」と力説する所属サークルのOBさん(実は当時すでにデビューしていたラノベ作家で、現在も活躍中)が、「だって『サクラダ・ゲートの変』なんてのがあるんだぜ!」と言ったのを聞いただけで、非常に後悔することになったのです(笑)。


 今回Wikiを調べてみて、正確には「サクラ・ゲートの変」だと知ったのですが、第13話のサブタイトルでした。いやもうね、もし既に幕末のことを知っていて、こんなサブタイの話があるとわかっていたら、絶対に切りませんでしたよ(笑)。


 それから、本作に登場する勢力のひとつ「ゴワハンド」(当然ながらモデルは薩摩藩)について、なぜか『ダイオージャ』に登場すると勘違いしていました(笑)。何でだろう? ネーミング的にダイオージャっぽいと思ったのかしらん。


 ちなみに、前にブライガーを書いたときにWikiで調べたら、ほんの数年前に東京ローカルのテレビ局「東京MX」でブライガーとバクシンガーを再放送してたみたいなんですよね。残念ながら、既に三人の子持ちになっていた上に「なろう」で執筆も始めていた私には、それを知っていたとしても見る時間は無かったろうとは思うのですが。


 なお、本作は新撰組がベースなので、最後は主人公側敗北で全滅エンドなんですね。


 あと、リアルロボへの移行期にあたるためか、本作でも量産型バクシンガーというのが登場します。ただ、調べた限りだと量産型とはいっても一機のみの登場だったようです。合体システムは残っているものの無人バイクと合体してひとりで操縦できるようになっていて、性能自体は通常のバクシンガーと同じという設定のようです。作中では隊長のディーゴ近藤が単身で操縦して敵の大軍を相手に弁慶の立ち往生をやったみたいですね。


 そういう部分をきっちりと描いた名作だという評価を聞くにつけても、つくづく切ってしまったことが悔やまれる作品でした。


 あ、それから本作の後番組『銀河疾風サスライガー』は一度も見たことがないため、本エッセイでは取り扱いません。

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