第19話 無敵鋼人ダイターン3(1978-79年)

「世のため人のためメガノイドの野望を打ち砕くダイターン3! この日輪の輝きを恐れぬのなら、かかって来い!!」


 はい、史上初の見栄切り巨大ロボ、ダイターン3の登場です。そして、これ以降でも実はダイオージャと『マシンロボ クロノスの大逆襲』のロム・ストール、あと『勇者特急マイトガイン』(忘れてた! sugi様ご指摘ありがとうございます)、そして『超力ロボ ガラット』(忘れてた! 何でこれを忘れるんだ!)ぐらいしか例がなかったりします。巨大ロボというと、特にスーパーロボ系は様式美のかたまりみたいな印象があったりするんですが、本格的に見栄を切って名乗りを上げてるのは、実は少ないんですね。


 これはリアルタイムで見てました。そして、小学生時代の再放送でも見ました。そしてスパロボではスーパー系で最も愛用したロボのひとつであり、CSでも全話チェックしました。二次資料もいろいろと読んでいます。富野監督が書いたダイターンの出てこない小説(主人公の名前が破嵐はらん万丈ばんじょうで本作と同じ)とかまで(笑)。


 ええ、幼少期に一番大好きだったロボでございます。前作ザンボット3が「陰の富野」を象徴する作品なら、これは正に「陽の富野」を象徴する作品。コメディタッチで明快爽快そうかい! 小さなお子様でも安心して見られる痛快娯楽活劇となっております。


 ロボのデザイン的には前作ザンボット3の鎧武者系の流れを受け継ぎつつも、肩の上に肩当て状の飾りが付くのが独特で、頭部の兜の前立て風の飾りの形状ともども、このあとダイオージャに受け継がれます。


 また、顔には唇が付いたのですが、コメディタッチで描かれているせいか、こいつロボのくせにときどき表情が変化します(笑)。


 メカ的なギミックは三段変形で、飛行機形態ダイファイターと、戦車形態ダイタンクに変形します。このダイタンクのとき、足の裏から大砲の砲身がニョキっと生えてくるので、後年アニパロ雑誌『OUT』あたりでは、足の裏に大砲があるから暴発が心配とかディスられてました(笑)。


 そんなに複雑な変形をしないのですが、生えたり引っ込んだりが多いので、玩具的には差し替え変形になっています。ただ、それだけにテレビCMで見たデラックス版の各形態のプロポーションは良く、幼少期には特に欲しい玩具のひとつでした。


 そう、「欲しい」玩具だったんです。実際には買ってもらわなかったんです。実際に買ってもらったのは、ダイターンに搭乗するときに使用する飛行機に変形するスーパーカー、マッハアタッカーの方だったんです。


 ただ、それで後悔はしていません。このマッハアタッカーの玩具のできが非常に良かったんですよ。自動車形態のマッハパトロールも、変形後の飛行機形態マッハアタッカーもプロポーションが非常に良く、また変形ギミックも完全変形でアニメ版を再現していました。また、タイヤ部分はしっかりゴムだったり、ライト部分もプラスチックのクリアパーツだったりと、質感も良かったんです。なので、壊れるまで遊び倒し、壊れたあとでも捨てずに、まだ遊んでいました。


 さて、ロボとしての特徴の方に戻ると、こいつは巨大ロボ系でも大きい方になり、身長百二十メートルです。それで体重八百トンしか無いのは少なすぎですが、まあスーパーロボ系にはよくあること(笑)。


 武器は多彩で、特に特徴的なのが扇状の武器ダイターン・ファンで、投げ武器にしたり、広げて盾としても使ったりしていました。


 槍のダイターン・ジャベリンのほか、柄が開いて刃がビーム状に出てくるダイターン・ザンバーという剣も持っています。ただし、ライトセイバーやビームサーベルのような棒状ではなく、幅広の平たい刃になります。最終回で、ラスボスのドン・ザウサー相手にほとんどの武器が通用せず、残ったダイターン・ザンバーを手に「当然これじゃ切れないよな」みたいなことを言っていたのが記憶に残っています。


 必殺武器は、額の中心から発射するサンアタック。「日輪の力を借りて、今、必殺のサンアタック!」の前口上から発射するのはメチャクチャカッコ良くて、ロボ系にあまたある中でも特に好きな必殺武器、必殺技になります。


 ただ、幼少期の記憶だと、それでトドメさしてたように覚えてたんですよ。それで、スパロボでサンアタック撃ったあと「ダイターン・クラッシュ!」って跳び蹴りかまして相手をぶち抜くのが真のフィニッシュというのを見て「え、こんなんだったっけ!?」と驚愕しました(笑)。


 そして、ロボ的に非常に斬新だったこととして、こいつ、これだけヒーロー系のくせに、何と量産されてます(笑)。ただ、量産機はロボ形態にはなりませんでした。ダイファイターとダイタンクが練習用の非変形バージョンとして作られてるんですよ。ですが「変形するやつは出払ってる」みたいな感じで、変形するバージョンも複数機作られてるようなニュアンスのセリフもあったんです。


 また、主人公以外も操縦できます。仲間たちが上記の練習用機で訓練してたほか、執事のギャリソン時田ときたが搭乗したこともあり、そのときの必殺技の前口上が「日輪の力を拝借して」になってたのは強烈に覚えており、スパロボでも再現されていました(笑)。


 そうそう、ダイターンは呼び出すときに、万丈が胸のペンダントを高く掲げて「ダイターン・カムヒア!」って叫ぶんですよ。そうするとダイファイター形態で飛んでくる。この呼び出しもカッコ良くて、保育園で粘土工作したときに、自分でペンダント作って遊んでましたね(笑)。ただ、再放送で見たとき、第1話だけは手元のスイッチを押して呼んでました。


 仲間たちの特徴としては、なんとヒロインが二人います(笑)。金髪美人のビューティフル・タチバナとクール系美女の三条レイカ。万丈はロボ系では元祖ハーレムヒーローなんですよ。ちなみに、ロボットアニメ以外のアニメ作品で複数ヒロインをレギュラーとしてはべらせた元祖ハーレムヒーローは誰かというのを考察してたら、何と『いなかっぺ大将』のかぜ大左衛門だいざえもんではないかという恐ろしい結論になってしまったのですが(笑)。閑話休題。


 ストーリー的には明朗快活なのですが、実は敵はメガノイドというサイボーグで、巨大化こそするものの、ロボではなくサイボーグが巨大化したもの(メガボーグ)が多く、全員元は人間なんですね。悪党とはいえ毎回人殺ししてるという。さらに、その原因(メガノイドの創造者)が主人公の父親、破嵐創造そうぞうだったりします。なお、ダイターン3はメガノイドの試験用ロボを万丈が奪って逃げたものです。バックグラウンドは結構シビアなんですよね。


 最終回も、それまでとはうってかわってシリアスで、最後にギャリソンが万丈邸を去って誰も居なくなった邸宅に、ぽつんと明かりがひとつ灯るという、実に意味深なシーンで終わります。


 とまあ、大好きな作品だったのですが、大人になってからCS放送で見返してみると「あれ、こんなんだったけ?」と思うシーンもしばしば(笑)。特に作画は結構崩壊してることがあって、思い出の美化補正と、スパロボ補正がけっこうかかってたんだなあと思ったりもしました(笑)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る