スライムの宅配便①
「お疲れ様」
少し休憩を摂ろうと異世界の様々な飲み物がラインナップされている自動販売機で人間界でごく普通に飲まれている缶コーヒーを買っていると背後からそう声を掛けられた。
「お疲れ様です……。えっ?」
振り返るとそこにはスライムがいた。と言っても有名なRPGに登場するような小さくて可愛らしいスライムではなく、人型でほんのり赤みがかった半透明のスライム族の方だった。しかし、ユグドラシルの従業員にスライム族の方はいなかったはずだ。
「やあ、世渡」
真正面からその声を聞いてようやく僕はその声のスライム族を思い出した。
「レッド兄?」
「まさか、声を聞くまでわたしのことを忘れていたのか? 小さい時に勉強を教えてやった仲だろう?」
確かにレッド兄には僕が小さい頃にこのユグドラシルで勉強を教えてもらった記憶がある。僕の記憶が正しければ15歳年上のレッド兄も小さくて可愛らしいスライム族だったはずだ。
「昔話はまた時間のある時にゆっくりとするとして、今日は挨拶があって来たんだ」
「挨拶?」
「そう。世渡はオーナーになったばかりで知らないだろうが、わたしは宅配屋をやっていてその関係でユグドラシルにも週に一度、この世界で土曜日の日に宅配に来ているんだ。だからオーナーである世渡に挨拶をしておこうと思って仕事の途中だが世渡に会いに来たって訳だ。世渡も何か仕入れたいものがあったらわたしが来た時に行ってくれれば次の週の土曜日には届けに来るからぜひ利用してくれ」
レッド兄はそう言うとまだ仕事が残っているからと言って去って行った。何故しずく型だったレッド兄が人型になったのか凄く気になるが、それは今度会った時に聞いてみることにしよう。
1月13日 不知火世渡
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