魔女見習いの占い①

 ユグドラシルのオーナーになったら行っておきたい店があった。


「こんにちは」


 階段下の小さなスペースにあるその店に行き店主に挨拶をすると店主の小さな身体には大きすぎる魔女帽子がピョコンと跳ねた。


「オ、オーナー様。おはよーございますっ」


 店主で自称見習い魔女のチョコちゃんはガチガチに緊張しながらそう言った。


「チョコちゃんに僕の未来を占ってもらいたくて寄ってみたのでけれど、今は大丈夫かな?」


 僕がこの店、占いの館メトロノームに来たのはそれが目的だった。


「は、はいっ! すぐに占いますっ!」


 早口でそう言ったチョコちゃんはきれいに磨かれた水晶を真剣に見つめて僕の未来を占い始めてくれた。


 店名の由来になっている古いメトロノームが44往復するとチョコちゃんは顔を上げて僕にこう言った。


「そう遠くない未来のオーナー様から優しい光が見えました。それと、オーナー様を笑顔で囲んでいらっしゃる多くの方々の姿も見えました。恐らく、オーナー様に感謝をしているのではないでしょうか」


「悪い未来ではなかったみたいでホッとしたよ」


「チョコが見た限りではオーナー様はしばらく悪い力とは無縁のようです」


 チョコちゃんの占いは必ず当たると言われている。この結果がどのような未来を生むのか楽しみだと僕は感じた。



1月9日 不知火世渡

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