魔女のたい焼き屋#5
コンコンコンと店の扉を小さく叩く音が聞こえたのでパイプ椅子に座って新聞を読んでいたアタシは重い腰を上げて扉を開いた。
「誰もいないじゃないか」
風が扉を叩いたのだろうと予想しながら扉を閉めると、すぐにコンコンコンと再び店の扉を小さく叩く音が聞こえた。
「下の方から?」
音の出所に疑問を抱きながらもアタシはそっと扉を開いた。
「視界の外すぎて気が付かなかったよ。すまないね」
店の扉を叩いていたのはジャック・オー・ランタンが営んでいる駄菓子屋にいつからか居付いていたという人型のクッキーの一体だった。
「たい焼きを買いに来たのかい?」
アタシの問いに人型のクッキーは頷いた。
「ジャック・オー・ランタンがたい焼きを食べたいがためにわざわざあんたを使わせたんだろう?」
その問いに人型のクッキーは少しだけ悩んだ後小さく頷いた。
「あんた一人では持って帰れないだろう? 少し待っていな」
アタシは溜息を吐きながら『一時閉店』と書いてある看板を店の前に出した。
「あんたはアタシの肩にでも乗りな」
人型のクッキーを肩に乗せてアタシはジャック・オー・ランタン用のたい焼きとアタシの厚意で持ってきた人型のクッキー用のたい焼きを持って駄菓子屋に向かった。
5月11日 ヨウカン
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