物陰のじいや#6

「うぅ」


 普段なら孫を見守っている時間であるはずなのだが、私は自宅の天井をただじっと見つめていた。


「うぅ、ミリン」


 私は孫の名前を呟きながら布団の中の両手を強く握りしめた。


「こ、腰さえ痛まなければ」


 絞り出したような声でそう呟いた私は腰の痛みに耐えながらゆっくりと目を閉じた。


「じいや」


 夢か現実か私を呼ぶ孫の声で目を覚ました私が部屋を見渡してみると、完全に閉め切っていたはずの部屋の扉が僅かに開いていた。



5月13日 ショウユ

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