忍びのパン屋さん#9

「これって、ドーナツだよな?」


「パンだよ!」


「いや、どう見てもドーナツだろ!」


「パンって言っているでしょ!」


 そんな言い合いをしているのはナツキさんとアキちゃんだった。


「まあまあ、2人とも。そんな事は」


「まさかシャープさん!」


「どちらでも良いなんて言わないですよね?」


「え? えぇ」


 2人の勢いに負けたわたしは思っていることとは真逆の答えを口にしていました。


「これは、母さんに判断をゆだねてみた方が良さそうだな」


「お、お母さんに?」


 お母さんの話題になった途端アキちゃんは緊張したように固まりました。


「という事なので、シャープさん、来週もこのパンを用意しておいてください」


「わかりました」


 ナツキさんは珍しく持ち帰りのパンは買わずに帰っていった。



8月26日 シャープ

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