永劫回帰

険しい山の中腹に

佇むブナの巨木の根元から

その流れは始まるのだ

滴る一滴の雫を集めて


落葉が積もり柔らかく発酵し

苔やシダに緑なす斜面を下り

岩なす川床を駆け抜けて行き

流れは幾多の街を貫く


足早に足早に通り抜け

生まれた故郷から遥か遠く

やがて水は海へと注ぐ

淡水から海水へ、命の源へと還る


旅は終わらない


始まりの一滴は数多の一滴と共に

いつか再び空へと昇る

雲を為し雨となり降り注ぎ

ブナの葉を濡らし幹を伝わり


そうして、また廻るのだ


循環し再生し、繰り返していく

命の源を身体へと宿して

私とあなたの業も巡る

尽きぬ夢の終焉を求めて

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る