人を殺した

 人を殺した


 物言わぬ骸が

 私の目の前に横たわっている

 数分前まで生きていたのだ

 そしていつものように

 笑って泣いて怒っていた

 確かに生のあった者が

 今は何も言わぬまま

 地面に伏せている

 そしてぴくりとも動かない

 言葉もなければ表情もない

 二度と笑うことも泣くこともない


 そう私はこの男を殺したのだ


 湧き上がってきたのは

 罪悪感ではなく達成感だった


 人を殺す

 特に憎い奴を殺す

 これほどに痛快なものはない

 さっきまで威張っていた奴が

 情けない姿で命乞いをし

 私は無慈悲にも

 それを殺した


 表現し難い快感が

 全身を貫いて

 私は仰け反って笑った

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