食卓戦隊スイハンジャー
因幡ノ真兎
第1卓・食卓を守る戦士(上)
みんなは、食べ物の好き嫌いはあるだろうか?
野菜は嫌い、肉は好き、もちろん反対の方もいるだろう。
ただ覚えておいてほしい、好き嫌いができるうちは幸せであると。
仮に、この世界から食べ物が消えたら、好き嫌いなどできないのだから……
ここは、日本の平和なビル街。
ビルの高さは年々高くなり、今や高層ビルの方が多くなっていた。そして平日の昼や夜はサラリーマンが、休日は家族連れが多く賑わい、メジャーなものからマイナーなものまで数多くの飲食店や屋台が並ぶ場所でもあった。
しかし、この日はいつもと様子が違っていた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、か、怪物だぁぁぁぁ」
「きゃぁぁぁぁ!!」
『ガリィ』
『ガリガリィ』
全身黒ずくめの人型の怪物が、人々を襲っていた。
『ガリィ!』
「あっ……私のアイス‼︎」
怪物が一人の少女からアイスを奪うと、次の瞬間アイスが光の粒子となり消えた。
『ガリガリガリガリィ!』
その様子を見ていた他の怪物たちが歓喜の声を上げる。そして、怪物達が新たな獲物を見つけようと辺りを見渡し次の獲物を決めたのか、その獲物に飛びかかろうとした、その時だった‼︎
紅いスーツを身にまとい、米と書かれたフルフェイスヘルメットを被った一人の男が怪物の前に立ちはだかったのだ!
「そこまでだ!」
『ガリィ⁉︎』
「ココからは、俺が相手になってやる」
『ガリガリィ!』
「強い旨みと粘り、コシヒカリレッド‼︎ 行かせてもらうぜ‼︎」
紅いスーツを纏った男、コシヒカリレッドはそういうと、腰に提げてた巨大なお箸のような剣を抜く。
すると、怪物たちはコシヒカリレッドを囲み、一斉に襲いかかってきた。
「米のように、甘いぜ!」
コシヒカリレッドはそう言い放つと、前方の怪物の攻撃を剣で受け止め、隙ができた胴体に流れるように斬る。そして、次の怪物の攻撃を半身をズラし避けた。
そして、コシヒカリレッドは振り返り、避けたことにより体制を崩した怪物を斬り上げる。
そして、次々と襲いかかってくる怪物を同じように斬り伏せるコシヒカリレッド。
『ガリィ⁉︎』
『ガリィ‼︎』
怪物たちは、コシヒカリレッドの攻撃にやられ倒れたと同時に爆発する。
「ふぅ」
コシヒカリレッドは剣をベルトの右部分ににしまい、その場を後にしようとした時だった。
『ガリガリィ!』
先ほどより多くの怪物が新たに現れたのだ。
「まだ、こんなにいんのかよ! 仕方ねー、アレ使いますか!」
コシヒカリレッドがベルトの左部分からカプセルを取り、ベルトのバックル部分に差し込もうとした時だった。
「フッ、一人だと何もできないのかレッド」
「あら、そんなこと言って真っ先にレッドを助けに行こうと駆け出したのは誰だったかしら?」
「ピンク、そんな事言ったら可愛そうッスよ。なんたってブルーは、ツンデレってやつっスから」
「グリーン、叩っ斬られたいのか?」
「皆さん速いですぅ〜、もう少し待ってくださいよ〜」
「ブルーこっわ、ほ、ほらイエローも来たんだし、アレやりましょうよ」
「チッ……オールマイティ、ヒノヒカリブルー」
「うふふ、次は私ね? あっさりした味わい、ヒトメボレピンク」
「身の危険を感じたッスね……っとと、俺っスね。食感柔らか、ツヤあり、粘りあり、ナナツボシグリーン」
「はぁ、はぁ、ふぅ、え? もう口上ですか⁉︎ お、王道な和食に適応、ササニシキイエローですぅ」
新たなに四人の男女が次々に言葉を発して、ポーズを取る。
「お前ら!」
コシヒカリレッドはすぐさま四人の元に駆け寄ると、ヒトメボレピンクに頭を叩かれる。
「いてっ、何するんだピンク!」
「あら、一人で先走るなって言った私の発言は覚えてないのかしら?」
「あっ、いや、それは、ほら」
「もう〜、レッドさんもピンクさんも敵は目の前なんですから、喧嘩はやめてください〜」
「そうだぜ! 今はアイツらに集中しようぜ!」
「もぅ、仕方ないわね」
ヒトメボレピンクがそういうと、五人は各々の武器を構えた。
「いくぞ!」
コシヒカリレッドのその掛け声とともに五人は駆け出した。
食卓戦隊スイハンジャー 因幡ノ真兎 @inabanoshinnusagi
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