ユグドラシルの定休日#11

「世渡オーナー」


 ユグドラシルから少し離れた所にある100円均一のお店で買い物をしていると、僕の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「世渡オーナー、こんなところでお会いできるなんて思いませんでした」


「誰かと思ったらミリンさんでしたか。本当にこんなところで会うなんて奇遇ですね。お買い物ですか?」


「はい、と言っても目的のものがあって来たわけではありませんが」


「わかります。今日は違いますけど、僕も特に買うものがないのにお店に立ち寄ることが多いですから」


 僕がそう返すとミリンさんは両手を合わせて嬉しそうに驚いていた。


「そう言えば、インフィニティでの仕事は慣れましたか?」


「はい、毎日とても楽しくお仕事をさせていただいています」


「それは良かった。前にソルトさんが、仕事を苦に感じていないか心配していたので」


「今のお仕事は私が無理を言って苦だなんて思いません」


 僕にはほとんど関係の無い話なのだが、その言葉を聞いて僕はほっとした気分になっていた。


「あ、世渡オーナー申し訳ありません。お買い物中に呼び止めてしまって。またインフィニティにご飯を食べにいらしてください」


「近いうちに食べに行かせてもらうよ」


 そんな約束を取り付けて僕たちは別れた。



3月28日 不知火世渡

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