せっかくだからそのラノベ風の本を

 表紙が昨今のアニメやコミック風のイラスト入りだとラノベ呼ばわりの風潮が続いている様子です。

 確かに一般文芸本でもイラスト入りのものが増えましたし、あの硬派なイメージだった○川ホラー文庫も昨今のイラスト入りの表紙が驚くほど増えました。内容も

『不思議な話だが、ホラーとまでは……どうかな?』

となっていたり、今はほぼラノベに移行した青春ミステリーもの(たまに怪奇現象が起こるタイプ)もちらほらあります。誤解を恐れずに言えば、

『俺はホラーで食って行くから表紙はイラストだろうと中身はホラーで押しまくるぜぇ!』

というタイプの作家さんと

『レーベルがこれだから中身もホラーになっていればいいが、キャラクター達のそれらしさを重視……かなあ?』

というタイプの作家さんに二分している感じがします。

 個人的には面白いかどうか、およそ700円程を出して後悔のない内容だったか否かが問題なので、表紙がイラストだろうと全然構わないです。

『売れれば正義なのだから、レーベルがライトノベルかどうかもどうでもいいぜ』

とすら思っています。だって、ライトノベルも最初は一般レーベルの中で伝奇ものやキャラクターもののSFや青春ミステリーを書かれていた先生達が書かれていましたから

『今更何言ってるんですか』

と思うんですね。


 その勢いで話が脇道にそれますが、作家さんの中でもご自身のサイトを開かれている、もしくはSNSのアカウントをお持ちの方とそうでない方がおりまして、同人誌を買われている方はお分かりかも知れませんが、結局の所、本を出されているかどうかだけが生存報告になっている先生が主に後者です。それが分からない状況に至ってしまうのが非常に恐ろしいし、悲しい。

 ですので、

『レーベルにこだわらずにガンガン活動して頂きたいな』

と思います。


 さておき、オンラインの通販で本を買う割合が増えている昨今、街の本屋さんがどんどん潰れている訳ですが、そこについては、冒頭の

『ラノベ風の表紙の本は嫌だ』

と言っている人達はどう考えているのかな、と。

 オフラインの一般の本屋さんはとにかく本を売らなければなりません。予約や取り寄せにも対応していますが、漫画専門店さんや、ネット通販店さんとの絶望的な戦いを日々強いられている訳でして、そこでやれクレーマーやら、やれ万引きやらにも対応しなくてはならない。

 そこで、表紙がどうの、というのはあまりに問題として小さくないか。

『そんな事で買い辛いとか言っているなら、本を読むのをやめては如何ですか?』

とも思ってしまいます。

『でも、レジでどう思われるか』

という意見が後を絶たないので、書店経験から言わせてもらいますが、はっきり言ってそんな事よりレジのお金の計算が合っているかどうかの方が大事です。労基署が役に立たない関係で、レジミスでの差額発生の責任は下手すれば自腹なので。

 故に、誰が何を買おうか、知った事じゃありません。本気でどうでもいい。データ的に後で訊ねられたらお答えしたりしなければならないのでそれとなく覚えている事はありますが、それについて言及する程、本屋さんは暇じゃないのです。

『女性店員さんにエロ本を差し出すのが勇気がいる』

とか言っている人も、実際レジのお姉さんは終わらない仕事として本屋さんで働いているので(しかも基本的に在庫がなくて棚が埋まらないので、とても憂鬱です)、それどころじゃありません。安心してエロ本だろうがマニアック本だろうが、とっとと購入して下さい。書店員としては阿呆なクレームや、店員へのストーキング、店内での迷惑・犯罪行為さえなければ、大体の事はスルーします。

 売り上げだけが次へと本屋さんの寿命を繋げられるのです。なので、普通に買って下さい。


『○川ホラー文庫は昔の謎CGイラスト表紙が良かった』

という意見には頷ける所があります。当たりはずれの異様にでかいメーカーさんになりましたが、あれはいいよね。


 一度終えてから今回の本題を思い出しました(最低)。

 道徳の教科書の最近の表紙、というものをネット徘徊していたら目にしたんですが、

『すごく……ジブ○風イラストです……!』

と思いました。あれだって中身はラノベじゃなくて児童文学か一般文学からの引用ですよね。そこを考えると逆に、

『表紙より中身だな』

って、思ったりしませんか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る