悪魔の洋服屋#6

「これ可愛いですね。こっちも素敵です」


「そう言って頂けて良かったです」


 ゼバからコラボ企画のデザインが決定したと連絡を受けたオレはすぐさまホノカさんにアポイントを取って忙しい仕事の合間に俺が書いたデザインに目を通してもらっていた。


「どのデザインも可愛くて迷っちゃいますね」


「納得できるデザインを1つだけ仕上げるつもりがつい筆が乗ってしまいまして」


「いっぱいデザインがあるという事は、その中からより良いものを選べるという事じゃないですか」


 オレの言い訳染みた言葉にホノカさんは優しい笑顔を向けながらそう言ってくれた。


「あ!」


「どうしました?」


「このデザイン画、見た瞬間にビビッときました」


 ホノカさんがそう言ったデザイン画はオレが最初に書いて最後に手直しをしたものだった。


「モデルとなるホノカさんがビビッと来たのならこれで決定しましょう」


「良いんですか?」


「この服を最初に着る予定の人が決めたのですから誰も文句は言わないです」


 オレは力強くそう言った。



5月15日 ユースケ

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