第5章 いざ経験を⑴

やったことのないことを書くのは、無理だ。作家さんなら書ける、という話をきいたことがあるが、俺は作家の経験はなかった。考えてみれば、やったことのあることのほうが少なかった。

「やっちまったな。もっと色々なことをやっておけば良かった」

かなりへこんだ俺だったが、落ち込んでいてもしょうがない。少しでも何か残していけるようにしたかった。


自分しか書けない文章を。

自分しか知らない何かを。


そんなことを考えていると、何もやってこなかった自分が悔やまれた。しかし、それでも俺は悩み続けた。そして、ふと思いついた。

「俺が今、経験していることっていうのはどうだろう?」

考えてみれば、今の俺の状況は異様なものだった。書いたところで信じてもらえないだろうが、それでも書いて残しておきたいと思った。

早速、俺はパソコンの前に座って新しいファイルを作成した。そして、心のままに文章を書いていった。

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スマホと身体の乗っ取りにはご用心 春野ハル @Leaf123

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