season1
エルフの絵本屋さん①
オーナーとしてユグドラシルにやって来た最初の日。
見慣れたはずの場所だがどうにも緊張してしまいロボットのような歩き姿になっていた僕を優しい声で呼び寄せたのは絵本屋ローゼンを営んでいるローズさんだった。
冬休みという事もあって絵本屋ローゼンは小さなお客様が多く来店されていて、身体がガチガチに緊張していた僕にとっては居心地の良い空間だった。
「皆さん、こちらの方はこのユグドラシルで一番偉い方ですよ」
ローズさんは僕を茶化すように小さなお客様にそう伝えた。
決して間違いでは無いのだが、小さなお客様は純粋な瞳はキラキラと僕を見つめていて少し恥ずかしく感じた。
「懐かしいな。奏吉さんが初めてユグドラシルを始めた日も同じように緊張していたよ」
なんだかんだローズさんの休憩時間になるまで絵本屋ローゼンに入り浸っていた僕はローズさんの淹れてくれたローズヒップティーを飲みながらローズさんの話に耳を傾けていた。
「オーナーだからって堅苦しくある必要は無いよ。『皆が種族や職種に関わらず楽しめる場所』それがユグドラシルだから」
その一言で僕の気持ちは少し軽くなったような気がした。
「オーナーの仕事は忙しいと思うけどたまに遊びにおいでよ。またおいしい紅茶を淹れてあげるから」
僕はローズさんの優しい声に背中を押されてオーナーとしての初日をやり遂げることが出来た。
1月8日 不知火世渡
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます