妖狐のケーキ屋さん#1
我ながら、おれがユグドラシルで営んでいるケーキ屋はユグドラシルで最も変わった店だと思う。
「富良野さん、元気を出してください」
「だってさ~」
店先から聞こえてきた声で店へ出るとスーツを着た男性と知り合いではないが見覚えのある女性が店へやって来た。
「いらっしゃいませ。本日のケーキはショートケーキとなっております」
「ここは、ショートケーキ専門店なのでしょうか?」
ショーケースの中に並ぶショートケーキを見てスーツの男性はおれにそう尋ねた。
「この店では毎週ひとつのケーキだけを専門的に扱っております。今週はショートケーキを販売しております」
「たまたまとはいえ面白いお店に入りましたね、プロデューサー」
「富良野さんの元気が少しでも戻ったようで何よりです」
「あ~ 今ので思い出しちゃった」
「わかりました。折角ですからケーキを買って行きましょう」
スーツの男性と知り合いではないが見覚えのある女性はそう言ってショートケーキを15個購入して帰った。
7月2日 キリマンジャロ
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます