魔女見習いの占い⑩
「ありがとうございました」
お昼前最後のお客様をお見送りし終わるとチョコのおなかの虫が大きな声で鳴き出した。
「いつもの事ではあるけれど、チョコのおなかの虫はいつも元気ですね」
「うぅ、ご飯食べに行くよ」
お昼休み中という看板をお店の前に出してお昼ご飯を食べに行こうとしたチョコの腕をクッキーくんは優しく、でも力強く掴んできた。
「お弁当作って来たから」
「そうなんだ」
チョコはそのままお店の中に引き戻され、クッキーくんと2人お店の奥にあるプライベートスペースに入った。
「これ、チョコの分」
「ありがとう」
暖房のせいなのか身体がぽかぽかとしてきたチョコはクッキーくんからお弁当を受け取ってお弁当の箱を開いてみた。
「わぁ、おいしそう」
からあげにハンバーグとチョコの好きな具材が入っていながらも彩りや栄養のバランスも考えられているのであろうお弁当にチョコはちょこっとだけクッキーくんを見なおした。
「何か飲むようならついでに用意するけれど、飲みます?」
「麦茶が飲みたいかな」
「温かい麦茶と冷たい麦茶どちらにします?」
「温かい方で」
クッキーくんは首を小さく縦に振って温かい麦茶を用意してくれた。
「いただきます」
まず、少し乾燥したのどを潤すために麦茶を飲むと猫舌なチョコでも飲みやすいほど丁度良い温度の麦茶がチョコののどを潤してくれた。
「お弁当も早く食べてください。冷めますよ」
「うん」
作ってきたお弁当だから冷めているものだと思っていたけれど、クッキーくんの作ってくれたお弁当はまだほんのりと温まっていた。そして、見た目通りどの具材も一つ残らず美味しかった。
3月20日 チョコ
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