吸血鬼の喫茶店#2
「どうして皆、コーヒーなんて黒くて苦いものを飲むんだろうな?」
おもちゃ屋の店主をしているドワーフ族のアンザンという男は主にコーヒーを提供している喫茶店でそんなことを言い放った。
「さぁ、何故でしょうね。私にはその理由はわかりかねます」
「コーヒーなんて苦いものよりこのホットミルクの方が良いと思わないか?」
「私個人としてはコーヒーやホットミルクよりもカフェオレの方が好みですが」
「カフェオレ? それは何だ?」
カフェオレを知らないらしいアンザンの為に私の奢りでカフェオレを淹れてアンザンに提供した。
「茶色いな」
「コーヒーとミルクを半々で淹れたものです。飲んでみてください」
「わかった」
アンザンはカフェオレの入ったカップを手に取り、恐る恐る口に注ぎ込んだ。
「うむ。そうか。なるほど」
「どうです?」
アンザンの眉間にしわを寄せた顔でおおよその感想は予想できたが、私はそう尋ねた。
「やはり、ホットミルクの方が美味いな」
「そうですか」
そう言ってカフェオレのカップを片付けようとすると、アンザンはそのカップを掴んだ。
「片付けるのは飲み切ってからにしてくれ」
「わかりました」
アンザンはカフェオレを飲み切って私にカップを渡した。
「たまになら飲んでもいいな」
アンザンはカフェオレが好みではないようだが、好んではくれたらしい。
4月19日 オレンジ
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