第17話 無敵超人ザンボット3(1977-78年)
さて、いよいよロボットアニメの雄、日本サンライズが自社名義で作った初の作品ザンボット3です。そして、いわゆる富野ロボットアニメの第一弾になります。ライディーンの監督は途中降板して長浜監督に交代したので、最後まで作ったということでは、これが第一号でしょう。
リアルタイムで見ていました。そして、再放送でも見ています。私が遊んでいた頃のスパロボにも登場しています。
しかし、その割に強い印象が残っていないんですよ。リアルタイムで見てた頃は、まだ理解力が無かったのか、それとも怖いんであまり見てなかったのか、トラウマ必至と言われる人間爆弾の話に大して強い印象がないんです。主人公たちが迫害されるとかも、そんなに印象に残ってない。再放送のときは、既にある程度大きくなっていたのと、大百科とかの二次資料を読んで展開を知っていたんで、どちらも強いインパクトが残ってないんですよ。
ロボとしては、なかなかカッコ良いデザインです。とくに額の三日月がチャームポイント。必殺武器のザンボット・ムーンアタックはポーズも演出もカッコ良く、スパロボでも特に見栄えの良い必殺武器のひとつです。
その他の武器だと、十手みたいな短い剣を持っていたのが印象に残っています。
合体は三機合体と少なめですが、一号機のザンボエースが、飛行形態から小型ロボ形態に変形でき、単体でもロボとして活動できるのが特徴です。
このザンボエースの武器はザンボマグナムという銃。それまで、ボルテスの手首から銃口が出るという武装はありましたが、ロボが独立した武器として銃を使うのはまだ珍しい時代でした。これがガンダム以降になると標準装備のようになるんですが(笑)。
このザンボエースがロボに変形した上で三機合体するのですが、合体には比較的無理が無いため、ロボ玩具初参入のクローバーでも、ちゃんと合体する玩具が発売されています。ただ、プロポーション的にはどうしても頭でっかちになりがちで、あまりカッコ良くはありませんでした。はるかのちに超合金魂でプロポーションまで完全再現した玩具が発売されています。
ストーリー面では、前回のボルテスを上回るハードさで有名です。主人公たちは侵略者ガイゾックに滅ぼされたビアル星人の末裔で、母星が滅ぼされたあとで地球に逃げてきたのですが、そのせいで「ガイゾックが地球に攻めてくるのは、お前たちのせいだ」と迫害されます。地球(というか日本)に移り住んでから既に二百年たってるというのに、宇宙人扱い。
ただ、まあ、実際戦えるのがザンボット3ぐらいなので、そのうち主人公たちの理解者が増えてくるのですが、今度は有名な「人間爆弾」作戦が始まります。捕虜にした地球人に爆弾を埋め込んでから解放し、仲間の所に戻ってから爆発させるという冷酷非道な作戦です。これのせいで、主人公の女友達や悪友(ライバルの子分)が爆死するという子供向け番組とは思えないようなストーリーが展開されます。さすが富野、半端ないです(笑)。
こうしたストーリーだけでも既にお腹いっぱいなのに、最後にガイゾックの要塞ロボ、バンドックに攻め込むときは、二号機ザンブル、三号機ザンベースが仲間の操縦で特攻し、ザンボエースが突入する道を切り開くものの、搭乗していた仲間は全員戦死。母艦キングビアルも分離して一部は特攻し、一部は主人公を救うために犠牲になるなど、ほとんどの味方(主人公の家族や親戚ばかり)が戦死してしまいます。
そんな中で最後に対決したガイゾック首領の正体は、平和を脅かす邪悪な心を持った知的生命体を滅ぼすことを目的として作られたコンピューターでした。ビアル星人も地球人も平和を脅かすから滅ぼそうとしたのだという侵略の理由を語り、地球人を守る価値はあったのかと主人公に問うてから爆発します。富野が『海のトリトン』(1972年)でも見せた主人公=善という図式の否定を、より大がかりにやってるわけです。
このあたりは、見てて記憶にも残ってます。ただ、主人公があくまで地球人類を信じると主張するのに同感した上に、最後に生き残った人々が主人公の元に殺到して讃えるというラストシーンに「やっぱり守る価値はあるじゃん」と素直に思ってしまったんで、それほど強烈な印象として残ってるわけではないんですよ。
ただ、これ、もう少し年齢が上のときに見ていたら、そこまで素直には思えなかったでしょうねえ。確かにトラウマになった子供が続出したのも無理はないハードさなんですよ。まあ、だからこそ伝説のロボットアニメとして語り継がれているわけなんですが。
これもまたドラマ重視のロボットアニメとして、のちのガンダムに至る地ならしをしたロボットアニメだったと言えるでしょう。
こんだけムチャクチャやらかしたのに、ロボの玩具が売れたんで作品的には成功作なんですよねえ……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます