第18話 闘将ダイモス(1978-79年)

 長浜ロボットロマン第三作、闘将とうしょうダイモスの登場です……「闘将たたかえダイモスじゃありません」ってギャグどっかで見たな(笑)。実は長浜監督の次作『未来ロボ ダルタニアス』もロボットロマンシリーズに入れる場合もあるそうなのですが、放送局が変わったこともあって未見なので本エッセイでは取り扱いません。ダルタニアス自体は、栄えある元祖胸ライオンロボなので本当は取り上げたいんですけど、何しろ見てないからなあ……(笑)。


 さて、ダイモスについては、ほぼリアルタイム視聴の印象と、二次資料の情報、そしてスパロボでの印象がメインだったんですが、そのあとCS放送で全話見ました。


 ストーリー的には、ロボを操る主人公と、敵異星人の姫で敵司令官の妹のヒロインの恋愛ということで、完全に「ロミオとジュリエット」パターンです。それが、前作ボルテスV以上にメインターゲットの子供に受けなかったのか、全四十四話とボルテスよりは長いのですが、こちらは明確に「打ち切り」とされています。


 で、リアルタイムで見たときは、そこそこ大きくなってきていたので、恋愛物だというのは分かっていました。で、二次資料でも恋愛メインと書かれ、スパロボのイベントでも描かれていたので、主人公の竜崎りゅうざき一矢かずやとヒロインのエリカの恋愛の描写が多いんだろうと思ってたんですが、実際にCS放送で見てみたら、意外にあっさりしてたりします(笑)。


 さらに、互いに誤解するのはロミジュリだから当然なんですが、意外に一矢がエリカのことを信じてない(笑)。さらに、最終回前までエリカとの顔合わせがなく、最終回ではラスボス、オルバン大元帥との対決になってしまって、明確にエリカと和解してるシーンが実は無い(笑)。まあ、最後はいい雰囲気になってはいましたが。


 打ち切りになったこともあって、きっちり描写できなかったのかなとも思うのですが、意外に二次資料による刷り込みが多かったんだなと、ある意味感心しました。


 だから、恋愛ロマンって先入観で見てたところ、期待ほどじゃなかったんで「あれれ?」と思ってしまったですよ。大人になってから見返してみた感じでは、ボルテスの方がドラマ性が高いという。ちょっと意外でした。このあたりがボルテスの方がロボットロマンとして完成度が高いと思える理由です。


 意外と言えば、これまたスパロボによる刷り込みだと思えるのが、ダイモスの必殺技。


 ダイモスと言えば「必殺! 烈風正拳突き!!」が代名詞みたいになってるんですが、非常に意外なことに、これがフィニッシュに固定されるのは、あの有名なパワーアップ(後述)のあとでして、前半は「必殺! 烈風○○××!!」と、ほぼ毎回技が変わってるんです。「必殺! 烈風ダイモキック!!」は私がやらなくなったあとのスパロボにも追加されてるみたいなんですが、ほかにも「必殺! 烈風手刀切り!!」「必殺! 烈風二段突き!!」というのはネットで見かけましたし、私の記憶だと「必殺! 烈風ダイモしょう!!」というのもあったと思います。


 さて、そのパワーアップ。敵ロボが弾性の高い装甲を採用したために、ダイモスの打撃が通じなくなってしまったために、必殺技のパワーアップをはかることになります。そこで出てきたのが、相手を冷凍光線で急冷して凍りつかせ、そこに炎を浴びせて急激に加熱することで熱膨張の原理を利用して弾性の高い装甲をもろくしてから、烈風正拳突きを叩き込んで破壊するという方法。


 これ、かなり強烈に刷り込まれてます。確か元祖ラノベのひとつ『スレイヤーズ』でも同じ原理で敵を倒してたことがあったはず。「硬い敵は凍らせてから加熱」は絶対的テーゼとして刷り込まれてしまっているんですが、これは絶対にダイモスのせいです(笑)。


 ところで、このパワーアップをする前の必殺技コンボは、胸から出るダブルブリザードで敵ロボを吹き飛ばし、落ちてきたところを「必殺! 烈風○○××!!」で破壊するというものだったのですが、パワーアップ後はこうなります。


 まず、フリーザーストームで相手を凍らせる。それに、胸から出るファイヤーブリザードを浴びせて、加熱しながら吹き飛ばす。そして落ちてきたところを「必殺! 烈風正拳突き!!」を叩き込んで破壊する。


 さて、ここでひとつ大問題が。「ブリザード」とは英語で何を意味するのでしょうか? そう「吹雪ふぶき」なんです。


 つまり「ファイヤーブリザード」とは「火炎吹雪」のこと……って、絶対変でしょ、これ!!(笑)


 ただ、凍らせたあと、火炎を浴びせながら敵自体を巻き上げるというムーブにつなげないといけないから順番を入れ替えるわけにもいかないんで、ファイヤーストームからスーパーブリザード、って流れにするわけにもいかないんだろうなあ、とも思ったり(笑)。


 そもそもブリザードって名前が付いてるのに、前半戦使用のダブルブリザードって、相手を冷却したり凍らせたりしてない、ただの強風しか出してないんです。


 なら「ダブルタイフーン」にしとけよ! ……と書いたところで気付きました。それ「仮面ライダーV3」!(笑)


 とまあ、ネーミング的には多大な疑問があったりもするのですが(笑)、空手ロボというコンセプトで見るかぎり、この必殺技はムチャクチャカッコ良いので、ある意味正解だとは思います。


 ただ、メカ的な要素で見ると、ダイモスって面白いロボじゃないんですよね。変形は、足伸ばして、体の前面にあるパネルとフェイスカバーを開くだけなんです。アニメだと開いたパネルが折りたたまれるんですが、超合金ではそのまま背面にマント状に背負ってるだけ(笑)。


 しかも、この変形のせいで、足の可動部が全然なく、しかも太くてバランスが悪い。変形自体はシンプルな分きちんと再現されてますし、オプションの武器も豊富で、従兄弟が持っていた玩具を見た限りでは、できは決して悪くはなかったと思います。ちゃんとトレーラー形態の時に搭乗用のスーパーカー、トライパー75Sも後部に収納できますし。


 ただ、空手ロボというダイモスのコンセプトからすると、アクションポーズが取りにくいというのは致命的なんですよね。そこが残念なところでした。


 私は超合金魂は買ってないのですが、この点については、プレス写真を見る限りではプロポーションが良くなり、可動部が圧倒的に多くなることで解消されているように思えます。もっとも、足が重いのでアクションポーズでの自立は難しいという記事も見たことがあるのですが。


 ということで、ロボ的に言うと、変形やギミックが面白いタイプではなく、演出で魅せるタイプのロボと言えるでしょう。空手ロボの割には武器が豊富ですが、基本的に武術系が多く空手ロボというコンセプトからは逸脱していません。


 ストーリー面では、ロミジュリ展開はまあメインストリームなので当然なのですが、地球人の防衛軍長官がえらいタカ派だったり(これスパロボでは更に強調されてます)、敵側にも和平派が結構いたり、そもそも最初は平和的に移住を進めようとしてたのが、ラスボスのオルバン大元帥の陰謀で戦争になっちゃったことが分かったりと、ボルテスの後だけにさらに複雑化しています。


 ただ、やはりこのあたりで単純に「敵は悪」と類型的に描くのではなく、敵にもいい人が居るし、味方にも悪い(というと少し語弊ごへいがありますが)人も居るという描き方をしているのは、のちのガンダムにつながる道だろうと思えます。


 これもまた、果敢に新たなる道を切り開こうとして道半ばに倒れた(打ち切りなので)作品のひとつと言えるかもしれません。


 あ、書き忘れてましたが、オープニング主題歌はロボットアニメでも一二を争う熱くて燃える歌です。これはカラオケで熱唱してる人は多いんじゃないかと(笑)。

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