第29話 機動戦士ガンダム その9 戦いは数だよ兄貴編

 ガンダム話もはや9回目(前回うっかりカウント間違えたのを「なろう」の感想でsugi様に指摘されて、しれっとして修正していたり)です。今回はボールやその他の非MS・MA系兵器類について語りたいと思います。なので、サブタイはドズル・ザビの名言から。今回のサブタイも「なろう」のSamon様の感想からアイデアをいただいております、感謝!


 さてボールですよ。アニパロ雑誌とかネットでは「宇宙そら飛ぶ棺桶」なんて呼ばれ方をしたり、「絶対に乗りたくないMSランキング一位」とかディスられることもよくある粗製濫造系MS(MAに分類されることもありますが、二次資料等では基本的にMS扱いされています)です。


 何しろ、宇宙作業用ポッドに大砲積んだだけというシロモノですから(笑)。この大砲、現在だと口径百八十ミリ低反動砲ということになってるらしいのですが、昔の二次資料ではガンタンクの大砲を流用したということになっています。だったら百二十ミリ砲のはずなんですけどねえ。いくら低反動砲って言ったって宇宙で撃つときに反動どうなってるんだとか言ったら、ガンキャノンやガンタンクも問題になるんで、そこはツッコんだらいけないところでしょう(笑)。


 粗製濫造されただけあって、数は山ほど出てきます。基本的に格闘戦なんか絶対にできないシロモノで、外伝系でたまにこいつで格闘戦やってる話とかありますけど、それ「スゲー!!」って感心させるためなんで、本来用途ではないです(笑)。


 要するに後ろから大砲撃って支援するだけと用途を割り切って作られたものと考えると、それなりに合理的ではあります。実際、シミュレーションゲーム『ギレンの野望』あたりだと、ボールの山で間接攻撃をかければリック・ドムあたりなら無傷で粉砕できます。ガトーの乗ったリック・ドム部隊を墜としたことあったな(笑)。あと、実弾兵器搭載なんでビームが効かないビグザム相手にも有効だったり(笑)。


 だから、用兵を考えて運用すればいいわけなんですが、作中だと近接戦闘するジムと混ざって登場してるんですよねえ。それでザクに近づかれて蹴り飛ばされたりしてる。ダメだろ敵MSを近づけちゃあ!


 ただ、一年戦争の勝敗を決めたということでは、一機だけのガンダムだの二~三機しかいないガンキャノンが多少奮闘したところで大勢を決められるはずも無く、こいつとジムが大量生産されて戦線を押し切ったというのも事実だったりします。


 はからずもドズルの「戦いは数だよ」という言葉を実証したのが、敵の連邦軍だったという皮肉なオチになってるわけですね。


 じゃあ、ジオン軍には、そういう数で押してくる存在がいないのかというと、実はいるんですよねえ。地上においてワラワラと出てきてはやられる、ザク以上のやられメカ。


 ドップとマゼラアタックです。


 こいつら、どう考えてもデザインや設計思想がおかしい。ガンダム以前のスーパー系の悪の侵略宇宙人が使ってるんじゃないかってデザインセンスしてます。


 まずドップ。ミノフスキー粒子散布下での有視界戦闘を前提に、視界を確保するためにコクピット部を高くせり上げている、という後付設定がされています……が、おかしいだろ、絶対! コクピット部と本体のバランスが悪すぎます。あれでドッグファイトするとかキチガイ沙汰でしょう。


 連邦軍のフライマンタ戦闘爆撃機が、多少四角いもののまだ普通の航空機っぽいデザイン(いやまあ、連邦にもドン・エスカルゴとか変なデザインのもいますけど、あれは対潜哨戒機ですし)してる分、そのデザインの怪しさが目立ちます。


 まあ、ゲームとかだと普通の制空戦闘機扱いなんで『ギレンの野望』だと序盤は連邦軍の爆撃機を相手にするために重宝しました。


 珍しいことに、MSじゃないのに専用機があったりします。ガルマ・ザビが茶色のドップに乗って出てくるんですね。アニメ本編だと何か特にチューンナップされてるわけではないのかもしれませんが、ゲームだと少し強化されてます。まあ、強化されたところで元がドップなんで関の山ですけど(笑)。


 そのドップと一緒に出てくるのがジオン陸上軍の主力戦車マゼラ・アタック……なんですが、こいつを戦車と言っていいものか。


 何しろ、砲塔部が分離して空を飛びます(笑)。


 後付設定だと「敵戦車の脆弱な上面装甲を打ち抜くため」だそうですが、だからって戦車の砲塔飛ばすか、普通!?(笑)


 最近の設定だと、積んでる大砲は「無反動砲」ってことになってますが、それにしたって無理があるだろうと。飛行中に、あれだけ本体に比べてサイズの大きな大砲撃つだけでバランス崩すんじゃないかと。


 だいたい、飛行砲塔部のマゼラ・トップの左右には翼が付いてるんですが、どう考えても翼面積からして揚力が足りません。一応下面からエアを噴射して飛行する描写があるんで、垂直方向への推進力はあると思われますが、大半が大砲を占める機体で推進用エンジンまで積んでたら、どれだけ燃料が積めるのかと疑問は尽きません。


 さらに、戦車として考えると装甲はどうなっているのかと。敵戦車の上面装甲が脆弱であるとかいう以前に、マゼラ・トップってガラスキャノピー付いてますよ(笑)。脆弱どころの騒ぎじゃない。さらに言えば、飛行機ってのは空飛ぶために軽量化する必要があって、戦車みたいな装甲を付けるのは無理なんです。つまり、ガラスキャノピー部以外もペラペラの紙装甲であるはず。


 ついでに言うと、装甲を厚くできる車体部マゼラ・ベースにしても設計思想に重大な誤りがあります。背が高すぎるんです。いや、飛行砲塔を付ける関係上、なるべく高い位置から離陸させようという意図はわかるのですが、そのせいで被弾面積が大きくなっているという。


 実際、作中でも(バンクシーンで使い回されてるせいではあるものの)マゼラ・ベースを破壊されたマゼラ・トップが飛び上がって反撃するというシーンが何度もでてきます。そう考えると飛行砲塔が分離できるというのはメリットかもしれませんが、それ以前に戦車として考えるなら基本設計を間違えてるだろうと(笑)。


 背の高さについていえば、ランバ・ラル隊が使用した揚兵戦車キュイとかも中央部の機関砲塔部が高すぎたりとか、ジオンの陸上兵器は総じて背が高いという欠点があるような気がします。


 このあたり、MSVの解説書だと「長らく地上戦が無かった時代の産物」みたいに苦しいまとめ方をしてたりしますが(笑)。


 とまあ、アニメ本編の描写で考えるとツッコみどころ満載のマゼラ・アタックなんですが、『ギレンの野望』の特にPS版『ジオンの系譜』だと意外にも大活躍してくれるんですね。間接攻撃できるんで、近接攻撃しかできない連邦軍の六一式戦車をアウトレンジできるという。それどころか、ボールと同じ用法でジムくらいなら大量のマゼラ・アタックで粉砕できます。さらに、マゼラ・トップは対空間接攻撃ができるんで、ドップ以上に制空戦闘機として有能という恐ろしさ(笑)。


 それ以上に有効だったのが、こいつマゼラ・ベースとマゼラ・トップに分離して「補充」をかけるとマゼラ・アタック全体に復活するという仕様。『ジオンの系譜』では拠点ごとの生産可能数に上限があるんで、分離して補充するだけで倍に増えるマゼラ・アタックは部隊数を増やす上で非常にありがたかったという。敵CPUのアルゴリズムが部隊数を見てエリア侵攻するかどうか決めるシステムだったので、序盤のユニット数が少ないときに水増しして、敵の侵攻を抑止するのに有効だったんです。その上、水増ししたユニットも前述のように「使える」ユニットなので、敵が攻めてきても反撃できたという。


 このため、私の指揮するジオン地上軍はマゼラ・アタックとドップの山で、たまにザクがいる程度という状況に……となった所で思い出したのが、アニメ本編のガルマ指揮下の地球攻撃軍の陣容。正にそれと同じ編成になっているということに気付いて「何てリアルなゲームだ!」と大爆笑しました。


 ジオン軍のMS以外の装備で言うと、ガウやド・ダイYSなんて一見変なデザインに思えてたのが、のちにステルス爆撃機B-2の写真が公開されたときにコクピット周りとかがド・ダイとかにそっくりだったんで驚愕したとかいうこともありました。ただ、ド・ダイって機体サイズの割にグフ載せて飛べるあたり揚力や推力が高いよなあとか思ったり。


 ほかにも、どう考えても怪獣潜水艦としか思えないマッド・アングラー(名前からしてキチガイアンコウって一体……)とか、いろいろツッコみどころがあるんですよねえ。


 連邦側も、どう考えてもティルトローターの離床力足らないだろうとしか思えないガンペリーや、エンジンは多いけどあの細い主翼で重そうなコンテナ支える揚力得られるのかとかツッコみたいミデア輸送機とか、いろいろいるんですけど、まあお前らはどうでもいいやという(ヒドい)。


 このあたり、ガンダムはまだそれ以前のスーパー系ロボットのデザインラインを抜けてないんですよね。現用V/STOL空母にメガ粒子砲だけ積んだようなデザインのヒマラヤみたいなヤツもいることはいるんですが。


 って、つらつら書いてたらいつの間にか三千八百字! 過去最長じゃん!!(爆) 今回は前日夕方に書いてたので、気付いたら一時間以上書いてたよ……。


 宇宙艦艇については、次回に語りたいと思います。


 君は生き延びるついてくることができるか?(笑)

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