254話 神器捜索開始!


 ……ここは、事象の外側。私は今意識のみを事象内から乖離させアステリムの事象ツリーを観測している。

 肉体が事象の内側に存在するため流れに引っ張られてしまうので遠くまで観測することは適わないが、それでも私が観測すべき事象を探ることは可能のはずだ。


(さて、奴はどの程度先の事象に干渉しようとしてるのやら)


 そう、私が探ろうとしているのは今後の終極神の動きだ。

 あの時の幻影神との戦いで奴はアレイステュリムスの策にハマり、事象力を削られたことで事象の外側へと退却した。だがこの世界と繋がっている限りアステリムの事象から離れることはできない。必ずどこかにその存在を隠しているのは確かだ。


(事象の管理権限はまだアレイステュリムスのもの。だからすでに定められた事象の流れに干渉することはできない)


 過去……定まった事象ツリーは管理者の血肉のようなものであり、仮に外部からそれに干渉しようとすれば膨大な事象力が必要になるはず。

 事象内による完全顕現を果たしたい終極神としては事象力を削ってまで行うリスクはない。


(そうなると残された手段は限られるな)


 まず一番新しく生まれている流れ、つまり現在の私達のいる事象に干渉し世界のバランスを崩すことでアレイステュリムスの事象力の削減を図る方法が一つ。もう一つがまだ確定していない事象にあらかじめ干渉しておく方法だ。

 管理者は観測によってあらかじめ流れが過ぎ去るであろう確定していない事象を予測できる。そこへ干渉力を送っておくことである程度事象を操作することが可能なのだが。


(可能性が高いのは後者だ)


 先ほど説明した通り終極神は一度事象力を失っている。世界に寄生したその時から奴はアステリムから事象力を奪い続けているが、事象内が安定している今得られる恩恵はそう多くないはず。

 現行の流れに干渉することは過ぎ去った事象に干渉するよりかは力を削らずに済む。だがもし消費した干渉力以上の事象力の会得に失敗した場合その痛手は大きい。


 だからこそ私は今流れの先、まだ確定していない事象の中から終極神の痕跡があるのではないかと踏んでこうして探しているわけだが……。


(やっぱまだ慣れないな。事象内との感覚が違いすぎて事象の奥まで見通せない)


 事象の外側では内側の感覚はまるで役に立たない。俗にいう第六感やそれ以上の感覚が必要とされる。

 今はまだ五感を扱う感覚にイメージが引っ張られてしまうため深く事象の外側を観測できないが、それでも終極神との戦いを少しでも有利に進めるためできる限りのことはやっておきたい。


(やはり私の感覚ではこの膨大な事象の中から終極神の痕跡を探すのはまだ……)


 無理だったか……そう思った瞬間だった。


(ん? なんだ……あそこの事象だけ何か違和感があるような?)


 そう感じた私は、その正体を確かめるためさらに深くまで探ろうとしてみるが……。


(……! 意識が引き戻される!? 今の私ではこれ以上の干渉は行えないか……)


 管理者として大した干渉力を持たない私はその正体を確かめることもできず事象の内側へと戻されていくのだった。






「……んがっ!? っとと、戻ってきたのか」


 肉体に意識が帰ってくる感覚と共に私はハッと目を覚ます。辺りを見回すとそこは……。


「ちょっとムゲン、いきなり起き上がらないでよビックリするから」


 最近では見慣れたヴォリンレクス城にて与えられた自室。そこでセフィラとクリファが私の帰りを待ってくれていた。


「あとそれ早くしまいなさいよ。なんか落ち着かないから」


「それって……? ああこれか」


 セフィラに言われ具現化されていたアレイステュリムスの枷を見えなくなるよう念じる。

 何となくだが世界と繋がっている証であるこの枷を表に出しておくことで管理者としての感覚に深く近づけるような気がするのだ。


 集中してる時は完全に一体化してる感覚だったから言われるまで気づかなかった。何か別のものが出てるのかと思って焦ったぜ。


「ゲンさん、今日は神器捜索のため出発するのですから終極神の動きを探ろうとするのはそれくらいにしておきましょう」


「あとちょっとで何か掴めそうだったんだけどな~。ほんのわずかでも終極神に繋がるきっかけでもあればよかったんだが」


 私自身と終極神に因果関係が少ないせいでなかなか隙を見せることがないんだよな。


「なぁセフィラ、お前の中に残ってる七美徳でなんでもいいから私に分け与えられないか?」


「え、あたしの? なんでまた急に?」


「七美徳、七大罪はもともと終極神の小さな事象のカケラだ。その繋がりを利用できれば奴の事象に近づきやすくなるんじゃないかと思ってな」


 現に奴はベルフェゴルやリヴィのカケラを吸収し他のカケラもその内に引き戻そうとしている。

 おそらくは今も所有者が命を落とせば自身の下へ還元されるようこの世界に網を張っているはず。


「う~ん……やっぱりダメ、どの力もムゲンのとこに行く気はないみたい」


「それってやっぱ選ばれた人間じゃないとダメってことなのかね」


「そこまで難しい話でもありませんよ。大罪、美徳共にわずかにでも対象者の感情と能力に一致するものがあれば明け渡すことは可能のはずです」


 理屈としては結構簡単ってことか。まぁ波長が合えばそこらの野良犬にでさえ渡せるような代物だしな。


「ですが、ゲンさんがどの能力も受け継げないのはおそらく……」


「アレイストゥリムス……か」


 『神域合身(ゴッドクロス)』してからなんとなくは感じていた、今の私は他の管理者による事象の影響を受け付けなくなっていることを。

 私が終極神の事象のカケラを利用できるということはその逆も然りということだろう。そんな危険をアレイストゥリムスが……いや、もしくは私が管理者として無意識に拒絶しているのかもしれない。


「こればっかりは早めに済ませておきたかったが仕方がない。続きは神器を捜索しながらでもじっくりやるとするか」


「そうそう、今日はあたし達の出発の日なんだからそういうのは後々。皆も待ってるし早く行くわよ」


「わかってるから押すなって。ホントごきげんだなセフィラ」


「そりゃもう。あたしとムゲンって出会ってからこれまで冒険らしい冒険って全然なかったし、ワクワクして当然でしょ」


 実のところ私もワクワクしている。世界の危機なんだから不謹慎かもしれないが、やっぱヒロイン同行での冒険に憧れはあったしな。


 そんなこんなで私達は仲間の待つ城内の馬車発着場へと向かうのだった。




 と、向かっている途中で私達は一人の男と出くわした。その様子から見るに何やら悩み事を抱えている様子だが……。


「おっすリオウ。こんなところでどうした? お前のことだから見送りのためにもう発着場で待ってるものだと思ったんだが」


「あ、ま、魔導神様。申し訳ありません、自分も早々に見送りのため向かおうとは思っていたのですが……少々個人的な問題事があったもので」


 問題事ね……。ギルドマスターになってからのリオウの苦労の種は尽きないが、目下での一番悩ましい問題というのはやっぱりあれのことだろうな。


「まぁ気にするな。お前のおかげで世界会議も無事終わったわけだし少しばかり気を緩めても誰にも怒られないさ」


「そう言っていただけるのは大変嬉しいのですが、大事なのはこれからですから」


 先日のこと、無事世界会議はすべての議題に答えを出し終えることとなった。各国家は会議において決定された条約をもとに自国の体制を検討していくこととなるだろう。


「しかし開催当初こそ会議の進行は難航していたはずだが、ここ数日で驚くほどスムーズに進んだよな。ホントお疲れさん」


「ええ……それはまぁ、何と言いますか」


 リオウの言葉も歯切れが悪い。自分でもわかってるからだろうな、会議の進行が突然スムーズになった理由が。

 同盟のほとんどの条約に反発していたラフィナがある日を境に意見を180度変え、さらにリオウに助力するように反発意見へのフォロー……。

 会議に参加してる各代表も魔導師ギルドとセレスティアルに何か繋がりがあるのではないかと勘繰り始めるほどだ。……おそらく、そうして噂されることも作戦の内なんだろうけど。


「実は……会議終了後にラフィナ王女が自分の秘書になりたいと売り込んできまして……。先ほどまでもその件で少々揉めてまして」


「行動早すぎだろ。確かもう王位継承権も妹のクレアにあげたって聞いたし」


 それはついこの間この城内でのラフィナが行った宣言、その言葉通り彼女は早々に王女の座を降り魔導師ギルドと自国との繋がりを強固にするため行動を始めたようだ。

 しかし魔導師ギルドマスターの秘書か……どっかで似たような事象を経験したような……。


「シリカは一応反対してくれてますが、エリーゼや他のギルド員は彼女の受け入れに賛成のようです。現状魔導師ギルドは手が足りてませんからね。実力も世界会議での活躍で十分即戦力なことは証明されてますし」


「シリカの反対って個人的なものなんでしょ? エリーゼも賛成してるんなら別にいいんじゃないの? 優秀な人材が加わるならまずはそれでいいじゃない」


「それは……その通りですが。個人的に身の危険を感じまして……」


 ラフィナの真の狙いはリオウと婚姻を結び自国との繋がりを決定的なものとすることだ。

 ただ、それをわかっているとしても無下に彼女を突き放すこともできないのがこの男のいいところでもあり悪いところ。シリカもそれを理解しており、だからこそ利益のためだけの政略結婚など認めないと息巻いているわけだが。


 この問題に関して、私の率直な意見を言わせてもらうと。


「私も賛成派……だな。別に今すぐ魔導師ギルドに悪い影響を与えようってわけじゃないだろ。それに、一緒にいないと見えてこないものってのもあるし、お前の気持ちもどう変化していくのか確かめてみたらどうだ? 彼女をどう扱うかは、きっとそれからでも遅くないさ」


 これは別にラフィナの肩を持とうとしてるわけではない。確かに私は彼女に後ろめたい部分はないとは言い切れない。

 しかしそれよりも、『魔導師ギルドマスターとその秘書』という関係に興味があるのだ。……私は、あの事象の先へ進むことはなかった。だからなのかも……な。


「そうですか。魔導神様がそうおっしゃるのなら、自分もまずは彼女を受け入れてみましょう」


「って即決かよ! あのなリオウ、言っとくが私の言うことだからって疑いもせずポンポン従う必要はないんだぞ」


「ええ、それは重々承知しております。ですが自分には感じるのです、魔導神様が本当に誰かのためを思う時、その言葉には相応の"重み"があると」


 いやお前のそのセリフの方が圧倒的に重いわ。

 まぁでも、リオウもリオウなりに考えた結果、私の言葉が最後の一押しになったからこそ出せた答えなんだろう。


「シリカには反対されるでしょうが、なんとかやってみせますよ」


「そんじゃ、捜索から帰ってきたら面白い話を期待しておくことにしよう」


 少しずつ、本当に小さなところからだが、確実に世界が変わっていくこの感じを懐かしくも新しさを覚えながら進んでいくのだった。




 そうして私達は神器捜索のため集まったメンバーが待つ馬車の発着場へとたどり着く。


「おせーぞムゲン。まったくどこで油売ってやがったんだ」


 早々一番に声をかけてきたのはカロフだった。そういえば最近あまり姿を見なかったな。休みの日もどこにいたのか知らなかったし。


「なんかこうして面と向き合って話すのは久しぶりな気がするな」


「仕方ないよ、皆世界会議で忙しかったし。それに、私達は休みの日から……」


「わたくし達は休みの日から海岸基地のアリスティウスに会いに行ってたのですわ。戻ってきたのもつい先日の話ですの」


 どこか会話の歯切れが悪いリィナに代わってアリステルがはきはきと喋りはじめる。

 しかしアリスティウスのところへか……その名前が挙がってからカロフもリィナも態度がよそよそしいのは相変わらずだな。


「でもなんでまた?」


「……一つだけ、"真実"を知る前に言っておきたかったことがあっただけだ」


 それだけ語ってカロフはまた口を閉じてしまう。これ以上は何も言うつもりはないってことか。

 まぁこれはカロフ達の問題だし、頼まれでもしない限り私があーだこーだ口を挟む必要もない。


「っとそうだカロフ。こいつを渡しておく」


「あ? なんだこの紙きれ?」


「二枚あるね。ちょっと大きめのお手紙……かな?」


「ま、そんなとこだ。一枚目はそのままドラゴスに渡してくれ。もう一つは……もし『龍の山』であいつに出会うのが難しそうな場合に読み上げてくれ。それまで開くなよ」


 まともに会おうとしても拒否される可能性があるからなあのひねくれドラゴンは。こちらの要件も聞かずに。

 そんなときのための秘密アイテムがこれだ。内容は開けてビックリのお愉しみってことで。


「よくわかんねーけど……まぁ貰っとくぜ」


「カロフー、リィナー、そろそろ出発ですのよー!」


 というところでカロフ達の出発の時間がやってきたらしい。

 カロフ達は自国への帰省ということもありアレス王の護衛として同行するらしい。当然のようにアリステル達も同行するようだが。


「それじゃあねムゲン君。またヴォリンレクスで会いましょう。セフィラさんとクリファさんも」


「ええ、また」


「頑張りなさいよー」


「んじゃちょっくら行ってくるぜ。待ってろよムゲン、次にここに帰ってきた時には何もかも吹っ切れた俺が神器を引っ提げてきてやっからよ」


「ああ、朗報を期待してる」


 そのままカロフ達はアレス王国の一団と共に旅立っていく。

 この帰省はカロフにとって大きなターニングポイントとなるだろう。負けるなよ……。


「限、そろそろオレ達も出発させてもらう」


「おぉう! ……って星夜か。いきなり現れてビックリしたぞ」


「別にいきなり現れたつもりはない。カロフ達との会話に割り込むのも悪いと思い一歩引いていただけだ」


 相変わらず空気の読める男だ。

 大勢で移動するカロフ達と違いこちらは最小限の人数。ミーコとフローラといういつものメンバーだけだ。

 車庫からスターダストも運び出し出発準備は完了している。


「あれ? フローラ達のところはセレスティアルの人達と一緒に戻らないの?」


「一緒に帰ると時間かかっちゃうからね~。それに、なんか王女様のことでなんかもめてるらしいし」


 だよなあ。王位継承権を譲ると簡単には言うがなかなかに破天荒な行動だしそりゃもめるだろ。

 その話を聞きつけたセレスティアルの現国王も驚愕しながら後日ブルーメに赴いてリオウと直に話したいと申し出たようだし。


「どうやらラフィナ王女も過去の苦しみからようやく解放されたようだな」


「あれを解放されたと言っていいものかね?」


 まぁ、少なくともすべてに絶望していたあの頃よりかは前に進めてはいるかもしれんが。


キィーン……


 スターダストを起動させヘルメットを装着する星夜。あとはアクセルを入れればすぐにでもここから飛び出していくだろう。


「今回の件は本当にサンキューな星夜。無理言っていろいろ作ってもらって」


「気にするな。当初頼まれた際は驚きはしたが役に立てたのならそれでいい」


 実は星夜には世界会議の裏でいろいろと無茶な部品を“救恤”の力で精製してもらっていたのだ。その点でも星夜には本当に世話になりっぱなしだ。


「それじゃあ、いくぞ。ミーコ、しっかり掴まってろ」


「りょかい……です」


「頑張ってママを説得してくるよ!」


 ……これで星夜達も旅立ったか。

 さて、そうなると残るはあと一組。


「うう、緊張するなぁ……。皆と離れて旅立つのは魔導師になってはじめてだから」


「大丈夫ですよ。レオンさんなら私達がついてなくてもやっていけます」


「でも、無茶は禁物ですわよ。特に前回の戦いのような自分を犠牲にしようなんて行為は絶対に」


「う、うんわかったよリーゼ」


 あっちではレオンと、見送りに来たシリカとエリーゼの姿があった。


「二人とも心配になる気持ちはわかるけど、今回は魔導神様も同行するんだからそこまで念を押さなくても大丈夫だろう」


「あ、リオウ君。それに師匠達も」


「おっす、もう出発準備は整ってるみたいだな」


 あといつものことながら私にそんな過度な期待はしないでくれリオウ。今の私はポンコツなんだからレオンが私の言うことを無視して無茶したら止められんのだからな。

 その件に関しては前日まで二人にもきつく念を押されているから常に気を付けてはおくが。


「シリカもエリーゼも安心しなさいよ。ムゲンが至らない部分はこのあたしがちゃーんとフォローしておくから。二人は枕を高くして眠るといいわ」


「え、えっと、ありがとうございますねセフィラさん」


「あんまり説得力ないですわ」


「ちょっとー、何よその潮対応はー!」


「あなたの普段の行いのせいでしょう」


 まぁ今回の捜索においてセフィラが役に立ちそうな場面なんてどこにも見当たらないしなぁ。もともとは二人だって行く気満々だったわけだし。


「盟友よ、他の者達はもう出発したようだが、我々はまだ行かぬのか」


「アポロか。そうだな、んじゃ私達もボチボチ出発するとしようか。レオンも準備いいよな」


「はい、両親への手紙もカロフ兄ぃ達に渡したし、腕の調子も好調。いつでもいけます」


 私が率いる捜索メンバーもすでに全員揃っている。時間も惜しいし私達もさっさと出発……。


「って待てい! 見送りに来た余らを無視するでないーっ!」


 というにはまだちょっと早かったようだ。

 一応馬車の発車の際に一言行ってきますだけで済まそうとしたのだがディーオ的にそうもいかないらしい。

 その隣にはサロマと、レイとサティも揃っている。


「俺からは、特に語ることもないがな。さっさと神器を持って帰ってこい。それだけだ」


「皆頑張んなよ、アタシもこっちでやれることをやるつもりだからさ」


 この二人には、私も特に伝えておくことはないだろう。もう自分達の力で歩むべき道を見つけたのだから。


「ディーオも見送りサンキュ。そうそう、あれの建造よろしく頼むな」


「ん? あああれか。大部分の部品をセイヤに作ってもらいドワーフ族の者達に任せているが……いったいあれはなんなのだ?」


「ま、その正体がキチンと動作するかも私達の活躍にかかってるんで、期待して待っててくれ」


 実はヴォリンレクスの技術班には秘密裏にあるものを組み立ててもらっているのだが、それは完成してからのお愉しみということで。


 うん、それじゃあ本当にそろそろ出発の時間だ。

 だがその前に、最後に一人……。


「それでは、行ってらっしゃいゲンさん。わたしも、ここで新魔族のためにできるだけのことをやってみます」


「クリファ、また待たせてしまうことになって悪いな」


「大丈夫ですよ、何年も待ち続けたわたしにとっては辛くもなんともありません。それに……今のわたしは離れていてもあなたと通じ合っている実感がありますから」


 そうだな、長い時の中、事象の流れの中でようやく私達は巡り合えたんだ。二人の気持ちはどれだけ離れたって……。


「はーいストップストップ。あたしがいること忘れないの。ま、今回はこのあたしが最高にヒロインする展開が待ってるんだからクリファはここまで。帰ってきたらあたしの活躍にビックリしなさい」


「……せっかくのいい雰囲気が台無しです」


「ええい! 二人とももう出発の時間なんだからここで言い争わない! うん、名残惜しいが……いくぞ、神器捜索へ!」


「ワフ(無理やりまとめたっすね)」


 ラストにいつの間にか乗車していた犬のひと鳴きで馬車は進み出す。


「そんじゃ、行ってくるぜ!」


 多くの仲間達に見送られ私達は新たなる旅路を進むのだった。それぞれの目指す“神器”を求める物語へと。


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