物陰のじいや#7
いつもの様に物陰から料理店インフィニティで働く孫を見守ろうとすると、インフィニティには孫どころか孫のご友人である理科さんもインフィニティの店主であるソルトさんの姿も無かった。
「一体何処へ?」
私が頭を抱えていると背後から私に近づいてくる足音が聞こえた。
「あの、ミリンさんのお爺様でしょうか?」
「そうだが、貴方は?」
「ミリンさんの同僚の旋風理科さんから伝言を預かったのでやって参りました、よろず屋の不知火世渡と申します」
「理科さんからの伝言? 一体何でしょう?」
「お伝えいたします。『ミリンちゃんのお爺ちゃん、いつもお疲れ様です。今日はソルトさんが体調を崩してしまってお店が臨時休業となってしまったのでミリンちゃんとお出かけさせてもらいます。ミリンちゃんは理科が責任もって守るのでミリンちゃんのお爺ちゃんはいつもの様に物陰から見守っていなくても大丈夫です』とのことです」
「なるほど。ところで世渡さん、あなたは理科さんのことに関してご存知ですか?」
「嫌と言うほど」
世渡さんは言葉通り嫌そうな顔でそう言った。
「理科さんは孫を、ミリンを守ることの出来る人なのでしょうか?」
「あなたの言う『守る』がどのくらいの範囲を示すのか僕にはわかりかねますが、理科は言った事は意地でも守る人です。信じてあげて頂けないでしょうか?」
世渡さんはさっきまで理科さんに対して嫌そうな顔をしていたのに信頼に満ちた表情でそう言った。
「わかりました。理科さんを信じましょう」
私がそう言うと世渡さんはとても嬉しそうな表情で微笑んでいた。
5月20日 ショウユ
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