魔女のたい焼き屋#6

「えっと? この間は、お店まで顔を出していただき、ありがとうございました。っと」


 アタシはメール(携帯電話で送るものを指す)が苦手だ。滅多なことがないとアタシからメールを送る事は無いし、よっぽどのことがない限りアタシはメールに対して電話で返答する。


 それはアタシが古い時代の者だからなのだろう。そんなアタシが最も好んで使っている連絡手段は、


「郵便です」


「おや、今日は随分と多いじゃないか」


「ええ、差出人の異なる同じ場所からの手紙が多いですね」


「そうかい。確かに受け取ったよ。またよろしく頼むよ」


 郵便局員のスライム族ネイビーからハガキの束を受け取ったアタシはハガキをまとめていた輪ゴムを外して一枚一枚をじっくりと読んだ。


「あの子ら、久々の休みを満喫しているようじゃないか。一人一人アタシに手紙を送って来るなんて」


 アタシは差出人たちの顔を思い浮かべながら自然な笑みを浮かべていた。



5月19日 ヨウカン

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