魔法使い見習いの雪まつり①
「凄いですね」
僕は雪像の前に集まる多くの種族の方たちを見て親方にそう言った。
「クッキー、俺はなぁ、今日この時のために生きていると言っても過言じゃない」
「大袈裟じゃないですか?」
「大袈裟なもんか。俺たちが何日もかけて作り上げて来た雪像を見て多くの種族が感動してくれる。これ以上の喜びなんて俺は知らねえよ」
親方は強くそう言ったが、僕にはその喜びがいまいち伝わらなかった。
「おいおい、まさか俺がここまで言っても喜びが伝わらないのか?」
「少しくらいはわかりますけど」
「じゃあ、この雪像を好きな子のために作ったと思ってみろ。クッキーくらいの年なら好きな女の1人や2人いるだろ?」
「好きな人なんて……」
その時、僕の頭に浮かんできたのは占いしか出来ないちんちくりんの魔女見習いの少女の顔だった。
「どうだ?」
「伝わりました。伝わりましたよ。親方の伝えたかった喜び。好きな子なんていませんけど!」
「そうか」
親方はにやにやしながら僕を見ていた。
2月6日 クッキー
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