天使の洋服屋#2

「うわっ!」


 店内を見回っていたボクは驚きのあまりそんな大声を上げてしまった。


「ゼバさん、お疲れ様です。こんにちは」


「世渡オーナー! お、お疲れ様です!」


 緊張しながらそう返したボクの身体は床と垂直になっていると言ってもよいほど背筋がピンと伸びていた。


「そんなにかしこまらないで下さいよ。今日はオーナーとしてこの店を訪れた訳ではないので」


「それってつまり……」


「お客です。ただの」


 その言葉でボクの緊張は解れた。


「あんなにもガチガチに緊張をしていたのはもしかして僕に知られたらマズイことでもあるからですか?」


「そ、そ、そんなことありません! ユグドラシルに誓っても!」


 言えば言うだけ疑わしくなっていくが、ユグドラシルに誓ってもボクが世渡オーナーに隠している事は無い。


「冗談です。折角会えたのでゼバさんのおすすめコーデを教えてください」


 世渡オーナーが優しく微笑みながらそう言ったのでボクは心の底からホッとしながらボクのおすすめコーデを見繕った。



4月16日 ゼバ

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