ユグドラシルの定休日⑤
ここ数日のサファイアくんの評判の良さを聞いて、彼をよろず屋の従業員としてスカウトすべきか否かを悩んでいると、僕の部屋の扉が突然開けられた。
「世~~~渡」
「理科ぁ」
ため息と組み合わせて名前を呼ぶと、理科は眉間にしわを寄せながらその顔を僕の顔に近づけて来た。
「人の顔を見てためいきとかしつれいじゃな~~~い?」
「ノックも無しに人の部屋に入って来る方が失礼だと思うけれど」
「あ~~~そう。そういう事言っちゃうか~~~」
理科はいつにも増して面倒くさかった。
「僕なんかに理科が何の用でしょうか?」
「理科が仕事ばっかりしている所為で散らかったままの世渡の部屋にわざわざ来てあげたのは~~~」
理科はそう言うと僕の前に小さな紙袋を出してきた。
「チョコレート?」
「そこは、なにこれ~~~? でしょ」
「バレンタインだし」
「チョコレートを貰えるのが当たり前だと思うなよ! バ~~~カ」
理科は僕に悪態を吐くと小さな紙袋を僕に投げつけて僕の部屋を出て行ってしまった。
小さな紙袋の中身を見てみると、理科から贈られたものと思えないほど丁寧に包装された小包が入っていて、その中にはエルフ族のチョコレートを使った手作りの生チョコレートが入っていた。
2月14日 不知火世渡
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