266話 任務遂行


 予感は……あった。

 オレ達は世界樹に吸い寄せられ意識を失い、気が付いたらそれぞれ理想の世界を体験させられていた。

 だがそもそも最初に世界樹が引き寄せたのはフローラだけであり、オレとミーコはそれを阻止しようとしたがために同様に引き寄せられたにすぎない。


 つまりここは世界樹の中であり、あの理想の世界もこの使徒も世界樹の中にある何かがオレ達をフローラから遠ざけるために用意されたもの、ということだ。


「まさか、神器が出てくるのは意外だったがな」


 暴走を抑えるために神器“ムルムスルング”が世界樹に宿っていることはわかっていたが、内部でその力を利用できるとは考えていなかった。

 そもそも本来の所有者はフローラの母ルファラ・ディーヴァであるはずなのになぜ使徒が自在に扱っているのか。

 オレの知らない間に所有者が変わったのか……もしくは使徒、あるいはそれを動かす意思が"所有者でなくとも神器の力を引き出せる"存在か……。


「――オ゛オ゛オ゛」


「どちらにせよ、マズい状況であることに変わりはなさそうだ」


 使徒が上部の手のひらに集められたエネルギーを弓にセットし引き絞ると、同時にそれは"矢"の形へと変化する。

 ギリギリという弓が軋むような音が聞こえそうなほど引き絞られた矢の狙いは真っ直ぐオレへと定まっており……。


「ッ! [wall]起ど……」


ガァン!


「うっ……ぐっ!?」


「せや……さま!」


 シールドで防ごうと判断した瞬間だった。使徒から放たれた矢が目にも留まらぬスピードで確実にオレの体を射抜こうと迫り、気づいた瞬間にはすでにシールドが直撃する矢を弾いていた。

 これは、回避で対処しようとしていれば確実にやられていたな。


 しかし一発だけでシールド内の魔力をほとんど持っていかれてしまった。スピードだけでなくパワーもある、弓……というよりは弩弓だな。

 さらに神器のエネルギーが矢自体に備わっているせいか、矢が落ちることもなく威力も最高の状態が保たれている。


「――……」


 そして使徒はその四つ足を活かし冷静に最適な距離へと移動する。こうなってはもうオレに近づくことはないだろう。

 サテライトは遠くまで飛ばすことができない。このまま遠距離戦を続けられれば、いずれこちらの手は尽きる。


「――ア゛ー……。ウ゛ー?」


 だが未だ連続で追撃されることはない。

 おそらくだが使徒はまだあの力の使い方を完全に熟知しておらず、手探り状態といったところだ。

 実戦経験が薄い……先ほど確信したこの情報が今のオレを生かしている。もし使徒に熟練した戦闘経験があれば、オレは次の手を思案することもできず追い詰められていたはずだ。


 だからこそ、オレ達の勝機はそこにある!


「ミーコ、シューティングブレイザーをライディングモードへ! 乗り込むぞ!」


「りょかい……です!」


 棒立ち状態ではギリギリあの矢を防ぐだけで精一杯だ。ならばスピードでかく乱することでわずかでも矢の軌道から外れられれば、その隙をついて近づくことも不可能ではない。


――――ィィィイイイン!


 低い駆動音を鳴らし魔導エンジンのエネルギーが車体全体へと伝わっていく。


「――! ウ゛ォオ゛オ゛オ゛!」


 突然の咆哮……どうやらオレ達の行動に気づいて何かを仕掛けようとしているな。

 咆哮と共に地鳴りのような、低い振動と同時に周囲の雰囲気が変化していくのを肌で感じる。


「これは……空間、いや世界が変わろうとしているのか?」


 最初に感じたのは足元に触れる大地の感触だ。そこから真っ白だった空間へ次々と自然が色づき広がっていく。

 いや、これは自然だけではない。広がった世界は森の中のようにも見えるが、その中には破損したアスファルトの道路、倒壊したビル群が樹木に侵食された光景。さらに視線を動かせば高い鉱山の中に多くの崩壊した居住区……こちらも樹木に侵食されている。


「せや……さま、あれ……て」


「ああ、おそらくそうだろう」


 あれは、先ほどまでオレ達が望んでいた理想の世界……その成れの果てがここへごちゃ混ぜに集められている。

 目の前には樹木やビルの残骸、さらにはあちこちから生える鉱石によって真っ直ぐ進むことのできないかなりの悪路だ。要するに足止めか。


 だが、この程度で止められるオレ達ではない。どれだけ悪路だろうと走り抜けることのできるルートは存在している。

 スピードのみだった勝負にテクニックを要求されただけのこと、受けて立とう。


「しっかりと掴まっていろミーコ! シューティングブレイザー、アクセラレーション!」

――――ィィィイイイン!


 魔導エンジンが唸りをあげ、荒廃した世界を走り抜けていく。樹木の間を潜り抜け、倒壊したビルの下を通り過ぎる。

 この状況は逆にチャンスだ。地形を上手く使いこなせば使徒の虚をつくことができるかもしれない。


「――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」


 が、やはりそう簡単にはいかなそうだな。

 オレ達が障害を抜け走る姿を見て使徒もその四つ足を使いこちらを追いかけ始めた。

 速い、加えてオレ達が迂回しなければ進めないような大きな障害も簡単に飛び越えて進んでくる。


「うえ……です!」


 オレ達と並走するように倒れたビルの上を走り、使徒はそのまま弩弓の弦を弾きながら確実に照準をこちらに合わせている。

 このままだと狙い撃ちか……なら。


「こっちだ!」


「――ウ゛!?」


 今までのアスファルトの道を逸れ今度は林の中へと突入する。狙い通り使徒は木々に隠れるオレの姿を捉えられず照準が定まっていない。


「どうやら樹木だらけの世界にしたのは失敗だったようだな。それとも、無理やり生み出した世界ゆえに細かい設定ができなかったか?」


「――ウ゛ウ゛……ア゛ア゛ッ!」

ズドォン!


「外れだ」


 耳はいいようだな、この距離からでもこちらの言葉に反応し感情任せに撃ってきた。

 しかし着弾地点はほぼ真後ろだった……狙いが定まらなかったから外れただけであり、やはり技術だけはすさまじいものを持っている。


「ようす……おかし……です」


「なに?」


 使徒の様子がおかしい……そうミーコが告げてきたためオレは即座に手元のパネルモニターを操作し確認する。

 走行に集中しなければならないオレに代わってミーコには使徒を観察してもらっている。オレ達のヘルメットには望遠機能と、その映像データをモニターに送り映すことが可能だ。


 そして送られてきた映像を見て、オレは使徒が何を行おうとしているのかを確信する。


「曲射だ! それも一本でなく雨のように降ってくるぞ!」


 見えたのは両の腕に備え付けられた弩弓の狙いを上空に構え、これまでの一本に集中したエネルギーの矢と違い小さい矢が何本もセットされている。

 一撃で当たらないのなら数で攻めるか。

 マズいな、林の中では速度が出ない。このまま集中放火されれば避けることは不可能だ。


「ミーコ、サテライトショットの迎撃システムを使う。一本でも多く着弾する可能性の高い矢に狙いを定めてくれ」


「やてやる……です!」


 フローラの魔力感知に頼れない以上目視で狙いをつけるしかない。ミーコには負担をかけてしまうが、今は他に手がない。


「だじょぶ……です! せや……さま」


「ミーコ?」


「ふろらちゃ……たすけ……ます!」


 そうだったな……オレ達は一緒にフローラを助けると誓った。大切な仲間を取り戻すための覚悟なら、ミーコにもとっくにできている。


「――ウ゛ァ!」

ドドドドドドドドド!!


 神器のエネルギーによって作られた矢の雨が周囲一帯に降り注ぐ。

 一本に集中したほどの威力はやはりないが、それでも樹木を抉り貫いてなおこちらを仕留めるだけの殺傷力は秘めている。


「迎撃しろ!」

ダダダダ!


 座席の後ろに固定されたサテライト砲台により直撃する幾本かの矢は撃ち落とせてはいる。

 だが使徒も自身の力の使い方を理解し始めたのか両腕の弩弓を交互に放つことで矢の雨を止むことなく撃ち放っている。


 このままではいずれ迎撃にも限界が来る。それまでにこの林を抜けられれば……。


「……! 見えた、あそこが林の出ぐ……」

ズガァン!


 出口が見えたその瞬間、撃ち漏らしの一本が車体を掠め制御が狂わされる。サテライトの砲台もそのせいか命中精度が落ち、再び数本の矢がオレ達へと襲い来る。


「ぐ……がっ!」


「せやさま!?」


 シールドが車体後部に備え付けられているためかろうじてミーコやエンジン本体にダメージはない。

 だが他の部分は薄い[wall]しか張ることができないため、威力を殺しきれなかった矢が数本オレや車体を傷つけていく。


「そな……血が」


「オレの……心配は無用だ。このまま林を抜ける! ミーコは使徒から目を離さないでくれ」


「……わか……ました!」


 ここで止まるわけにはいかない。止まった時点でオレ達の負けは確定する。

 そもそも勝利条件がわからないこの戦いにおいて後手に回り続けていては勝利は遠のくばかりだ。


「この先は、荒野と山岳地帯……か」


 やはり倒壊したビルの残骸や無造作に生える樹木などおかしい光景は残るが、これなら直線でスピードを出しつつ遮蔽物を盾にして攻撃をやり過ごすのも可能だろう。


「大きの……きます!」


 後ろから追いかける使徒もかなりのスピードだ。そして再び矢の形を一本に集中してきたか。

 先ほどの乱射でオレを仕留めることができなかったからな、この局面ではやはり確実性を選ぶだろうと予測はしていた。


「――ア゛ァイ゛!」


「くっ!」


 矢が放たれ、ギリギリオレ達の横へ外れ着弾する。

 すんでのところで進行方向をわずかに修正したからよかったものの、あのまま進んでいたら確実に仕留められていた。偏差射撃もお手の物か。


「……! 次……二本……きます!」


 モニターを確認すると使徒は両腕の弩弓を同時に構え、それぞれに大きめの矢を一本ずつ引き絞っている姿が見受けられた。

 一本であれほど正確に狙いを定めてきたというのに、それが二本になれば……。


「奴の予測以上の動きでかわせなければ……」


「せや……さま?」


 かわすことに集中しなければならない、それはわかっている。しかしオレは今の使徒の姿にどこか違和感を感じていた。

 先ほどまでとは何かが違う……危機的状況だというのにオレの頭はその違和感の正体を探ることに躍起になっている。


 これはただの勘でしかない。だがオレのこれまでの経験が告げている……それを絶対に見逃すなと。


「ミーコ……使徒から絶対に目を離さないでくれ」


「わかた……です」


 オレも目を離すな、ミーコの観測から送られてくる映像に全神経を集中しろ。

 だが同時に攻撃への対処も怠るな。最善の動きで、最善のルートで、勝機をものにしろ。


「――ウ゛ォア゛!」


「ここだ!」


 素早いターンで使徒の予測射線上を避け難を逃れるが、通り過ぎた矢は一本のみ。もう一方の矢は……。


ズガァン!

「ぐぅ……!」

「機体……損傷!」


 やはり、オレ達が避けた先を狙ってきた。かろうじて直撃は免れたが機体の背面が大きく抉られ魔導エンジンがむき出しの状態だ。


「制御が……!」


 機体の損傷と矢が地面に着弾した際における振動が合わさり制御が聞きづらい状況に陥ってしまった。

 こんな蛇行した状態では次の攻撃を避け切ることは不可能だ。


「万事休すか」


 絶望的な状況を前にオレの頭の中には敗北の二文字が浮かぶ。

 ……しかし、いくら待てども使徒は次の矢を撃つ気配がない。いや、それどころかモニターに映る使徒の姿は。


「――……」


「粒子を……集めている?」


 あれは紛れもなく神器“ムルムスルング”のエネルギー粒子だ。だがなぜ今更またそれ集める必要がある?

 神器のエネルギーを自在に扱えるのなら空気中の粒子をそのまま矢にしてしまえばいいだけのこと。だというのにまたそれを集めるということは……。


「奴は自由に神器を扱えるわけではない」


 そういうことだったのか。使徒はただ神器を利用しているにすぎず、おそらく使える範囲に限界がある。


 そして見つけた、違和感の正体を。

 最初に使徒が大々的に神器のエネルギーを吸収し姿を変えた際にはその背後に一枚の薄桃色の羽が生えていたが、最後に矢を放った際の使徒にはそれがなかった。

 いや、正確には見えないほど消費され小さくなっていたといったところか。現に今エネルギーを吸収している奴の翼が段々と大きくなっている。


「――ウ゛ォウ゛」


 翼が戻り、再び使徒の手に矢を生み出すためのエネルギーが湧き出始める。

 これまでの再生力も神器のエネルギーを利用したものならば、その供給さえ止められればあるいは……。


(だがどうすればいい。ムルムスルングの粒子はただ空気中に漂っているだけ、本来の神器の繰り手もこの場にはいない)


 オレ自身に神器をどうこうできる力がない以上、使徒の吸収を止めるか、吸収されようともその力を取り除く方法を探すしかない。

 そんな方法が、あるというのか……。


「また……きます!」


「ッ!? 悠長に考えている余裕もないか」


 このままではいずれ追い詰められる。少しだけでも奴の攻撃を逃れ落ち着ける場所さえあれば。


「あち……! あそこ……です!」


 そんなオレの意思を察したのか、ミーコが示したのは山肌をくりぬくように作られた一際大きな建造物。形はかなり崩壊しているが、あれは理想の世界でミーコが暮らしていたあの宮殿だった。


「わかった。中の案内は任せたぞ」


「あい……!」


 スピードをさらに上げ、山腹の宮殿へと向かい全速力で突き進む。

 あの中に入るまでにわずかでもバランスを崩されればこちらの敗北だ。

 破損した部分がスピードに耐えられず車体が軋みだす……こちらも限界が近いか。


「――ウ゛ァア゛!」


 先ほどと同じ偏差射撃が放たれ、同じようにアクセルターンでそれをかわす。

 だが、今度は次の攻撃を食らわない。ターンしたオレ達はそのまま目の前にまで到達していた宮殿の中へと突入し使徒の視界から外れることに成功する。


「ミーコ、上に抜けるにはどこを通ればいい!」


「そこ……奥……階段!」


 ボロボロの内部を無理やり走行し駆けあがっていく。使徒も追って侵入し、こちらに向けて矢を放つがすべて外れだ。


 そのままオレ達は宮殿の頂部から飛び出し山頂付近にたどり着く。

 少しだけ時間は稼げたが、いずれ使徒も同じようにここへたどり着くだろう。


「どする……です」


「一つだけ……可能性を思いついた。だが、ただの勘でしかない。もし外れればその瞬間やられるだろう……」


「だじょぶ……信て……ますから」


 ああ、オレはミーコ信じられている。そしてきっとこの場にいないもう一人の仲間にも……。だから、大丈夫だ。


 シューティングブレイザーを操作し、再びサテライトアームとデュアルバンカーを装着する。

 勝負は一度きり、使徒がこの場に現れたその瞬間!


「――ウ゛ォオ゛オ゛オ゛……!?」


「その腕……もらい受ける!」


 使徒が飛び出した一瞬を狙い、魔力で作られたサテライトアームの大剣がその腕を切り落とす。


 使徒は不意を突かれ驚いた素振りを見せるが、腕が切り落とされただけだとわかると途端にその口元をニヤリと歪ませる。


「随分と余裕そうだな」


 この程度ならいくらでも再生できる……といった余裕故だろう。

 だが、貴様は一つ重い違いをしている。オレの本当の狙いはダメージを与えることではない。


 本当の目的は、この切り落とした"腕"にある。


「――ウ゛ァ?」


「言っただろう、もらい受けると。遠慮なく使わせてもらう……『鋳造(キャスト)』!」


 オレの力……異世界人として与えられたオレのみが扱える特殊な能力。それは素材の力を生かし別の形へと作り替える力。

 そう、使徒の腕をそのまま素材として利用するということはつまり……神器のエネルギーを吸収するその性質をそのまま受け継ぐということだ。


 そして完成するのは一本の杭。


「スターブレイクパイル……それが、こいつの名だ」


「――!? ――ウ゛ォ……」


 再度使徒の表情に驚愕の色が浮かび、残った腕の弩弓を構える。が、この距離ではそれは悪手だ。

 至近距離で放たれた矢を紙一重で避け、そのままがら空きとなった胴体へデュアルバンカーに乗せたスターブレイクパイルを打ち込む!


「――ア゛ッ……!?」


 杭の先端は反しがついておりそう簡単に抜くことはできない。それだけではない、この武器の真の性能はここからだ。


「ミーコ! この線を魔導エンジンへ繋いでくれ!」


「あいさ……! です」


 パイルの末端、そこには長いチューブ状の線が伸びており、魔導エンジンへと接続できる機構が備わっている。


「さあ、貴様が吸った神器の粒子……今度はこちらが吸わせてもらう番だ」


「――!? ――ア゛……ア゛……」


 使徒がうめき声をあげ悶え始める。どうやらパイルの吸収機構は問題なく動作しているようだな。


「――ウ゛……ア゛ア゛ア゛!」


 だが使徒も無抵抗なわけではない。負けじと再び周囲から神器の粒子を吸い取り体を再生、パイルを抜こうと手を伸ばすが。


「それをさせないのがオレの役目だ」


「――ウ゛ッ! ア゛ア゛……」


 デュアルバンカーとサテライトアームで抵抗する使徒の腕を、足を、体を抉り切り裂く。

 その体を再生するため使徒はまた粒子を集め、パイルがそれを吸収する。

 これまで使徒が放ったエネルギーはすべて宙に霧散し奴の体との間で循環していたが、自動で魔力を循環する機構を持つ魔導エンジンに閉じ込めることでそれも許さない。


「――オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!」


「撃ち落とせサテライト!」


 使徒もなりふり構っていられないのか細い腕を何本も作り出し抵抗してくるが、空中に待機させたサテライトでそれを撃ち落とす。

 幸い魔導エンジンに収められた神器のエネルギーの影響か、サテライトのエネルギーもほぼ尽きることなく撃ち続けられる。


 オレが神器の粒子を吸い尽くすのが先か、使徒の猛攻に耐えきれず倒れるのが先か……。



「――ア゛……ア゛……ア゛……」


「オレは……! 絶対に……! 諦めて倒れることなどない! 仲間から与えられた任務を、自分に課した任務は必ず遂行する。それが元の世界から続き、この世界で確率したオレという人間の生き様だ!」



 一瞬にも永遠にも思えるその攻防に終止符が打たれたのは、周囲の世界から風景が消えたその瞬間だった。

 もはや使徒にはその世界を維持する力もなくなったということだろう。

 崩れるように世界が崩壊し真っ白な空間に戻ると、使徒は抵抗するのを諦めたようにその場に崩れ落ちていく。


 こうしてオレは神器“ムルムスルング”の粒子をすべて魔導エンジンの中へと収めることに成功したのだった。


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