ドワーフのおもちゃ屋さん⑤
「アンさん、そろそろ店を開けますよ。って、それ何すか?」
開店前に工房である作業を行っているとセンリョクが俺を呼びにやって来た。
「これか? 俺たちの世界のゴミ捨て場に置かれていたのだが、収集不可の張り紙が張られていたから拾って来た」
「拾って来たって、そんな旧式のアンドロイドだと精々歩行くらいしか出来ないっすよ」
「そう思うだろ?」
俺は手招きしてセンを近くまで呼び、人型に組まれた木に漆を塗っただけのアンドロイドの内部を見せた。
「マジですか」
センが驚くのも無理はない。ここまで旧式のアンドロイドというのはセンが言っていた通り歩行するのが限度だが、このアンドロイドは歯車を使ったとても複雑な回路が組み込まれており、少なくともお茶くみ程度なら難なくこなせるほど優秀なものであるのは間違いなかった。
「歯車がかみ合ってないやつや、歯車自体が壊れているやつがありますね」
「直すには随分と時間が掛かりそうだが。セン、お前が直してみるか?」
「どうせ、細かい作業になりそうだからってのが理由でしょうけど。構わないっすよ」
「そうか、必要なものは用意してやるから使えるくらいには直してくれ」
俺はそう言ってアンドロイドをセンに託して工房を出た。
2月15日 アンザン
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