魔女見習いの占い⑤
お店の開店前、チョコはユグドラシルの外へ出て、昨日まで多くのお客さんを魅了していた雪像を見ていた。
「あっ……」
昨晩でお役御免となってしまった雪像は作り手たちの手によって芸術作品から雪の塊に戻されてしまっていた。
「随分と悲しそうな顔をしているじゃないか、想い人に嫌われでもしたのかい?」
「クッキー君こそ寂しそうな顔をしているよ」
「み、見間違いじゃないかな?」
クッキー君はチョコから顔を逸らしてそう言った。
「そんな顔で店に立たないでくれたまえよ。同じ魔法族の人間として恥ずかしい」
「わかっているよ」
わかっているけれど、今の切なさはもう少し引きずるとチョコの占いでは出ていた。
「受け取りたまえ」
「これは?」
「この僕が初めて作った雪像の模型だ。元は粘土だけれど、硬化魔法で壊れないようになっている。精々店のメトロノームの隣にでも飾っておくことだ」
「ありがとう」
チョコはそうお礼を言ったけれど、クッキー君はチョコの事を見てはくれなかった。
「お、お礼なら明日にでもチョコレートを持って来ることだね」
「うん、わかった」
チョコがそう言うとクッキー君は少し嬉しそうな顔を見せて去って行った。こんな回りくどい事をしてくれなくたってチョコが作ったチョコレートはクッキー君だけにあげるつもりだったのに。
2月13日 チョコ
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