人狼の警備員#8

 一週間に渡って行われたユグドラシル盆祭が終わり、人々はいつも通りの生活に戻って行ったが私たち警備員には重大な仕事が一つ残っていた。


「さて、ユグドラシル盆祭最大の仕事始めましょう」


 ゴミ袋を手にした私たちは出店がまだ完全には撤収できていない屋上へ向かった。


「って、これは一体?」


 とても悲しいことではあるが例年ユグドラシル盆祭の後は多くのごみが散乱しているのだが、今年は何故だか目立つようなごみは見受けられなかった。


「ヘリウムさん、おはようございます」


「世渡オーナー、おはようございます。まさかオーナーがゴミ掃除を?」


「まぁ、まだ一年目とはいえ僕はここのオーナーですから。それに僕が来る前から屋上のごみは少なかったですよ。ナギサさんとホノカさんがごみは持ち帰るように言ってくれていたからなのかもしれませんが」


「あの二人がですか……」


 恥ずかしながら彼女たちの事をあまり知らない私なのだが、彼女らの一声でここまでごみが減るという事は彼女ら『ラックアンラック』はそれほどまでに人気のあるコメディアンなのだろう。



8月25日 ヘリウム

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