せっかくだから自身の世代を見つめ直す

 何かやらかしたり自殺したりしている人が増えて来つつある就職氷河期世代(93~95年辺りに社会に出た人)でした。とはいえ、世相としてはまだまだ最近に比べれば裕福な時代だったと言えましょう。初めて会社員になった時、暮れのボーナスは出ましたし。

 大学には行きませんでした、行かなかったのは

『早く働いて家にお金を入れなければ』

と考えていたのと、奨学金制度を知らなかったからですし、そこは

『あ~、進学したいわ~。マジ進学したいわ~。

 誰かその辺のあれこれ、教えてくれないかな~?』(チラッチラッ)

と言っていれば先生とかが教えてくれていたでしょうね。

 なので、そこはたまたま。

 今回のテーマは世代としてその時期に困った事を挙げてみたいと考えています。そんなに数はないですが。

 結論は最後に記すとしましょう。


・とにかくどこでも業務経験3年以下は採用されなかった

 一番困ったのはこれですかね。即戦力を求める会社のスタンス、というのはこの辺りから顕著になって来ていたと思います。

 社会人一年目なんて経験者でもほぼ採用してもらえないからバイトするしかない訳で、勿論職安でも扱いは酷いものでした。

『面接当日になってから、

『欲しい人材が見つかったのであんたの予約はキャンセル』

との連絡が入った』

という事態に遭遇した事があります。職安にはある時期まで割と通ったと思いますが、その辺から期待しなくなりましたね。他にも、電話で職員さんとどこかの会社が、具体的に助成金の話をしていたり。

 あそこは仕事を探す場所ではなく、職業訓練校関係の手続きをする所だと思います。仕事が欲しい人は、今はネットで就職エージェントでしたっけ、そういうのに登録した方がいいと思いますよ。年配の人や、そういう事実を知らない人が今も

『ハロワ行け』

などとのたまいますが、失笑ものです。そう言っていい。

『そう言うあんたはハロワ行った事ないんじゃねえの? ハロワでまともな仕事が見つかると思う方が頭おかしいんだよ!』

と怒ってもいい。

 今では、役所関係の手続き以外で、わざわざ職安に向かうのがそもそもの時間の無駄です。


・我々の次の代から切り替わる事が多かった

 これは例えば、

『君らの代まではワープロだけど、来年からパソコンを取り入れます』

という例が分かり易いかなと。前述しましたが、93年という事は、PCを持っていたとしてもOSはウィンドウズ95以前の時代です、

 で、面接先は大抵PC経験者を求めて来ている。つまり、向こうが求める条件すら満たせていない。そういう状態で社会に出る事になった。

 すぐにPCを入手出来ても、会社が採用するのは経験者です。『経験者の新人』をとにかく採用します。逆立ちしても間に合わない。

 それでも人は食べなければなりません。すると、バイトしかない。

 ある時、職安で取り付けた面接先で、私の履歴書の経歴を見た担当の人が、

『バイトなんかしてる場合じゃなかったんじゃないの』

と言い出した事があります。これはムカつきましたね。滅茶苦茶にムカつきました。

 誰もが家族仲がいい訳ではありませんし、子供は親は選べません。その上で、食えないし、面接をしに行く暇もないから必死でバイトをしていた訳で、そういう人の事を考えていない。

 専門学校で学んだ事に関係しており、興味がある分野の仕事でしたが、

『二度とこんな業界には足を踏み入れねぇ』

と思いました。


 大きな理由はこの二つくらいですね。

 生きやすさで比較すれば、今はデータを集めて労基署や個人登録ユニオンに駆け込めますから、その辺はかなり良くなったんじゃないだろうかと思います。我々の頃には労基署に話を聞いてもらって泣き寝入りがほとんどでした。

 雇用者に無茶振りする社会ですから、そちらのシステムは今後もバンバン発展して欲しいです。


 個人的には、そういう改善された状況や若い世代をうらやんだり、嫉妬したりはした事はないかなあ。だって、しても意味のない事でしょう? 私らの世代の苦労があると同時に、その世代にはその世代の苦労がある訳ですから、それをうらやんだり嫉妬するという事は、その苦労を無視するという事です。それはあまりにしょっぱいです。無様だし。

 世代的に滅茶苦茶苦しいけれど、そこを捨てたら、人間として終わりだと思うんだ。

 また、そういう世代の私達ですが、あちこちで助けの手はあります。勿論サラ金とかそういうのではなく、市役所とか民法が助けてくれます。市井相談窓口では弁護士さんが無料法律相談をしてくれていますし、そこを知らない人は是非調べて欲しいと思います。そのおかげで、私も今、元父親の遺した借金数百万(博打の借金の債権が周りに回って利息も付いてそれだそうです。なめてやがる)を背負わせられずに、生存していられます。

『こういうのがあるのか!』

という救いの手がきっとありますからね。

 そういった、きちんと法律に則った上でのシステムを利用しているのに、訳知り顔で罵倒したり、適当を抜かすのが一番タチ悪いので、そういう連中はまとめて(割愛)。


 ああ、後、間違える人の多さに辟易しているのですが、就職氷河期世代をバブル世代と一緒にしないで欲しいです。

『『その時代の連中のツケを背負わされてるのが我々なんですけど』

って言うぞてめぇ!』

と言いたくなるくらいにはムカつきます。また、

『40代の社員がいない……』

などと愚痴っている会社のニュースを見たりしても同じ様に思います。

『その頃にどれほど面接を取り付けようと、

『即戦力しかいらない!』

と言って採用しなかったのはお前らだろうが』

とね。

『自業自得なのにその世代のせいにすんじゃねえよ』

と言えましょう。

 以上、大学に行かなかった場合の就職氷河期世代の例のお話でした。

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