魔女見習いの占い⑦

「占いの館だって、ちょっと占ってもらわない?」


「そだね~」


 多くの種族がやって来るユグドラシルでもあまり見かけない種族のお客様がお店の看板を見てお店にやって来た。


「あの、占ってもらいたいのですが」


「いきなりでも大丈夫ですか?」


「大丈夫ですよ」


 チョコはそう言って、早速お2人に席に着いてもらいました。


「まずはお2人のお名前を教えて頂けますか?」


「じゃあ、私から。『天国と地獄』というコンビ名でコメディアンをやらせてもらっているハーフエンジェル族のホノカです」


「同じく『天国と地獄』の地獄の方、ハーフデビル族のナギサです」


 お2人の自己紹介を聞いたチョコの頭にある言葉が浮かんできた。


「あの、とても言いにくいですけど『天国と地獄』というコンビ名はあまり良くないです」


 想像できたことではありましたが、ホノカさんとナギサさんは口をあんぐりと開けていました。


「う、占いの結果です」


「そんなすぐに結果が出るのですね」


「ちなみに『天国と地獄』以外のコンビ名だとどのような名前が良いのでしょうか?」


「占ってみます」


 チョコはいつもきれいに磨いている水晶に手をかざしてお2人を占った。


 占っている間、お店の名前の由来になっているメトロノームの音だけがお店の中で鳴っていた。


「ホノカさんは全ての異世界で最も強い運を持っているみたいです。対してナギサさんは全ての異世界で最も運を持っていないみたいです。でもお2人が一緒に居ることでその運は相殺されているみたいですね。コンビ名に関しては……『ラックアンラック』というコンビ名が良いと」


 水晶に出ていた結果を告げているとお2人はキラキラとした瞳でチョコを見つめていました。


「『ラックアンラック』ですか」


「素敵です」


「あの、あくまでも占いの結果なので。信じるかどうかはご自身で」


「「信じます」」


 お2人はチョコとの間にあるテーブルを乗り越えるような勢いでそう言いました。



2月27日 チョコ

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