243話 ∞と∞の衝突
お互いの全力をぶつけ合った最終局面。インフィニティがまさかの管理者としての力に目覚めたことによりこちらが圧倒的に不利な状況に陥ってしまった……わけではない。
アレイストゥリムス曰く、管理者の力の一端は事象の"流れ"を操ること。しかし、それならば先ほどの魔術のぶつかり合いでも私の魔術に干渉するか、自身の魔術の流れに新たな影響を与えれば私は対応できず消し炭になっていたはずだ。
「だから、まだ完璧に管理者としての能力を扱えてるわけじゃない……そうだろ」
おそらくは窮地に陥ったことで"流れ"を感じるまでは至ったが、今は自分の理論にその"流れ"の原理を組み込むことが精一杯だったってことだろう。
「隠したところで何の意味もないな……確かにその通りだ。だが私は今、この瞬間にもこの力の使い方を理解し始めている。使いこなすのに、そう時間はかからない」
流石私……私も早くその感覚に触れてみたいもんだよ。お前がそれを理解できているということは、きっと私にもその力の使い道を理解できるってことだからな。
「ムゲンよ、つまらん御託は終わりだ。この力……どれほどのものか自分の身で味わうといい! 『
ここにきて普通の魔術だと。それも威力も乏しい初歩の初歩のものでいったい何を……。
「その程度なら、簡単に撃ち落とさせてもらう!」
アルマデスの射出孔から水の魔力を込めた弾丸を発射し、インフィニティの炎弾とぶつかるといとも簡単に対消滅してしまう。
なぜ、インフィニティはこんな無意味な……。
「いや、流れはこれで合っている。何一つ変わらない……術式呼誕! 巡れ、因果の流れよ!」
「なんだ、魔力の反応がおかし……」
ゴウッ!
一瞬、空間がブレたような違和感を覚えた次の出来事だった。そこには、私の弾丸とともに消えたはずの魔力が突然現れ、それに気づいた時にはすでに……。
「なっ!? どうしていきなり私の体に炎が!? こなくそっ!」
体を覆っている『
だが魔力反応も完全に消え去ったはずだというのになぜ突然復活したのか……それも私の体にいきなり被弾した状態で。
(いやまて、この感覚は……覚えがある)
そう、インフィニティの魔術が突然現れる前、私は一瞬空間がブレたような違和感があった。その現象も、私は似たようなものを経験したことがあった。
「未来……いや、無数に存在する流れの"先"を選び自身を中心とする事象世界に反映させる……」
「やはり気づいたか。今はまだ大きな変化を選び取ることができないため小さな魔力で試しただけだが、それだけで理解するとはな」
そういえば、いつの間にか私とインフィニティの位置関係が魔術着弾以前より若干のズレが生じている。
これも終極神が使った“支配”の力の一部と同等のものだ。"先"が確定しているためこちらがどんな行動をしても意味がなくなる。因果逆転の概念に近いか。
……だが待てよ? それならちょっとおかしいぞ。
「事象の流れを選ぶ力はそのまま人の意思にも影響を及ぼす。この場合、私はそちらの攻撃を防ぐことに失敗したという認識を持っていないとおかしくないか?」
理論的に説明すると、この力は通常連続事象である a1(攻撃される)→b1(防ごうとする)→c1(防御成功) という流れを a1→b1→c2(防御失敗) へと強制的に組み替えるものだ。
となればもちろん、私も防げなかったと認識していなければおかしい。
終極神との戦いではケルケイオンの『虚無(ゼロ)』によって意思への干渉が行われなかったが、今回私はそれを使用していない。
ならば、なぜ私はこうして連続した事象の意識を持ち合わせているのか。
「その答えならば簡単だ、お前はすでに自分の"存在"を事象に留める術を持っているということに他ならない」
「マジ? でもそんな自覚……」
と、いつそんな力に目覚めた記憶もないと言おうとしたが、ここで私は一つ前の試練を思い出す。
いくつもの世界の私が現れ、この事象の取り合いになった。そして私は自身の事象を確立し、他の事象に意識を引っ張られることもなくなった……。
「第一の試練って……そういう意味合いもあったのか」
[事象を扱う者が事象に左右されるなどあってはならないことだ]
そういうのは先に説明してくれっての。……だがまぁ、『
となればこれ以上向こうの好き勝手には……。
「認識できたところで防げるわけではないがな」
「そりゃごもっともで!」
認識できるようになったといっても対応できるようになったわけじゃない。弱い魔術ばかりだが、インフィニティの術式呼誕によってすべてが必中の攻撃へと変わっていく。
今はまだコントロールに慣れていないから弱い魔術を撃ちこまれるだけだが、徐々に魔力の質が上がっている。
このままではいずれ強力な魔術を術式呼誕に乗せることようになるのも遅くない。
(だが対処法がないわけじゃない)
第一の試練のおかげで私自身が事象の流れの変化による影響を受けることはない。
ならば、インフィニティがどのような攻撃を仕掛けようとも、"その可能性すべて"を防ぎきることを意識して戦えばいい。ベルフェゴルが終極神にやって見せたようにな!
「犬、ここからは余力を残して戦うことは考えるな。すべての力を駆使し……決着をつける!(ま、マジっすか!? 勝算はあるんすかー!)」
ぶっちゃけ今回ばかりは明確な勝ち筋がまったくと言っていいほどない。ただ、ここで決めなければこの先の展開で私は負けるのは確実……だから、私が勝つには"今"しかない!
「いくぞ! 『
「やはりここで決着をつけに来たか! ならばすべての可能性を駆使し、ここで終わらせてやろう!」
今、私とインフィニティとの距離はそう離れてはいない。『
だがそれでも、今の私にはこの距離が果てしなく感じる。
「近づいて決定打となる一撃を打ち込むつもりか。確かに、それが私を倒す一番確実な方法だ!」
遠距離からの攻撃では回避にあらゆる可能性を与えてしまう。しかし、近距離からの逃れられない一撃ならば、そのあらゆる可能性による回避の確率を大幅に下げられる。
近づけさえすればいい! だが……。
「それを易々と許すと思うか! 術式展開、『
重力魔術で宙へと浮き、その下から超広範囲による雨の弾丸を展開してくるか! しかもこの規模、私がどこへ避けても当てられるよう計算された範囲に広がっている。
事象の流れを変える力があるというのに私の逃げ場を潰そうとするとは。その力に慢心せず、私のあらゆる可能性をつぶそうとしているな。
やっぱ今までで一番やりづらい相手だよまったく!
「(どうするんすかご主人! このまま突っ切るんすか!?)いや、一粒でも当たればそこから術式の選択の幅を無数に与えてしまう! 常に魔力を限界まで回し続けろ! こちらも術式をノータイムで発動できるようすべての回路を繋げるんだ!」
これは自分自身との戦いと同時にあの日の終極神との延長戦だと考えろ! 一撃でも受ければそれで負け……インフィニティもその領域に近づきつつある今、同じように一撃でこちらを沈められると。
そしてこの状況を打開するための一手は……あちらに私の術式を認知させず、一瞬の隙も与えずこの雨を抜ける!
「いくぞ犬、作戦は伝わったな!(やれるだけのことはやるっす!)」
心の中で犬に作戦を伝え、私はそのまま止まらずに走り続ける。
「何か仕掛けてくるか。ならば、そのすべての可能性を……ッ!?」
流れの"先"を見たな。そこから私の"逃げ道"を塞ぐ道へ進もうとしたんだろうが……その驚きの表情を見て逆に私が確信させてもらった!
「《時空》属性術式展開! 『
「くっ! 《時空》属性干渉! 『
私が発動した『
これにより超加速世界に適応していない者は私の姿を捉えることすら不可能となるが……時空属性の魔力を操れる者なら対処は可能となる。
世界に干渉し不正な時空の流れをもとに戻すことができる、それが『
(だが! 時空に干渉しない物理的な速さには効力を及ぼさない!)
だからこそ私は自分の意識を時空魔術の構築にのみ集中させ、肉体の制御を犬に任せることとした。
こうして本来ならば同タイミングで組み合わせることのできないはずの魔術と獣王流を発現させ、対応しなければならない対象を複数に分けることに成功した!
そして、魔力の扱いに長けてるインフィニティだからこそ時空魔術の方に対処してくると読んでいたぜ!
「(で、でもこのままのスピードで突っ込んでも雨に当たちゃうっすよ!)大丈夫だ……このまま!」
懐から取り出すのはアルマデスのカートリッジ。しかしこれは撃つために取り出したのではない。
もともとこのカートリッジは魔導スマートフォンの『魔力を貯める』という性質を模倣して作り上げたものだ。
だから……。
バキャ!
こうしてぶち壊せば、中に貯めこまれてた魔力か解放されるってことだ!
ただ解放された魔力は不安定で貯蓄量以上の魔力をさらに加えることはできない。
「だが今はこれで充分だ! 簡易時空術式展開! 『
飛び上がる私の体はインフィニティへと向かい真っ直ぐ向かっていく。そしてそのまま、両社の間に広がる雨の弾丸へと私は進んでいくこととなる……が、しかし。
「(ぶ、ぶつか……! ってないっす!?)私の体の周囲にを一時的に何者をも干渉できない"裏"の空間へと移動させた! これで雨の弾丸を受けずに突き進める!」
カートリッジの魔力量ではこの雨を抜けるだけで精一杯だが、今はそれでいい!
時空属性は一度の発動に必要な魔力が大きすぎてカートリッジに組み込んだところでロクな魔術を撃ち出せないが、念のために一つ作っておいてよかったぜ!
そして……ここまでは"
「流れの"先"を選ぶことはできても"今"を変えることはできない! そして変えられる流れにには限界があるってことだ!」
ここまでの流れで射程圏内に入ることはできた! 今の結果型が次の原因型にならないうちにこの一撃を……打ち込む!
「雷術式全開収束! 『
「ぬっ!? ぐううううう……!!」
私の一撃がインフィニティの体へと打ち込まれ、その振動が拳を通してこちらにも伝わってくる。
だが……。
「(やったっす! 今のは確実にクリーンヒッ……)いや、今の感触は……」
「ああ、今のは惜しかった。そちらの攻撃に合わせ私も術式を準備していなければ私はやられていただろう」
「(ご主人の魔術が防がれて……そ、それにあの術は!?)『
そう、インフィニティはその手に発現させた魔術によって私の術を相殺していたのだ。
今のは当たれば確実に仕留めきれる一撃だった。だというのにここで仕留めきれなかったのは、まだ詰めが足りなかったということだ。
あれだけの魔術、体術を駆使してもまだ足りないってことか。
「残念だったな。ここまでの流れは私が定めたものだ。あらゆる手を尽くしたつもりだろうが、それでもまだ私の選ぶ最善手には届きえない」
「だったみたいだな。だが同時に私の疑問が確証に変わった。事象の流れを選ぶことは自分に絶対の勝利をもたらすものじゃない! 選べる結果型には限界があるってことがな!」
事象の流れはどこまでも続く未来の形であることに変わりないが、選べる『結果型』には限界値が存在する。おそらく結果型が選ばれていなければ次の流れが生まれる『原因型』がないからだ。
だからこそ、まだ原因型である流れの時点でインフィニティが対応しきれない行動をすれば、あちらが選べる結果型を極限まで制限することは不可能ではないということになる。
「その通りだ! ここまでが私の選び取った事象の流れ……だがここからはまた新たな結果型へと繋ぐことが可能となる! これまでの流れで私を倒せなかったことを後悔するといい!」
再びインフィニティが重力魔術で宙へと舞い上がっていく。同様に私も魔術でその後を追うが劇的にその距離を詰めることはできない。魔術による飛翔は身体能力で補えるものではないからな。
つまり、インフィニティはこちらの強みの一つを潰してきたというわけだ。
(やはり、次で決める気か)
私も段々と事象を操る力に気づきつつある。完璧な攻略法を見極められる前に対応できていない今の私を全力で潰そうという魂胆だろう。
「さぁ、終わらせるぞ……覚悟はできているか?」
インフィニティがその体を反転させこちらを見定める。……つまり確信したのだ、この先の"流れ"で完全に私を仕留める『結果型』を。
だが私には……未だ事象を操作する術も完全に解明できていなければそれに対抗する方法も不完全だ。
けれど、私は退かない。
「お前も事象の力に気づき始めたようだが、それは私も同じこと。そして私はさらに新しい可能性を見出した」
今ここで退くことはただ逃げ出すだけじゃない……。今まで私が築き上げてきたすべてから背を向けることにも繋がる。
「同列に存在する平行的な"流れ"の中ならば、その可能性を一つの流れの中へと重ねることができる!」
思い返せば、私はこの世界に戻ってきてからこれまでに起きたすべての出来事から目を背けたとしても何も問題はなかったはずだ。
この世界の危機なんて最初から放っておいても、私はきっと日本に戻って平和に暮らしていただろう。
「たとえ強大な全力の時空魔法であろうと、数多に広がる可能性によっていくらでもこの流れに引き寄せられるということだ! 無限の可能性によって生まれた無限の選択肢、これから逃れる術は……ない!」
もしかしたら、多くの選択肢にはそんな道もあったのかもしれない。だが私はこの道を選び取った。
それはなぜだ? ……いや、すでに答えはわかっている。すべての安らぎを捨てても、これまで選択し繋いでいったすべて積み重なった一つの"流れ"こそが、"今"の私であると確信しているからだ!
「これで最後だ! すべての時空を切り裂く刃が……お前の存在を終わらせる! 《時空》属性全開術式! さらに、事象術式無限解放! 降り注げ終末の刃、『
「……!? あれは!」
インフィニティが発現させたのは、切り裂いたものを時空の流れから切り離す最強の魔術……『
しかしそれだけではない、問題なのはその数だ。
「10、20……まだまだ増えてくな」
もはや尋常な数ではない。こんなもの、本来ならば世界中のマナを吸い上げたとしても不可能な光景だ。
「そして私は……流れを掴む!」
ッ!? 今感じた……『
しかし、私には感じることはできても無数の流れから選び、変えていくことはできない……。
「まだだ! これで終わらんぞ! 『
「これ……はっ!?(ご主人っ!? だ、ダメっす……合体が!)維持できないっ……!」
ここにきて、私と犬の『
もともと合身術式は本来一つになれない魔力同士を調整して合わせることで成り立つ術式だ。それを乱されれば当然……。
「ワウー!(ごしゅじーん!)」
完全に合体が解除され、犬が私の体から投げ出されてしまう。再度合体に戻ることはできない、戻れば後ろから時空を切り裂く剣が私を確実に貫く流れが必ずある。
ケルケイオン・アルマもすでにカートリッジをすべて使い果たした。スマホの[wall]でもあれをすべて受け切ることなど不可能だ。
ならば、もうこのこの攻撃を掻い潜ることは不可能なのか……。
私の"流れ"は、すでにインフィニティによって決められてしまったのなら……もう私ができることは……。
(……いや、違うだろ)
どうしてここで諦める? そうなれば私がこれまで歩んできた"流れ"はどうなる……すべてが、定められたものだったとでも言い訳するつもりなのか?
カロフ、リィナ、レイ、サティ、レオン、エリーゼ、シリカ、星夜、ミーコ、フローラ、アポロ、ミネルヴァ、ディーオ、サロマ。他にもこれまで出会ってきたこの世界に生きるすべての繋がり。
そしてなによりも……。
「私がこれまで紡いできたものは……! ここまで築き上げたすべての流れは……!」
「なん……だ!? 流れは……定まったはず。私が選んだ結果型がこの世界の本流となり、ムゲンもその流れのままに収まるはず!?」
「違う! 私が……私達が辿ってきた道は誰にも変えられるものじゃない! 今までも……これからも!」
私の"死"が定められた『結果型』が
拳に……今まで感じたことのない力が湧き上がってくる。いや、この感覚に似たものを私は知っている。セフィラとクリファを救った際に感じたあの力。
「なんだ……ムゲンの腕を駆け巡るあの青白く光り輝く回路は!? それに、あれは……翼か。事象の力を持つ……六枚の翼!」
どれだけの事象があろうと関係ない。私が選んだ道は……あいつらと共に歩む私の
そうだ……!
「ほかのどこでもない! 私は……ここにいるんだ!」
「ッ!?」
ついに、手が届く距離へとたどり着いた。
もう、あれこれと細かいことを考える必要はない。ただこの拳を……ぶつけるだけでいい!
これが……決着の一撃だ!
「――― 『
戦いは終わり、周囲はただ静寂だけに包まれていた。
私とインフィニティは向き合い、ただ無言でお互いを見つめている……。
インフィニティの体には青白い光がその体を包み、今にもその存在が消えようとしている。
いや、消えるのだ。私はすでに確信している、この輝きは事象を正常に正すために働き、インフィニティをあるべき事象へと還そうとしているのだと。
「……そんな顔をするな。私はあるべき場所へ還り、お前はお前が進むべき道を進んでいく、それだけのことなのだ」
インフィニティはゆっくりと私にそう語ると、ニッコリと笑顔を浮かべてくれる。
この微笑みは……そうだ、私は自分の死期を悟った時と同じあの微笑みだ。
「自分の最期を、自分で看取るなんて変な気分だよ」
「そう言うな。お前は私の先の事象にいる存在だ……つまり、いずれその経験は私のものにもなるのだからな」
それもまた不思議な気分だけどな。でもまぁ……。
「「それもまた、"私が私であるが故"なんだろうな」」
それを最後に、インフィニティはこの事象から姿を消した。
気づけば犬の姿もない。投げ出された際に事象の限界収束値を超えたんだろう。
「ん? 今自然と頭に浮かんだが、事象の限界収束値ってなんだ?」
いつの間にか自分でも気づかないうちにいろいろなことを理解し始めたようだ。
おそらく、感覚では理解しているが頭がまだ追い付いていない。いずれはこのズレにも順応していけるだろう。
[それが、管理者としての必須条件だ]
[ただ事象を感じ、流れを動かし、結果に準ずるだけでは管理者として成り立たない]
[事象に流されない個こそが事象の外へと向かうことができる]
「やっと喋ったと思えばまた細かい説明か。何となくだがお前が話す言語も理解できるような気がするよ」
これこそが『試練』の必要性だったんだろう。ただ力を得るだけでは、これより真の力を取り戻した終極神に対抗することさえできないと。
[キミは二つの試練を超えた]
[これにより最後の試練を開始する手はずが整った]
「って試練まだあるのかよ! さっきの大立ち回りでもうへとへとだぞこっちは……」
事象の力を感じ取れるようになり、流れに左右されぬ個を確立した今、これ以上どんな試練が待っているかなど想像もつかないぞ。
[案ずるな]
[この先の試練はここで行うものではない]
「場所を移すということか?」
[いいや違う]
[次の試練はキミの"これから"を試すものとなる]
[キミと共に、その歩みを見させてもらおう]
これから……か。
その言葉の意味で、今の私はすべてを察することができた。
第一の試練は過去を超え、第二の試練では現在の自分を超えることとなった。
ならば最後は未来……これから私が何を成すか。
「ああ、なら見せてやるよ。これから私が描く……事象の先をな」
いつの間にか私の目の前にはアレイステュリムスの姿があった。……いや、この存在は最初からここにあったのだ。
今まで私はその内側におり、そして今外側からその存在を認知することができる。
そしてこれからは……。
[さぁ、手を伸ばし、事象を重ねよ]
私は『世界』と、一つになる。
『「 ※※※『
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