おかしの駄菓子屋#5

 ジャックの駄菓子屋のメインターゲットであるお子様たちがやって来る時間より少し前の時間。


「やあ、お兄さん。ジャックはそろそろ来ると思っていたよ」


「それは、どうも」


 素っ気なくそう言うお兄さんにジャックはわざとらしく肩を落としてみた。


「ジャック・オー・ランタンさん飴玉を300個。あります?」


「毎月10日にやって来るお兄さんの為に仕入れてあるけれど、ジャックの気持ちはスルー?」


「職業柄演技はすぐ見破れるので」


 お兄さんは1個10円の飴玉300個分の料金を支払いながらそう言った。


「職業で演技を見破るって、お兄さん何している人? これ、商品ね」


 お金を受け取って商品を渡すと名刺を渡し返された。


「なになに? 『私立探偵 諸見酒キャンディ透馬もろみざけきゃんでぃとうま』へぇ、お兄さん私立探偵なんだ。って、あり?」


 ジャックが気が付くとお店の中に私立探偵の諸見酒キャンディ透馬さんはいなくなっていた。



5月10日 ジャック・オー・ランタン

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る