悪魔の洋服屋#2

「いらっしゃいませ」


 店内で見知った顔を見つけたオレは客としてデビライズを訪れている知り合いに声を掛けた。


「ユースケさん。お邪魔しております」


「あぁ、いらっしゃい。サファイア、今日は休みか?」


「はい、世渡さんが理科さんとお出かけになられるとかで」


「だからオレの店で彼女とデートをするとき用の服を探していた訳だな?」


 オレが茶化すようにそう言うと、サファイアは目を左右に動かしながら言った。


「そ、そ、そ、そんな訳がある訳無いじゃないですか。こ、このサファイア、か、彼女なんて」


「そうか、オレはてっきりローゼンさんのところのローズさんと出来ているものだと思っていたのだが」


「そ、そ、そんな訳無いじゃないですか」


 真実はオレにはわからないが、動揺するサファイアの姿を見るのはとても面白かった。



4月17日 ユースケ

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