277話 数奇な巡り合わせ


「うーっし! ようやく帰ってきたぞーヴォリンレクス!」


 この場所から神器の捜索へと出発してから早1ヶ月。本来ならテルスマグニアを手に入れたら即帰還するつもりが、島の旧魔族の事情に精通している私達がいなければ彼らとヴォリンレクスとの仲を取り持つことができないので意外と時間がかかってしまった。


「みんな驚いてたわよねー、急に空から降りてきた大きな島から旧魔族が大勢出てきたんだから」


「でもなんとか受け入れてもらえてよかったじゃない。落ちたのがギルド統治管理区域の海上で助かったわね」


 第五大陸はほとんどが人族主義派の国家である地域だが、第四大陸や中央大陸に繋がる海沿いの区間は中立団体であるギルド連合が管理している部分がほとんどだ。

 ヴォリンレクスの人間もだいたいがそこに待機しているので、その近くの海に落ちたのは本当に幸運だ。


 ……もしかしたら、ノゾムの最後の想いにテルスマグニアが応え、旧魔族達にとって安全である場所へと誘導したのかもしれない。


「過激な人族主義の人達もいましたけど、アポロさんのおかげでなんとかなりましたしね」


 そうそう、島が落ちる瞬間を見てたのか知らないがそういう連中の中でも特に血の気の多いやつらが出張ってきて面倒くさかったんだよな。

 ただ、アポロが一喝して脅かしたことであちらさんはビビッて手出しできなくなっちまったけど。


「はっはっは! なぁにあれしきのこと、我が龍皇帝国の未来の国民のためなら当然のことをしたまで!」


「勝手に決めないの。どこでどういう生活を選ぶのかはあの人達しだいでしょ」


 すでに旧魔族達はヴォリンレクス保護下のもと、新しい移住先の検討が始まっている。

 全員同じ場所に移り住むかもしれないし、バラバラに生活する可能性もある。


「それにだネルよ、あの島の住人ということは我らが子の家族も同然。そんな彼らを守るのは当たり前であろう」


「まったく、いつもながら無茶苦茶な理由なんだから。でも、その通りだから今回は納得しとくわ」


 ミネルヴァは今も大事にノゾムから預かったカプセルを抱えている。

 終極神との戦いが控えているこの状況ですぐ移植の処置を行うことはできないが、二人にとって中にいる存在はすでに自分達の子として強い愛情を向けている。


 ……このヴォリンレクスには体外受精を行うための装置が存在しており、受精卵をそのままの状態で保存しておくことが可能だ。

 それは負の遺産とも呼べる前皇帝ダンタリオンが残した非人道的な装置の数々。体現者を通して終極神の影響によって生まれた技術でもあるが、今はそれを利用させてもらう。


「ま、その辺の事情も先にディーオに伝わってるはずだから、さっさと向かうとしよう」


「さんせーい。あたしも早く王宮戻って久しぶりにふかふかのベッドで寝たーい」


「ワウーン(ぼくもっすー)」


 いつも以上にだらしない発言のセフィラだが、まぁ今回ばかりは仕方がないか。

 今回の旅ではセフィラも本当にお疲れ様って感じだったからな。


 まぁ、今後終極神が事象内部へと影響を及ぼすであろう流れを確認できたおかげで多少の余裕も生まれた。

 少しくらい、ゆっくりするのは許してやろう。




「さて、そんなこんなで王宮までたどり着いたわけだが……」


「うおおおおお! まっておったぞお主らーっ! よくぞ無事に帰ってきてくれた! だがなぜそのせいで余の仕事が増えるのだーっ!?」


 出迎え一番で大声を放つディーオだが……ああ、島の落下で周辺諸国との対応や旧魔族の一件が全部こっちに回ってくるのは当然だわな。


「ディーオ様、その件につきましては何度も確認されましたはずです。人族主義の悪意から逃れていた旧魔族を世界同盟で受け入れさせられるのは我がヴォリンレクスだけだと」


「まぁその通りであるし余も何とかしてやりたいとは思っておる。だが最近やることが……やることが多いのだ……。このままでは余が過労死して帝国が崩壊してしまうぞ~」


 この先のことも考えるとまだまだディーオの仕事は増えそうだ。頑張れディーオ、負けるなディーオ。帝国の未来はお前の双肩にかかっているぞ。


「まぁ、こんなへっぽこ皇帝でもそれを支える人間は皆優秀だから当分そんな心配はなさそうですけれど」


「あっ、リーゼ! シリカちゃんも! ただいま!」


「おかえりなさい皆さん。レオンさんもご無事なよ……うでなによりです?」


 ディーオ達に遅れてエリーゼとシリカも出迎えにやってきた。最初は私達、というよりもレオンの無事な姿を確認して安心したようだが、どう見ても体の一部分が出発前と大分変っているので流石に不安を見せる。


「レオン……あなたその腕大丈夫ですの」


「う、うん……なんか凄いことになっちゃってるけど特に体に害はないみたい」


 テルスマグニアは依然としてレオンの魔導アームにぎっちり詰め込まれている。どうも神器があの場所……というよりレオンと繋がっている魔導アームのコアをいたく気に入ってしまったみたいだ。

 ああなった以上無理に引きはがさずアーム自体を調整する方がいいだろう。


 とまぁ、そういった細かい問題はまだまだ残っているが、今は……。


「おかえりなさい……ゲンさん」


「おう、ただいま……クリファ」


 私の無事を信じ帰りを待ってくれていた彼女の優しい微笑みに、めいっぱい甘えさせてもらうとしますか。


「ちょっとこらそこー! 二人だけでいい雰囲気作らないの! てかクリファ、あんたさりげなくあたしのこと無視してたでしょ! あたしにもなんか一言くらい声かけなさいよ」


「はいおかえりなさい。これでいいですか」


「雑すぎよ!」


 こんな光景も久しぶりだな。まぁクリファは今回留守番してたせいかセフィラに対してかなり当たりが強いみたいだが。

 ただ……。


「……セフィラ、あなた……何か変わりましたか?」


「なにそれ? 別に何も変わってないわよ。あたしはあたし、史上最高にしてこの物語唯一無二のヒロインよ!」


「そうですか、わたしの勘違いだったみたいですね。相変わらず妄言を吐き散らす残念な頭はそのままみたいですし」


「あんたケンカ売ってるでしょ!」


 まったく、口では悪く言ってるがどうやらクリファもわかってるみたいだな……今回の旅でセフィラの心境に変化があったことに。

 流石お互いの境遇を理解し合ってる女神同士……って言うと二人の場合不機嫌になるから口には出さないけど。


「ほらほら二人ともその辺にしとけって。これから確認しないといけないことが山ほどあるんだからさ」


「ええ、そうですね。その件でまずはゲンさんを案内したい場所があります」


「案内?」


 どうも私達がいない間にこちらでも何か変化があったようだが……。


「おっとそうであったぁ! ムゲンよ、実はお主らが帰還する数日前にはすでにセイヤ達が帰っておったのだ!」


「ですが神器回収の際に愛用の魔導機が破損してしまったらしく、現在王城の工房に籠って修復作業を続けておられます」


「おお! あいつらも帰って来てたか!」


 やっぱ最初に帰ってくるのはあいつらだと思っていた。私も今回の回収任務ではあそこが一番早く済むだろうと。

 逆にカロフ達が帰ってきていないというのもやっぱりか。ドラゴスのやつは面倒くさい性格してるからな。

 ただ星夜達も帰ってきたのは数日前か……ファラの性格上もう少々早く納得してくれて、もっと早く帰ってきてるものだと思っていたんだが。


「というかなんで魔導機が破損してるんだ?」


 おそらくそれが遅れた理由だとは思うんだが、なぜそんな事態になっているのかが私には理解できなかった。

 そんなトラブルがなければフローラの性格からして速攻帰還してドラゴスに会うため第三大陸へ直行したはずだ。


「その辺りは工房へ行けばわかりますよ、フフッ」


「ん? なんで笑うんだクリファ?」


「いえ、あの人からゲンさんのことをいろいろ聞かせてもらいましたので、それを少々思い出していただけです」


 んん? いったいどういう意味だ?

 ともかく、工房に行けばすべてわかるということなので早速向かうとしようじゃないか。




 だがまさか……こんな形であいつと再会するなど思ってもみなかった。


「おかえりなさいインくん。久しぶり……でもないかな? たった一年くらいだし」


「まさかお前がいるとは思わなかったぞ……ファラ」


 工房にたどり着いた私を出迎えたのはまさかの人物だった。

 ルファラ・ディーヴァ、アステリムにおける七神皇の一角“精霊神”であり、私の前世における仲間の一人。


「帰ってきていたか、限。どうやらお互い無事に任務を終えられたようだな」


「おーゲンちゃんおっかえりー! ……って、もたもたしてたから先にゲンちゃん帰ってきちゃったじゃん!? もー! あたしは早くパパに会いに行きたいのにー!」


 と、ファラの後ろで作業をしていた星夜達も私達に気づいたようで、手を止めてこちらへやってくる。ミーコだけはまだ奥で他のドワーフ族達と作業中か。

 しっかし、ファラがここにいるってことは……。


「星夜達もお疲れさん。でもファラがいるなら神器の継承はなかったのか? まぁファラが協力してくれるならそれでも構わないんだが」


「違うわインくん。神器は確かに星夜くんに継承されてる」


「本当か? だけど星夜の体からはムルムスルングの存在を感じないんだが……」


 ムルムスルングはエネルギー粒子の総称で、目に見えないほど周囲に散布されていようと若干は所有者の体から命令を受けるために引っ付いてるはず……なんだけどな。


「なるほど、つまりこれは限にも想定外の事態ということか。安心しろ、神器“ムルムスルング”はすべてこの中にある」


 そう言って星夜が先ほどまで作業台で整備していた物体をこちらへ持ってくると。


「ってそれ魔導エンジンか!? ちょっとでっかくなってるけど……おおー、マジで中にムルムスルングが詰まってるよ」


 その中で循環しているエネルギーはまさにムルムスルングそのものだった。

 確かにこの神器は所有者の扱う魔力の性質などでその性能を大きく変えるのが特徴だが……まさかそのままエネルギーとして使用する魔導エンジンに組み込むのは私も予想してなかった。

 だが、これはこれで星夜らしいか。


「これを基準に新しく魔導機を作っているが……なかなか調整が上手くいかなくてな」


 なるほど、それで足止めくらってたってわけね。

 とまぁムルムスルングのいきさつはこれで私も理解したが。


「となるとますますファラがなんでここにいるのかわからんぞ。あんなに森に引きこもってたくせに」


「別に引きこもってたわけじゃないから! ……あたしがついてきた理由は、フローラの付き添い」


「付き添いって……まさかお前もドラゴスに……」


「そ……まぁ、あたしもそろそろあの人……あいつと話し合わないとって思ったから」


 ほほー、意外だがそれだけ星夜達の説得がファラの心を動かしたってことだよな。

 娘に感化されてファラもやっと前に進む決心がついたってことだ。うんうん、これは私にとっても喜ばしいことだ。


「で、なーんか盛り上がってるみたいだけどあたし達にはなんの悦明もないわけ?」


「うおっセフィラ!? いきなり ぬっ と横に現れないでくれ。というか説明って……ああ、そういやだいたい初対面だったな」


 ここまで空気を読んでこちらのやり取りを黙って見ていた同伴者達だが、そろそろ目の前の人物の説明や自分達の用事を済ませたいという雰囲気でこちらを見つめている。


「すまんすまん、旧友と話し込むとつい長くなってしまう」


「というかムゲン、この人とすっごい仲良さげに話してたけどいったいどんな関係なのよ」


「それ、わたしも気になります……」


 ……セフィラとクリファが疑惑の眼差しでこちらを見つめてくる。いやセフィラが私の女性関係に敏感なのはわかっていたが、そこはクリファも同じなのか。

 とりあえず誤解は解いとくか。


「こいつはファラ、第四大陸の“精霊神”って言えばわかるだろ? 私との関係は……まぁ前世の仲間でも特に親しい間柄ではあるんだが。そうだな、感覚的には妹……というかもう娘に近いかもしれん」


「ちょっとインくんあたしの説明雑じゃないの~」


 私の紹介によって皆も若干驚いたようにざわつくが、数分もしない内にそれは収まり納得してくれたようだ。

 まぁ以前フローラの母親ってことで説明したこともあるしだいたい感づいてはいたっぽいしな。


 だが、そんな落ち着いた仲間達の中で未だ反応が収まらない者が約二名。


「ムゲンの娘……ってことは! つまりあたしの娘ってことにもなるんじゃない!?」


「ならねーよ」

「なりませんよ」


 うん、一人はこんなアホなこと考えてたセフィラだ。流石にクリファもここまでぶっ飛んだ考えは持っておらず私と一緒にツッコミに回ったな。

 ……んで、反応の収まらないもう一人はとても興奮しているようで。


「うおおおおお! お初にお目にかかる龍神の伴侶殿よ! 我はアポロニクス・タキオン・ギャラクシアと申す者であります! お噂は伝承にて常々伺って……ま、まずは握手をお願いしてもよろしいだろうか!」


「えええっ!? ちょ、ちょっとインくん、なんなのこの人いきなり!?」


「自重しなさいバカアポロ!」

スパァン!


「ぬおっ!? お、おおスマヌネルよ。つい興奮してしまって……」


 ま、アポロのこんな反応も当然っちゃ当然か。ちょっと興奮しすぎだが。


「アポロがこんな調子じゃあんた達ゆっくり話もできなそうだから先に行くわ。受精卵維持装置は工房のさらに奥でいいのよね」


「ああ、でっかい筒状のものがそうだ」


「了解。ほら、行くわよアポロ」


「是非とも! 是非とも後にお話を~……」


 そのままズルズルとミネルヴァに引きずられていくアポロ。まぁファラもしばらく滞在するならゆっくり話せる機会もあるだろ。


「結局なんだったのあの人? それに引きずっていった女の子が持ってたカプセルってメリクリウスの体外受精装置だよね。いったい何がどうなってるの?」


 アポロの正体に気が付かないのは意外だが、装置については流石にファラも気づいたか。


「アポロは龍族だよ、今は人化してるけどな。あの装置は……まぁあの人畜有害糞野郎が密かに残してた旧魔族のための遺産ってとこだ」


「わっ、あの人がそうなんだ! へ~、ドラゴスに以外の龍族って本当にいたんだ!」


「いや驚くとこそこかよ」


 確かにファラが生まれた時代にはすでにドラゴス以外の龍族は歴史の表舞台から姿を消したからな。ここ数百年の間には第一大陸の辺りでいくらか動きもあったようだが、ファラはすでに精霊神として第四大陸に引きこもってた時期だからなぁ。


「あの~師匠、盛り上がってるところ悪いんですが、僕もセイヤさんとお話させてもらってもよろしいでしょうか」


「オレに用か? ……いや、その腕を見れば何となく察しはつくが」


 もう限界だとばかりにレオンはおもむろに肩の接続機構を操作するとガチャリと腕が外れエリーゼとシリカがそれを支える。

 それでもテルスマグニアは腕の中でぎゅむぎゅむと敷き詰められながら動きその中へと納まろうとしているようだ。


「改めてよく見ると……かなり気持ち悪いですわねこれ」


「う、うん……だからテルスマグニアが全部収納できる腕に改造してほしいんですけど……無理でしょうか?」


「なるほど、事情は理解した。任せておけ、これまでムルムスルングの調整のため神器を納める技術はそれなりに培うことができたからな。多少大きさが変わるかもしれないがそこは我慢してくれ」


「はい、大丈夫です! 僕はセイヤさんの技術を信頼してますから」


 義腕の一件からレオンは特に星夜を信頼するようになったよな。

 しかし納めるだけとはいえ神器の扱いにこれほど早く順応するとは星夜の技術力にはほんと驚かされる。


「えー! ちょっと星夜、レオンっちの腕も直すってなるとパパに会いに行くのがもっと遅くなっちゃうじゃん! そんなのヤダヤダー!」


「こらフローラ! 文句言わないの。あなたの用事と違って彼らのは世界を救うために必要なのよ。優先順位を考えなさい」


「あたしの中ではパパに会いに行くのが一番優先だもんー!」


 なんか前も見たなこんなフローラ。私もファラに許可を取ったら会いに行っていいと言った手前あまりフローラを責められる立場にないし。

 しかしこのままだと収まりがつかなそうだぞこりゃ。


「あ、あの……僕のは別に後に回してもらっても……」


バァン!


 と、レオンが申し訳なさそうに会話を納めようとしたその瞬間、工房の扉が勢いよく開かれ一人の兵士が飛び込んでくる。


「陛下! 陛下はおられますか!」


「騒々しいのう。何かあったのか?」


「こ、この都市の上空に謎の巨大飛行生物が飛来し住民に不安が。さらにその生物はゆっくりとこの王城を目指しているとの報告もあるようです!」


「な、なんだとーっ!?」


 謎の生物が空からこのヴォリンレクスを狙ってきたということか?

 いや、しかし……。


「ゲンさん、もしかして……」


「いいや、終極神とは違う。あいつが仕掛けてくる先の事象は私は完全に捕らえた。今はその時期じゃない」


 とにかくその謎の生物とやらを確認しないことには何もわからない。今この場で動けるメンバーは全員その場へ向かうため動き始める。


「インくん、あたしも行くわ」


 これは心強い。

 レオンは腕が本調子じゃないのでエリーゼ達とここを守ってもらうとして……あとは星夜達とディーオ達か。


 そのまま王城の広場にたどり着くと、そこでは多くの兵が上を向いてうろたえていた。


「皆の者落ち着くのだ! 我らヴォリンレクスの軍ならばどんな敵だろうと後れを取ることはない! してその敵はどこなのだ?」


「陛下! 今まさにここへゆっくりと降りてきてます!」


「なにーっ!? それはちょっといきなりすぎて心の準備ができないのだーっ!?」


 いやディーオ自身が一番うろたえてどうするよ。

 ここは新たに覚醒した私がかっこよく決め……え?


「ちょっとインくん。なにボーっとして……え?」


 そう……その生物の姿を確認しようと私もファラも上空を見上げた瞬間だった。

 太陽が後ろにあるせいで逆光によるシルエットしか確認できなかったが、その形は紛れもなく私達が誰よりも知る……あの男のものであると。


「だぁー! おいコラジイさん! なにが「我に任せておけ」だ! めっちゃ警戒されちまったじゃねぇか! それにこっちは龍の背中なんて乗り慣れてねぇんだからもちっと優しく飛べっての!」


「う……ちょっと気持ち悪い……」


「リィナ、ここで吐いたら駄目ですわよ!?」


 それに、その背から聞こえてくるのは私達と同じ目的で第三大陸へと向かった現代の仲間達の馴染みある声。


「ふん、この程度のことでうろたえるなど最近の兵は肝が据わっていないようだ。お前達もあれしきの飛行で音をあげるなどまったく根性が」


「ドラゴス……?」


「足ら……」


 その巨体が降り立つと同時に、その生物……いやその男と私達との視線が交差する。


 それは、数奇な運命の巡り合わせ。前世の私が死を迎えてから長い長い時を経て再び訪れた……私達三人の『家族の再会』だった。


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