第14話:不穏②




一方、レインは一人傭兵ギルドの建物に向かっていた。ギルドの情報が相手側に駄々漏れだったことを不審に思ったので、その調査をするためだ。


昨日は入らなかったギルドの玄関を開けて中をまずは一回見回す。視線が一気に集まるが、気にせずレインは一歩中に入る。


―特に異常はない?


もし、協力者がいてその人物が情報流しているならすぐに手がかりは掴めないだろう。しかし、魔法で監視をしているとしたら何らかの魔力反応があるはず。


探知しようと魔力を練り上げ始めとき、


「よお、坊や。ここぁガキの来るとこじゃねぇぜ?」


どこにでもいるような人物が声をかけてきた。相手の実力を侮り挑発してくる輩、レインの嫌いな人種だ。


「…は?黙っててよ。邪魔だよ、雑魚」


「なっ!?」


固まるその男をはた目に、レインはすぐに己の魔力を広げた。反応はない。


―そう簡単にはいかない、か。


今回の首謀者が使役しているものが魔物であるなら、魔力の色の違いで間違いなく気づける自信がある。魔法で監視をするにしても、魔力で起動する魔法具を使うか使役する使い魔の気配が必ずある。ここまで来て人間の協力者の可能性が高まってきたようだ。


「おいおい、ガキンチョ。いっちょまえな口聞いてんじゃねぇぞ!」


そう考えていると、懲りもせずあの男が話しかけてくる。レインは鬱陶しそうな顔をしつつも振り向いた。


「あぁ、ちょうどいいや、雑魚。今から一週間以上前ぐらいかなぁ、このギルドで変わったことなかった?」


「なんだてめぇ!それが人に物を頼む態度か!?」


「別に頼んでるわけじゃないよ。たまたまそこにいたから聞いただけだ。覚えてないなら、そう言えば、雑魚」


レインは冷たい口調で言い放つ。顔見知り以外の人間に対する彼の対応はこんなものだ。元々人嫌いなのも重なり、苛立ってくるとひどくそっけなくなる。


「てめぇ、もう我慢ならねぇ!ぶちころ…」


「ギルド内で私闘は禁止でしょ、もういいよ、バイバイ」


腰の剣を抜こうとした男の手をレインは片手で掴んで押さえると、驚く男を放置しそのまま踵を返してギルドを出た。

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