世渡のよろず屋①

 嵐は突然やって来た。


「世~~~渡くん」


「うわぁ」


 作業部屋の外から聞こえて来たその声に僕はついそんな声を出してしまった。


「おい~~~今の声ばっちり聞こえたぞ~~~」


 そう言って部屋に入って来たのは僕の小学校の時からの同級生である旋風理科つむじりかだった。


「何の用?」


「何の用? じゃねぇだろ~~~。理科は客だぞ」


「この部屋は一般客立入禁止なのだけど」


 理科は僕の言葉には一切耳を貸さず、勝手に部屋に入り込んであたかも自分の部屋であるかのようにくつろいでいた。


「ねぇ、世渡は今ここのオーナーなんでしょ? 理科を雇ってみない?」


 サラッとそう告げた理科だったが、僕はその言葉が本気であることを気付いていた。


「僕のところは無理だけど、他のお店で良ければ僕から紹介するけど?」


「うん」


 理科はそう相槌を打っただけだったが、嫌とは言わなかったので僕はある店に理科に紹介した。



1月14日 不知火世渡

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